MINORI(みのりのブログ)

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くい打ち工事データ改ざん問題について③

2015年10月24日 | 家を建てるなら&メンテナンス
くい打ち工事データ改ざん問題について③
今回は、なぜこんな事が起こったのか?を考えてみたい。
まず、誰に責任があるのか?
それは元請の建設業者である。
建物を建てる事を請負、沢山の下請け業者を統括して一つの建物を造り上げる。
それが総合建設業、ゼネコンである。
杭工事を始め、仮設・鉄筋鉄骨・コンクリート・電気・機械・EV・空調・仕上げ・内装・清掃・etc
あらゆる下請けを統括して、建設業者は建物を建て、発注者に引き渡す。
建設するありとあらゆる各段階で、確認する事項が決まっている。
しっかりした仕様書・マニュアルも各社持っている。
それなのに、こんなとんでもない事が起こってしまった。
いかに責任施工とはいえ、必ず各施工の段階で担当者がチェックするのは当然。
ちゃんと教育された現場員が、いかに育っていないかという事。
私も沢山の建物の建設に係わってきて、大手ゼネコンの仕事も監理してきた。
その中で、しっかりした技術者も沢山出会ったが、
どうしようもない技術者まがいの者も見てきた。
ゼニコンと言われる様に、それこそ金勘定、見積りのみで、
現場で墨出し・測量もできない現場員もいた。
現場仕事は全て下請け・契約社員に任せ、現場に出ない。
そんな者に限って、色々の資格は持っていたりするのだ。
根本的に「建物を建てる事に係わる喜び」を感じない者が
綺麗な作業服を着ているのが問題なのだ。
働くとは、「人が動く」と書くことを忘れている。
もちろん直接的な責任は、杭工事の管理責任者にある。
しかし、複数の目で確認する事になっているのだから、
何人かの技術者が見ているのは当然で、
その者達全員が見過ごしたか、理解してチェックできなかったか、
図面と報告書との机上だけの確認で判断とし、気づかなかったか・・・
それとも、判断が甘かったとも考えられる。
それは構造計算を始め、全ての物には誤差や余力は確かにあるのだが、
その判断ができるには、相当の能力と経験がいる。
工事期間の問題や、急に杭の長さを変更するのは大変な事だが、(全ての段取りが変わる)
そこで正しい判断をするのが技術者なのだ!
「しっかり建てましょう!」の一言だけである。
どんな仕事でも同じで、自分が納得がいく仕事をして、責任を持つ。
基本中の基本が、この事件の発端である。
次回は、傾いたマンションを今後どうするか?をテーマにお話したい。

くい打ち工事データ改ざん問題について②

2015年10月24日 | 家を建てるなら&メンテナンス
①では、如何に素晴らしい設計・デザインでも
それを建設する段階での監理が如何に大切かをお話しました。
今回は杭工事について、もう少し解かりやすくお話します。
杭工事と言っても、沢山の種類があります。
昔の建物に使われた「木杭」に始まり、
今はPC杭のセメントミルク工法が一般的な建物では多い。
大きな建物や超高層建物などは、現場打ちコンクリート杭・鋼管杭などが主流。
現場打ちと言っても、その径は2mとかとても大きく長い。(支持地盤による)
一般の方が杭と言えば、コンクリート製の杭を思い浮かべる事でしょう。
見た目は電柱の様な杭を見た事あるでしょう。
長い杭をトレーラーで運んでいるのを見た事があるでしょう。
以前は、通称「岡打ち」と呼ばれる工法で、
先がペンシル型(閉塞型もある)の杭をディーゲルハンマーで打ち込む。
ドンドンとやかましく振動もひどく迷惑になる工法で、
今では余程の山の中、海の中などしか使える状況にない。
直接支持地盤まで打ち込むのだから、大変な杭工法であるが、
振動はものすごく、支持地盤の確認は杭に貼り付けたチェックシートに
鉛筆を当て、何度かの打ち込みの沈み込む深さ何ミリで計算して確認する。
職人は汚れるし危険だし、杭の精度も悪い。
今主流の「セメントミルク工法」は、この杭を打ち込むのではなく、
ドリル(大きなきりの様な物)で地中を掘り、支持地盤を確認し、
(途中の土の状態、先端の付着の土を予め行った調査ボーリング試料と比べる)
掘っていく段階で穴が崩れない様に、セメントミルクと言われる、
水の様なセメントで穴を満たしながら支持地盤まで堀進む。
そこに杭を吊りながら落とし込み、セメントミルクが固まり、
杭がそれ以上沈まないまで固まったのを確認して、固定を外し養生期間に入る。
「現場打ちコンクリート杭・鋼管杭」はとにかく規模が違う。
使われる機械重機も径の大きな杭になると日本でもほんの数台しかない場合もある。
2m以上もある穴を何十メーターも掘るのだから、すごい機械がいるのは当たり前。
前述のPC杭を支持地盤まで降ろし、固めて置いて来るのとは違い、
杭を支持地盤まで掘った穴に作るという事になる。
支持地盤の確認は前述と同じ様に、途中の土の状態、
先端の付着の土を予め行った調査ボーリング試料と比べる事によって判断する。
杭の穴の形状・状態は、超音波の探査機にて確認する。
当然、直接の工事を行う管理責任者と業者の担当責任者・監理責任者も確認する。
今回のデータ改ざんは、この時点での判断を隠蔽した事によります。
そこに地上で組み立てた鉄筋のかごを挿入し、コンクリートを打設する。
杭の長さ、地盤の状態によって違うが、1本作るのに2日とか3日とか係る。
これを建物の規模によっては何ヶ月も係って何十本もつくるのだ。
監理者は朝早くから一日中、色々の確認を行い指示していく。
全数立会いが杭工事の原則なのだ!
この他にも、特殊な杭「摩擦杭」「地盤改良に近いラップルコンクリート」など
沢山の杭や工法がある。
それを立会い確認する監理は経験が大切なのです。
昔の木杭(松の木)でも、腐りにくい様に常水面より下まで打ち込むのが基本。
建築物を創るという事は、杭工事だけでも沢山の技術者が係わって創っていく。
「創る」という行為が好きで・喜びと感じる人でなければやれない。
沢山のそういう人間が係わって建物は出来上がるのです。
次回③は、なぜこんな事が起きたのか?を考えてみたい。