リヨン駅から今度はTGVに乗った。来た時は在来線でポールボキューズのレストランが車窓から見えたが、残念ながら路線が違うため、TGVの車窓からは見えなかった。
リヨン17時4分発で、ディジョン着は18時39分着の予定。
TGVで1時間35分、在来線で2時間なので、列車の時刻に合わせてどちらを選んでもよさそうだ。
座席について、ほっとして車窓を楽しんでいると、1人のムッシュがやってきて、切符を見せ「ここは私の席なのだけど」という。
びっくりして、私も自分の切符を確かめた。
やはり同じ席だったので、私の切符をムッシュに見せた。
このムッシュは「あれ!?ダブルブッキングかなあ」と、空いているほかの席に移ってくれた。
そんなこともあるのだなあと、親切なムッシュの移動に感謝して、何度も切符を見たが、やはり同じ席だった。
しかし、しばらくしてよーく見ると、なんと!!!5月2日ではなく、6月2日になっているではないか!!!!!!もちろん私の切符が。
それからの私は、ディジョンに着くまで、気が気ではなかった。
もし、コントロールの車掌が回ってきたら、罰金だ。
ドアが開くたびに、ドキドキ!!!
カウントダウンではないが、あと1時間余りの間、ディジョン到着時刻へ向けて、時間ばかり気にしながら、その席に座り続けた。
席を移動してくれたムッシュは、近くにはいなかったが、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
エスカレーターは元国鉄職員なので、今回の旅にあたり、旅程を相談した時、国鉄のサイトを何度も送って、「この切符を今取れば、この値段だから取ってあげよう」と言ってきたのだった。
だが、お金の精算もややこしいし、何といっても日本から簡単にネット予約もできるので、大丈夫だと答えたのだが、この区間に限って、彼が示した料金は、私がネットで確認した料金より安かったのだ。それで「じゃあお願いしようか」とこの区間だけ、切符を彼にお願いした。
そのこともあって、リヨンへ旅立つ前に、ディジョン駅に来てくれて切符を渡してくれたのだった。
しかし、その切符が、1か月後の切符だったとは!!!!!
そりゃ、安いはずだ。フランスの国鉄切符は予約する時期によって値段は変動する。
1か月後なら安くて当然のこと。
うかつだった。もちろんちゃんと確認できなかった自分を責めた。
予約時にも、最悪でも受け取った時に確認できたはずだったのに。
前年バスク(時系列を逆行しているので、これは次の旅行記になる予定)に行ったときもチケットの確認ミスで痛い目に遭っていたというのに。
そんな思いが交錯しながら、ディジョン到着を、祈るような気持ちで待っていた。
その思いが通じたのか、幸運なことに車掌がコントロールに回ってくることはなかった。
フランスでは、ほんの短い距離でも回ってくることもあれば、長距離でも回ってこないこともあるのは知っていた。でもこの時ほど、回ってこないことを願ったことはなかった。
やれやれ、どうにか、到着。
エスカレーターは奥さんとともにホームで待っていてくれた。
まず、エスカレーターに会ったら、このことを言わなくっちゃ。