明海大学大学院応用言語学研究科

Meikai Graduate School of Applied Linguistics

烏は何羽?

2013年07月27日 | 日本語

昨日の日本語学特論では、日本語の「数」について、議論をしました。

 「有名な話だけど」という言葉を添えられて、佐々木教授が、松尾芭蕉の「古池や蛙飛びこむ水の音」の「蛙」は何匹いるかという質問をなさいました。5名の大学院生(1名日本人、4名留学生)全員が「1匹」と答えました。日本人であれば、おそらく大多数の人が「1匹」と答えるでしょう。しかし、実は「1匹」という証拠はどこにもなく、「蛙合戦(かわずがっせん、蛙が苦手な方はクリックをしないでください)」の可能性もないわけではないそうです。ちなみに、正岡子規、斎藤秀三郎、エドワード・サイデンステッカー氏は単数で、ラフカディオ・ハーンは複数で、それぞれ英語に訳しています。
 次に同じく芭蕉の句「枯枝に烏のとまりたるや秋の暮」の「烏」は何羽か、という問いに対し、1名が複数羽、残りの4名が1羽と答えました。正解はこちら
 描かれている烏は複数います。秋の夕暮れを背にしたとき、複数いる烏よりも一羽の烏の方が映えると私はこの俳句を見て感じました。しかし、芭蕉が描いたこの光景はリンク先の絵の通りです。
 「古池や」の俳句からは翻訳の限界を学び、「枯枝に」の俳句からは俳句の鑑賞の難しさと自らの無知を痛感致しました。【大塚孝一 M1】


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