ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

お城の中の高校

2013-03-18 | Weblog
JR高槻から新快速で一時間余り。初めての彦根。駅から10分ほど歩くと彦根城がある。
門前の団子屋のおじさんに彦根東高校を聞く。指差した向こうはお堀の内側。
学校がお城の中なんて素敵だなあと思いながら到着。
晴天の日曜日。顧問の福永祥子先生から知らせていただいて楽しみにしていた「ポプコーンの降る街」を観に行った。

高校生の演じるお芝居に涙を流すとは思ってもみなかった。

決して上手な演技ではない(ゴメンナサイ)。場所も体育館。セットも簡単。隣の席では女子高生が居眠りをしている。でも、私の書いたフータロウもミトもタキも老人も男も、「ポプコーンの降る街」の住人達は、魔法のように、ちゃんとそこに存在していた。

君たちはすごい!泣けたよ!と言いたかった。でもどこがすごいのかを説明するのは難しかったから、あたりさわりのない「よかったよ」でお茶を濁してしまったのだけど。

私はきっと、作者にしか味わえない不思議で特別な感情のことを思っていたのだ。
お芝居を書いていてよかったなあと思うのはこういう時だ。
自分が作り出した登場人物に、思いがけない形で会うことが出来る。
ひょっとして作家にとってのよい役者は、恐山の「いたこ」なのかもしれない。

「いたこ」呼ばわりされて不服かもしれないけれど、一般的にみても、いい舞台だったと思う。広い体育館にマイクなしでもちゃんと声が届いていたし、演技も演出も変に作ったりせず素直で、選曲も素敵だった。何よりも、一つ一つの言葉を大切に発していた。

終わったあとで、みんなでお話もさせてもらって、私なんかのサインを家宝にするなんてうれしいことも言ってくれて、ちょっと幸せな気分にもさせてもらった。

記憶を失ってさまよう男の気持ちなんてわかるわけないよね。
売春をしながら恋人を探している女の気持ちも、やっぱりわからないよね。
老人はたんたんと棒読みで(でも、きっちりとした棒読みだった!)、
娘は舌足らずで(でも、一言一言から一生懸命が伝わってきた!)、
それで作者を感動させたんだから、君たちはすごいんです。

帰り、お堀の中を泳ぐ白鳥をみつけた。
飛べないのかな。きっと羽を切られた白鳥なんだろうな。
なんて思っていたら、すーっと私のほうに寄って来てくれた。
くちばしを触ってもじっとしている。
これにもちょっと感動。

彦根城も一時間ぐらい散歩できた。
広いのだ。門から次の門まで、それから天守閣まで、長い長い石段が続いている。
昔は石段も整備されてなくて、けわしい山道だったのだろう。
一度お城の中に入ってしまうと、女たちは一生一人で下界へ降りることなんてできなかったのだろう。
でも、天守閣から見る琵琶湖は、やっぱりきらきらと美しく、そんな心を慰めてくれたのだろう。
……………

ひこにゃんには会えなかったけど、頭も身体もリフレッシュできた一日でした。
門前の団子屋のお団子もおいしかったです。







































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