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MY LIFE AS A DOG

ワイングラスの向こうに人生が見える

ザ・コーヴ

2010年07月26日 21時07分16秒 | 映画
映画「ザ・コーヴ」を見に渋谷へ。

過熱気味だった報道も最近はなりをひそめ、そろそろ客足も下火かと思いきや、劇場の前には長蛇の列。
諦めかけて一度はもと来た道を戻りかけたが、やはりと気を取り直して再び列にならんだ。およそ10年ぶりに立ち見の映画鑑賞となった。

しかし、実は、客席に入ってみて初めてわかったのだが、なんとその日は、映画評論家、町山智弘氏のトークショーが予定されていた。つまり、混んでいたのは、多くが町山目当ての客だったからなのだ。(ちなみに、聞き手は雑誌“映画秘宝”編集部の岩田和明氏)

突然の“ナマ町山”登場に、思わず僕も「ラッキー!」とほくそ笑む。
上映開始までのわずか10-15分という短い時間ではあったが、町山節を堪能した。

トークショーの内容を思い出すままに箇条書きにしてみる。

1. 何故「ザ・コーヴ」がアカデミー賞を獲れたのかという質問に、「そんなのわかるわけねーじゃん」と前置きしつつ、「強いて言うならノミネート作品のうちで、一番金がかかっていて、ちゃんと作ってあったからじゃないの?」と。
2. この映画のプロデューサーのジム・クラークという男はアメリカでも屈指のIT長者で、捕鯨反対運動の急先鋒。この男が湯水のように資金を提供したおかげで映画は、尖鋭的な環境保護活動礼賛のプロパガンダ映画となった。しかし、アメリカでは全くヒットせず、おそらく1億円も回収できていないのではないか。とはいえ、もともとジム・クラークが自己満足のために作った映画なので、ヒットしてもしなくても本人的には痛くも痒くもない。
3. 何かの調査によれば、アメリカ人の98%がこの映画を支持したとのことだが、一方、イギリスやヨーロッパでは“とんでもない偏向映画”“人種差別的”など、この映画に対する批判的な評価もかなり出ているとのこと。
4. 実際に太地町の人々にインタビューしてみると、彼らが怒っているのは、映画の内容についてでは必ずしもないという。それよりむしろ「この美しい自然にかこまれた太地町の姿をぜひカメラに収めたい」と言ってやってきたスタッフたちに騙されて、はじめは町をあげて撮影に協力し、一時、活動家たちに栄誉賞(?)まで与えたのに、いざふたを開けてみると、一方的な太地町バッシング映画ができあがってしまって、完全にコケにされてしまったことに対して激怒している。
5. “イルカ漁は日本の伝統だ”という意見があるが、実はこれは正しくない。すくなくとも太地町でイルカ漁が始まったのは1960年代末に入ってから。
6. キリスト教では従来、天国に行けるのは、魂のあるもののみの特権であるとされてきた。昔は黄色人種にも黒人にもネイティブアメリカンにも魂などないと考えられていたので、彼らを殺戮することに何の躊躇もなかった。ところが、やがて黄色人種にも、黒人にも、ネイティブアメリカンにも等しく魂があると考えられるようになり、“たとえ黄色人種といえども簡単に殺傷してはいけない”ということになった。その延長でクジラやイルカにも魂があるということになっている。
7. アメリカでは動物保護のための法律が厳しく定められている。たとえばカリフォルニアでは、動物を檻に入れて飼ってはいけないことになっている。鶏を飼う場合ブロイラーは禁止で、放し飼いにした地鶏でないとダメということになっている。についても苦痛を与えないように行わなければならない。
8. この映画の上映中止運動について。この映画がどれぐらい偏向しているのかは、実際にこの映画を見てから判断すべき。実際に見てからでないと、個別の内容について反論を行うことができない。したがって上映中止運動は合理性を欠いていると言わざるをえない。
9. この映画のアカデミー賞受賞に気を良くして、第2弾「Dolphin Warriors」の製作が始まっている。今回は太地町のみならず静岡県伊東市もターゲットになっている。

とはいえ、やはりラストのイルカを殺しまくる隠し撮りシーンはかなり衝撃的だったなー。
以上更新おわり。
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2 コメント

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Unknown (Z)
2010-07-27 19:48:45
ザ・コーヴですか
マスコミ騒動が無ければ、十分deepな映画では・・・

まあ、キリスト教は矛盾の多い宗教ですね。というか、内部の権力闘争に利用されているのですかね、馬小屋で生まれた方は・・


examはネットサーフィンでたまたま見つけたものです

来月、シアターNで
"わが闘争”
”続・我が闘争”
を同時放映するみたいなので、deepに浸ってこようかと思ってますが・・

公安に張られますかね?
返信する
Zさn (kazu-n)
2010-07-27 23:02:13
>来月、シアターNで
>"わが闘争”
>”続・我が闘争”

そりゃ間違いなくディープですよ!

ちなみに“わが闘争”はDVDでみました、”続・我が闘争”は未見です。

ところで、どうでもいい話ですが、先月、池袋の新文芸坐のオールナイトでミハイル・ロンム特集があって、“野獣たちのバラード”を上映するというので、見に行こうか真剣に悩みましたが、上映時間が午前3時半~5時半というので結局あきらめました。
これは、海外ではDVDになってるんですが、日本ではリリースされていません。
アメリカ盤を購入するかどうか迷っています。

ゴダールの“映画史”のなかでたびたび引用されていて、非常に見たい映画の一つなんですが。
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