誕生日おめでとう

2024-06-22 14:17:40 | 家族

今日は都会で暮らす長男の誕生日。

おめでとう!

「ええおっさん」になりました。

普通ならもう中学生くらいの子供がいてもおかしくないのですが、

彼ら夫婦には子供はいません。

出来なかったと言うより

子供が欲しいは欲しかった

と思うのですが、

その選択が出来なかったのです。

長男のお嫁さんが

『強迫性障害』という病気にかかってしまったのです。

 

「強迫性障害」とは、

<こころの情報サイト>によれば

>>強い「不安」や「こだわり」によって

日常生活に支障が出る病気です

「たとえば戸締まりや火の元を何度も何度もしつこく確認しても

安心できなかったり特定の数字にこだわるあまり生活が不便になったり」する。>>

 

お嫁さんの場合は

一つは 『不潔恐怖』

何かを持つ度に何かをする度に

手を洗わないといけない。

一日中洗濯機は動き続けています。

家の中に持ち込む物はすべて除菌シートで拭く。

お米を洗う~ご飯を炊飯器で炊く、まで

半日かかることもあるそうです。

そして『儀式行為』

行動の順序が変えられないこと。

行動のすべてに彼女なりのこだわりがあり、

一つ順序が違うと、最初からやり直さないと

不安で仕方がない。

日常生活が立ちゆかない。

 

自分で「おかしい」「無意味」とわかっていても

止められないのです。

つい最近俳優の

佐藤二朗さんがこの病気を公表されていました。

それほど珍しい病でもないようですが、

本人と家族のしんどさは

並大抵ではありません。

 

息子夫婦が結婚当初は

ごくごく普通に会社の補助が出るマンションに住み、

仲良く暮らしていました。

栄養士の資格を持ち料理がとても上手なお嫁さんで、

息子は食べることが大好き人間なので、

喜んでいました。

明るく楽しく暮らしている、と

思っていました。

息子は、お嫁さんの病が発症した時も

症状がとてもひどかった時も

私達には言いませんでした。

「ちょっと潔癖症がきつくて・・」くらい。

 

7年ほど前、

『マンションの近くに分譲地ができたから家を建てる』

と言って、小さな戸建て住宅を建てました。

マンションからの引っ越しの朝、

私達夫婦が引っ越しの手伝いに行く予定で準備をしていると、

長男から電話。

「引っ越し業者さんがもう来るのに、荷造りが済んでない、間に合わない・・」

とうろたえています。

「とにかく、業者さんには大きな物を積める物だけ積んでもらって、

後から私達が車で運んであげるから。」

 

マンションに着いて、

残りの荷物を新居に届け、

マンションの掃除をしました。

寝室のベッドの周りから、居間、

台所、廊下、お嫁さんの日々の動線が

ハッキリ残っていました。

<<ファブリーズ>>の痕跡です。

ベタベタの糊のように、

床や廊下に固まって、

彼女がスプレーを振りかけながら歩く様子が

ありありと目に見えるほどに、

こびりついていました。

雑巾でどれだけ拭いても拭いても

落ちない。

彼女の病状の深さを初めて知りました。

彼女自身のしんどさはもちろんのこと、

そして、

『息子が一人でこの生活に、状況に耐えてきたのか・・』

と思い、

床を拭きながら涙が止まりませんでした。

 

息子が建てた家は

お嫁さんがちょっとでも暮らしやすいように

設計したそうです。

あまり患者の言うようにばかりするのは

治癒に結びつかないそうで、

ずっと精神科の先生とも

相談しながら暮らしています。

もう『強迫性障害』と

十年以上の付き合いになるのでしょうか。

 

子供を産むことで症状が治る人もいるそうです。

が、

逆にもっとひどくなる人もいる。

息子は

「もう、今、子育てしてるようなもんやから。充分や。」

と言います。

私:『毎日、楽しいことあるの?』

息子:『楽しいで!』

 

それならいいか。

それも、彼の選択!

 

 

 

 

 

 

 


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