笑の輪  ~えみのわ~

「大工集団 楽居」の家づくり
~家づくりのあれこれ・楽居の日常~

土壁と木の家

2012-07-03 09:15:19 | ふと考える事
湘南エリアの海の家がOPENしましたね。
今年の夏も暑そうです。

先日の台風の時、一軒の海の家が、134号線までそのまま飛ばされて建っていたようですね。
そのまま浮き上がったということでしょうか。。
2ヶ月間大きな台風が来ないことを願います。

壁についてふと考えてみました。

壁といえば、土壁ですが土は、全国どこでもあります。
でも、その土の性質は様々でその地方により左官屋さんやもっと昔は
地域の人々が、自分の地域では、どこの土が、壁にできしているのか
経験によって使っていたといわれます。

粘りの強い土

土壁は、藁と水を混ぜ発酵させて塗るのですが
そのため、粘りが強く乾いたら硬く固まってくれる土が適しています。
本来は、土なのでそんなに遠くから持ってきて塗るようなものでは
ないですね。昔は、その地域で取れる土を壁に塗っていたんです。

でも、現代の状況からすると、近くに山がなかったり
土を寝かしておく場所も限られてしまうので
やはり、土屋さんより頂いたほうが、早いです。

京都に聚楽土という土があります。有名な土なので一度は耳にした事が
あるかもしれません。
この聚楽土、現在では、その場所では採れないそうです。
京都の数奇屋造りやお茶室などに使われている土が聚楽です。

聚楽の特徴は、乾くととても硬くなり、収縮が小さく割れが少ないのが特徴で
水にも強く火にも強いと・・・・
そんな聚楽土も今は少なくもう採れないそうです。
では、現在聚楽として扱われている物は何かというと
聚楽土が取れていた周辺で、同じような色や性質の土を
混ぜたものなのだそうです。
土は、その地域の物なので、似たような・・・・というよりは
ほぼ同じ物なのでしょう。

京都では昔から、聚楽という土があり、数奇屋造り、お茶室などで使われ
現代まで、理想的な土として使われていますが

関東にも、土はあります。
荒木田土という土です、聚楽土と比べると、粘りが少なく乾いて固まっても
そこまで硬くはなりませんが、やはり地域のものです。
その地域に土があるという事は、その地域の土の扱い方を知っている左官屋さん
がいるのです。荒木田土には、荒木田土の塗り方が、聚楽土には聚楽土の塗り方が
あるのです。
だから、聚楽を塗るときには、京都の左官屋さん・・・・となり
荒木田の土を使う場合は、関東の左官屋さん・・・・なるのでしょうか。
使う土を扱いなれている方が塗るのが理想的ですね。
昔と違い今は全国どこでも行き来することができ、左官屋さんの情報や技術の継承
京都まで行き修行し、関東に戻られる方もいれば、関東に修行にこられる方も
技術は、残りそして広まってると思います。

ところで楽居では、どこの土を使っているか・・・岐阜です。
黄色の綺麗な土です。粘りが強く乾くととても強く固まります。
私は、この土が好きです。色もいいのですが、何より硬い。

土壁をもっと身近なものにしたい
便利で、施工性のいい物が、たくさん普及したため
土壁が、扱いにくくとても高価なものになっているような気がします。
そもそも「土」。

日本の気候を考えると、土壁が良いと考えます。
石膏ボードに塗った漆喰ももちろん調湿しますが
土壁になると壁全体が土のため、調湿の力が圧倒的に違います。
壁全体で呼吸しています。そして、柱や梁、土台に使われている木も・・・
ということは、柱や梁、壁 「家全体が呼吸」しているということ

木をたくさん使っている家の空気感は、入った瞬間 違うと感じます。
プラス、土壁にした時自身の呼吸も変わるのでは、
外では、緑が少なく、アスファルトやコンクリートに覆われた道を歩き、車が行き交います。

家の中の空気がキレイ。自然なものに囲まれて暮らす事が一番良いと考えます。






楽居では、土を使う家づくりをしていますが
夏の暑さや、冬の寒さ・・・現在の家の気密性を考えると
こんなに古くから親しまれている土壁。

力を発揮するでしょう。

今こそ木をたくさん使い、壁に土を塗る家がいいのではと



ふと考えました。







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