最近の介護ベッドの素晴らしさに驚きました。
リモコン操作なのはもちろんですが、
マットの質は良いし(夫は、臀部に褥瘡ができていました)、
高さ調節、背面から足元まで角度が自由に調整でき、
ベストな位置を記憶させることもできます。
補助のベッドサイドの手すりも とても持ち易くて力が入れやすいものでした。
介護業者さんがポータブルトイレの高さを調整してくれて、
ベッドとの高さ調節の仕方なども教えてくれました。
病状が悪化した頃から 夫は 紙パンツを着けていましたが、
ベッドの上で、紙パンツや紙オムツに排便はどうしてもできませんでした。
ベッドの上に起き上がるまでに30分かかり、
息を整えてポータブルトイレに移って座るのに 10分、
排便に 30分、
終われば ベッドに移って横たわるまで 10分、
咳き込みが収まって、息が整うまで1時間~2時間。
血中酸素濃度(正常値は96~99%)が
80%台から 時には70%台にまで下がるのですから、命がけです。
家へ帰って来るとなった時の 大きな課題の一つでした。
病院なら、すぐにナースコールで助けを呼ぶことができますが。
・・・
2025年1月14日 午後16時頃。
便意を感じるという夫。
設置してくれたポータブルトイレへと移り排便。
午前中に、酸素の装置を設置してくれた業者さんは、
ポータブルトイレに座ったときの位置を確認し、
酸素吸入のチューブの長さを調節してくれていました。
嘘のように、楽に排便を済ませることができました。
「お父さん!!」
「明日は病院へ帰らないといけないけど、
これだったら 家で居られるよ~~!!」
「先生にお願いして、先生がおっしゃっていたように自宅療養にして、
しんどいときは 又 入院でも往診でもしてもらうようにしようよ」
夫も、うなずいていました。
私はその時、本当に嬉しくて、
『ひょっとしたら リビングから見える桜の花を一緒に見られるかもしれない』
と、思っていました。
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孫が保育所から帰って、ロボットで遊び、
にぎやかな声を響かせました。
夕飯は、ポカリスエットゼリー。
12時を過ぎても 全然眠くないというので、
一晩中 とりとめのない話。
「寒くないの?」・・「寒くない 暑いくらい」
「眠くないの?」・・「眠たくない おまえは寝ろよ」
「しんどくないの?」・・「全然しんどくない、大丈夫」
「ポカリ飲む?」・・「うん、ひとくち」
午前6時頃
「寒くない?」・・「暑い 汗かいてる」
「お布団、薄いのに換えるわ」・・「うん、ちょっとスマホ取って~」
「はい、スマホね~」
・・・
「お布団、換えるよ・・・」・・「・・・」
「お父さん・・」・・「・・・」
・・・ 夫の 骨だけになった顔を眺めました。
(今 なんだ・・・)
スマホを膝に乗せて、深く深く眠っていました。
息はありましたが、
隣に住む息子やお嫁さん、孫が呼びかけても反応はありません。
救急車で医療センターへ運ばれ、
待ち受けてくれていた主治医のもと、
午前8時過ぎ 息を引き取りました。
スマホで何を見たかったのでしょう。
夫はまぶたを閉じただけかもしれない。
『フッ』と不覚にも眠ってしまって、
『あれれ~~?』と思ってるかも、
なんてね。
そんなに急がなくても良かったのに
ドジやね。