たまたま大竹まことのラジオをポッドキャストで聞いていた。出演していたのは政治学者の白井聡さん。『永続敗戦論』で知られる。
彼の話に驚いた。新刊を書いたそうだが、堀内雄作という学者の研究を紹介していた。その前提は、これほどまでに日本政治が凋落しているし、経済もダメになっているにも関わらず、なぜ自民党支配、あるいは現状の支配層の支配が揺るがないのか?そんなとこである。
経済という点であげていたのが、数年前に1人あたりのGDPが韓国に抜かれたこと、もうすぐ台湾に抜かれることをあげていた。アジア1豊かな国であった日本は過去のものである。
そこで堀内氏の研究である。政党名を抜きにして、外交・経済・福祉等々の政策を並べる。人々がどの政策を良いとするのかを指摘してもらう。その結果は政党抜きで政策だけで選ぶと、なんと自民党の政策は支持されていないことがわかる。だから自民党は政策で支持されているわけではない。
次にその政策に政党名を付け加えて選んでもらう。そうすると不思議なことに、自民党の政策に支持が集まってしまう。
この結果を考察するまでもないが、人々は政党支持を政策でしているのではなく、自民党だから自民党を支持しているとなる。人々は看板だけで選んでいるということになる。
白井さんはこの研究結果に衝撃を受けたようだ。なぜなら政治学の前提は合理的近代人、つまり政策を判断して政党支持を決定するという理念を前提とするからだ。
とすれば、合理的判断であれば、政策を判断するのだから、自民党に票は集まらない。ところが実際は選挙で自民党が勝つわけだから、矛盾している。そうすると、日本人は政治という点で、合理的近代人になっていないで、なんだかこれまでの流れの中で自民党を選んでいたのだから、今回も自民党を選ぶという心理というか”空気”を作っているということであろうか。
しかしながら、空気であるならば、あの山本七平が言ったように、急激にひっくり返ることもあるということだ。一億玉砕、一億総懺悔の日本が敗戦で、反米が親米従属になったように、変化の可能性がないとは言えないとも思う。
僕はここを日本文化の深層として考えてみたいとは思うのだが・・・、この現状志向って何からもたらされているのだろう。