早川書房
訳・入江真佐子
2021年8月 初版発行
395頁
日常的に嘘をつき暴力を振るう9歳のジェシー
愛着障がいと診断され、トリイが担当することになります
トリイ・ヘイデンがアメリカで虐待問題に取り組み始めた1970年代末のこと
ベトナム戦争の影響で虐待やDVなどの家庭内暴力やアルコール・薬物依存症が著しく増加したのを背景にアダルトチルドレン=ACという言葉が誕生します
日本では1990年代半ば、このような虐待への取り組みの延長線上でACブームが起こり2000年には「児童虐待防止法」が制定されることとなりました
現実をみれば児童虐待がなくなる気配はありません
憂うべきことです
半分くらいまで辛くて辛くて…時間がかかりましたが、少しずつジェシーに希望の光が見えてきてからはどんどん読み進めました
ジェシーの前では常にフラットであり続けようとするトリイのやり方には驚きと感動しかありません
本当はトリイが携わるような仕事が不要になる世界がくると良いのですが…
訳者あとがきより
本書が訴えかけているのは、その子供がどんな悲惨な経験をしようと、ひとりの人間として正面から長期にわたりかかわってくれる援助者がいれば、必ず希望があるということだ。
どれほどエビデンスが積み重ねられようと、息長くあきらめずに信じつづけてくれる援助者の存在にまさるものはない。
援助者には勇気を、そして多くの読者には希望を与えてくれる一冊である。
原題は「LOST CHILD」
日本語のは仰々しすぎやしませんか?
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