足を怪我してから、勤務先と自宅の往復だけで、殆ど外出していない。
休日は自宅にこもって時間をもてあましていては、もったいないと思い
ボサノバ・ギターの練習をしている。
ボサ・ノバは1950年代にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで生まれた音楽で、
ジャズとブラジルの音楽であるサンバやショーロ、特にサンバ・カンサゥン
などと融合させて創作した音楽と一般的に言われている。
ボサ・ノバはポルトガル語なので、ボッサ・ノーヴァと発音するのが
ネイティブに近いらしい。
Bossa = 傾向、Nova =新たな起こり つまり新しい傾向や流れと云う
意味になる。当時、それまでのブラジル音楽とは一線を画していたので
「新しい音楽」としての一大ムーブメントを起こした。新しいブラジル
の音楽としてボサノバが広まったが、そのほかにも新しい音楽として
MPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)などもある。
しかし、現在は本場のリオ・デ・ジャネイロではボサ・ノバは衰退して
あまり聴くことが出来ない。フランスや日本では根強いファンが多く
よく演奏しているが。
ボサノバを生み出したアーティストは、アントニオ・カルロス・ジョビン
(トム・ジョビンとも呼ばれている)、ジョアン・ジルベルト、ナラ・レオン、
ルイス・ボンファ、ヴィニシウス・ヂ・モライス、カルロス・リラなどなど。
有名なボサ・ノバの曲はトム・ジョビンが作曲したものが多い。
ジョアン・ジルベルトが幾日もバスルームに閉じこもってギターを弾き試行
錯誤の末、それまでにないスタイルのギター奏法を編み出すことに成功し、
ボサノバを創造したとも云われている。ジョアン・ジルベルトのギター奏法
は変奏的なジャズや抑制された曲調のサンバであるサンバ・カンサゥン、
バイーア州周辺で発展したバチーダというギター奏法を取り入れている。
ナラ・レオンが友人を頻繁に自宅に招いてパーティをして演奏し、
そこで生まれた音楽がボサ・ノハだという人もいる。
Nara Leão - 「Meditação」
ジャズのサックス奏者スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルト、トム・ジョビン、
当時、ジョアン・ジルベルトの妻であったアストラッド・ジルベルトが
ヴァーブ・レーベルに吹込みしたアルバム「Getz/Gilberto」の収録曲
「イパネマの娘」が世界中で爆発的にヒットしてボサ・ノバ音楽を広めた。
Andy Williams and Antonio Carlos Jobim - 「The Girl From Ipanema」
トム・ジョビンがアンディ・ウィリアムスのTVショーにゲスト出演して歌っている貴重な映像。
最初のボサ・ノバの曲と言われているのが、トム・ジョビンが作曲し
ヴィニシウス・ジ・モラエスが作詞した Chega de Saudade。
(シェガ・ジ・サウダージ、邦題:想いあふれて 英語のタイトルはNo More Blues)
演奏するのがたいへんむつかしく長らくレコード化できなかったとトム・ジョビンが
語っているが、ジョアン・ジルベルトと知り合い、ジョアン・ジルベルトがとても巧く
ギターの弾き語りだけでChega de Saudadeを歌ったのでトム・ジョビンは
すぐにレコーディングの準備をしたと。
Joao Gilberto - 「Chega de saudade」
ジョアン・ジルベルトが娘のベベウ・ジルベルトと歌っている貴重な映像。
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高校生の頃からずっとボサ・ノバをギターで弾き語りしたいと思い続けて、
ウン十年(笑) 未だに、まったくと云ってよい程、巧く弾けない。
レッスン受けないと無理だよと友人は言うので試しにギター教室(ジャズギター
専科)に少しだけ通った。楽譜の読み方、音楽理論ばかりでなかなか実際の
弾き方を教えてくれないので、途中でやめてしまった。
結局、レコードやCDを聴いて教則本を読んで弾いているが、なかなかプロが
弾いているようにはならない。
単にコードを押えて、リズムをとればいいと早合点してしまいがちだが、実は
通常のコードフォームではボサ・ノバの雰囲気がでない。
たとえば、ドミソの和音はCコードだが、ボサ・ノバでは、これをドソシミの
CM7やドミラのC6など不協和音にならない音をプラスする。
A7(♭13) など、フォークソングやロックなどでは使わないコードも頻繁
に使われている。
なので、ギターの弦を押える指の位置を覚えるのがむつかしく、それを覚えても、
スムースに動かすのにかなりの練習を必要とする。
「バチーダ」と呼ばれる奏法は、右手の親指でベース音、その他の指で和音を弾く。
(右手の小指は基本的に使わない)
シンコペーションも大事。そして、コードを押えたまま弾いていては単調になり、
少し浮かせたり強く押えたりして音に強弱をつけたりもしなければならない。
コードを覚えたら、次はリズム。(基本は4/4拍子で2小節でリズムを取る)
まずは、一番わかりやすいリズムパターンは、タン・タン・ド・ターン ・ タン・タン・ド・ターン
このリズムは高校時代にマスターした。
そして、少しむつかしいリズムで、タン・タン・ド・タン・ターン・タン・ド・ターン
(真ん中のターンは小節をまたぐ)
まだある。
タン・タン・ド・タン・タン・タン・タ・ドン・タン(5つ目のタンは小節をまたぐ)
タン・タン・ド・タン・ドン・タン・タ・ドン・タン(5つ目のドンは小節をまたぐ)
小節をまたぐ音がちょっと「つまづいた」ようなリズムになり、これをシンコペーションと
ボサノバでは呼ばれている。
このあたりのリズムは何度も弾かないと覚えられない。
オフビート(アフタービート)のリズム感(小節内の弱拍にアクセントを置く。4/4拍子の場合、
通常一拍と三拍にアクセントを置くが、これを二拍、四拍に置く)は日本人には、先天的に
備わっていないと音楽雑誌で書いてあったが、本当にこの感覚をつかむのに苦労する。
これらのリズムパターンを曲によってはアップ・テンポやスロー・テンポで弾かなければならない。
ボサ・ノバの映像を見てリズムの感覚を身に付けようっと・・・・
小野リサ & 渡辺貞夫 -「So Danco Samba」
ジャズ演奏、Charlie Byrd -「Wave」
Nova -「Insensatez」("How Insensitive")
Andrea Motis & Joan Chamorro Grup -「Desafinado」
スペインの新星、アンドレア・モティス。まだハイ・ティーンだが、
トランペットやサックスも演奏する。彼女のヴォーカルがとてもキュート。