ひどい息切れ・せき「COPD」 まず禁煙、薬で悪化防ぐ
重症ならボンベも
壊れた肺は元に戻ることはなく、階段で息切れしたり、せきやた
んが続いたりするなど生活の質(QOL)が大幅に下がる。重症だ
と酸素ボンベを手放せなくなる。運動量が減り、寝たきりになるこ
ともある。喫煙習慣が長いほど発症しやすく、中高年に多い。患者
の90%以上は喫煙が原因で発症したと考えられ、「たばこ病」とも
呼ばれている。
女性の喫煙者が少なかった時代は男性の病気とされていた。米国
では1980年代以降、COPDによる男性の死亡率が頭打ちになる一
方、女性は喫煙者増の影響で死亡率が急増した。今では男性を上回
ったという。
国内ではCOPDの有病率や死亡率は、男性が女性の3倍とまだ
高い。喫煙率に差があるためだが、男性の喫煙率が減少傾向にある
のに対し、女性はほぼ横ばいで、その差は縮まっている。
女性ではストレスなどをきっかけに、たばこを吸い始める場合も
少なくないという。「社会的なストレスを抱えた女性は、喫煙に依
存する例が見受けられる」と独協医科大学呼吸器内視鏡センターの
石井芳樹センター長は指摘する。たばこの本数が多く、吸っていた
期間が長いほどCOPDのリスクが高まる。喫煙者の増加から
COPDによる死亡者増までのタイムラグはおよそ30年といわれている。
特定非営利活動法人(NPO法人)の女性呼吸器疾患研究機構理事長で
医師の宮元秀昭氏は「今後は米国と同様に女性患者の急増が見込まれる。
女性に関係のない病気と思わないでほしい」と強調する