昔のことを思い出した。なんだかイヤな気分だ。
当時働いていたところでの話。僕は組織のリーダー。一応手当も付くので正式な役職になる。仕事ができない人物がいた。形式的には上司と部下という関係。
ある時、注意をした。というか、問題があるにも関わらず、仕事に対する自覚がなく、結構いい年齢でもあったので。周りのスタッフも、彼が仕事ができないと不満を抱いていた。
今だから正直に言うと、彼のことを「頭が悪い」と見下していたのだと思う。それが表に出てしまったのかもしれないが、彼自身がそういう点に劣等感を持っていたのではないかと思う。
ちゃんと引き受けて、反省し、自ら仕事の改善に向かってくれればいいのだが、自分のミスを隠したり(大したミスではないけど)、自分が仕事を理解していないことを悟られないようする。彼の自我の保ち方だったのかと思う。
思わず「お前」と言ってしまった。「その程度の仕事さっと終わらせられるだろ!」という感じの事も言った。彼は少しばかり声を荒げて「すぐできないんです」と答えて来た。これが人より仕事で劣っていることを表す言葉であったように、いまでは思う。
「お前」と呼んだことに反応し、「パワハラだ」とも言っていた。僕は彼が「上司ー部下」の関係性を理解できないで、対等だと思っているように感じた。それでは仕事が機能的に働かないことになる。
多分彼の自尊心を傷つけたのではないかと思う。当時はそのような自尊心を理解していなかった。彼は他でセクハラ疑いがあって、会社から相談を受けて引き受けた、そういう経緯があったので、僕の方も彼の振る舞いを気にしすぎていたのかもしれない。
結局彼を傷つけたのだろう。同時に僕もそのことで傷ついている。
ダメだなあ〜。俺って。いまでも気にしてしまうのだから。人間の心は弱いとつくづく思う次第です。