葬られた受動喫煙防止条例、「維新」の名が泣いている 編集委員・安本寿久
党名はいかにも進歩的なのに、トップは前例に全く捕われないほど革命的なのに、ここの議員はいつまでも垢抜けない。発想が古色蒼然としていて、イメージも古臭い。いつまでも前例踏襲か、横並びでしか物事を判断できないのではないか。そう思わせるのが大阪維新の会である。
書きたいのは、大阪府の受動喫煙防止条例案をめぐる騒動についてだ。学校や医療機関、官公庁などの公共施設で分煙も認めない「完全禁煙」を目指し、違反施設の管理者に過料を課すという条例案だったが、知事与党の大阪維新の会が先頭に立って反対したために、撤回が決まった。
提案者の松井一郎知事は同会の幹事長である。その知事が提案した条例案を党員である府議たちが率先して反対するようでは、この党のガバナンス、規律はどうなっているのかと呆れざるを得ない。対外的にガバナンスを最も求めるのはいつも、この党の代表、橋下徹・大阪市長であることを思えば、噴飯ものの内輪もめである。条例案を支える健康増進法は全面禁煙まで求めていない。規制は行き過ぎだ-というのが同会の主張である。要は、分煙で十分、罰則規定などもっての外ということだ。