湿原散策の後は、勿論、セットと言っていい天山だ。
去年、大雨の被害により、天川登山口までの道路は壊滅状態となった。
(去年9月の被害状況)
あの時は、登山口までの数キロを、歩いてアクセスするしかなかった。
果たして今回、道路は復旧しているだろうか。
ウホホーイ!
水害以前より、綺麗になってるぜ。
まあ、当たり前だけどね。
感謝、感謝である。
天川登山口到着。
ここからは30分で頂上に着く。
とても山登りとは言えないが、かと言って、サンダルと言う訳にもいかぬ。
山靴の紐を締め出発だ。
暫くは樹林帯が続く。
コバノガマズミ
不意に空が開けると、頂上はすぐそこだ。
「あ、ヒメハギだ。可愛かあ。」(家内)
「バイカイカリソウやん。うひょー!」
何か知らんが、この日ヤツが見たかった花の一つらしい。
「あ、またあった。可愛かぁ。」(家内)
「しぇからしか!お前が一々止まるけん、全然前に進まん!とっとと歩かんか!」(私)
「お、ミヤマキリシマ咲いとるぞ。ワーイ!」(私)
「しぇからしか!お前もとっとと歩かんか。」(家内)
山頂到着。
石碑の上から、ハシブトガラスのお出迎えである。
「何はともあれ昼飯だ。」
「えー、モウセンゴケポイントまで、先に行こうよ。」
「今食べんと俺は気絶する。それともここで、倒れてもよかとか。」
腹ペコなあまり、言う事を聞かないと、気絶してやると妻を脅す夫。
子供らには、決して見せられない姿である。
もぐ。
いと美味し。
お握りの食い跡越しに見える黒い影は、先程のハシブトガラスである。
あのカラスは、虎視眈々と私の足元を狙っているのだ。
何故か。
加齢とともに口元が緩くなったのか、近頃私は、ポロポロと飯粒をこぼすようになってきた。
カラスにしてみれば、私の口など、降って湧いたように現れた、便利な自動給餌器でしかない。
そしてその足元は、正にあのカラスの餌場なのだ。
そのうちカラスは、図々しくも、ピョコピョコ歩いて近寄ってくるようになった。
早くそこを立ち去り、その餌場を譲れと言うのだ。
「ケッ、カラスにも舐められてやんの。」(家内)
「グムムム、、、、まだ食っとるぞ。アッチ行け!!」(私)
カラスにむきになる私であった。
ヤマフジ
では、飯も食い終わったし、この場所はカラスに譲ってやり、モウセンゴケでも見に行くか。
稜線は、思いのほかミヤマキリシマが多い。
無論、九重で見る様な、圧倒的なボリュームには、遠く及ばない。
それでも、期待していなかった分、何か得した気分である。
暫し稜線漫歩を楽しむ。
と、言いたいところだが、下から聞こえてくる車の轟音の、うるさいのなんの。
麓の天山スキー場は、オフシーズンにはサーキット場へと変わる。
今、一台の車が、ドリフト走行の真っ最中なのだ。
バウバウ
キキキキー!!
およそ、この風景と不釣り合いな騒音と共に、稜線歩きを楽しまねばならぬ。
有明海側。
この日、雲仙普賢岳は見えず。
何の種子だろう。
弾けて綿帽子が広がっている。
タンナトリカブトの葉。
また秋になれば、鮮やかな花を咲かせてくれることだろう。
サルトリイバラの実。
「あった。モウセン・・・ 。あ"ー!!虫が捕獲されとる。ビャー!」(家内)
「ど、ど、どこに!」(私)
お分かりだろうか。
これだ。
モウセンゴケが食虫植物である事を、改めて認識させられる。
この時はまだもがいていた虫だったが、帰りにもう一度確認すると、動かなくなっていた。
目の前にあるこの小さな世界は、厳しい生存競争の現場なのだ。
「寒葵みっけ。」
「花が咲いとる♫」
不気味としか言いようが無い花だが、ヤツはこの花が大好きなのだ。
枯れたショウジョウバカマ。
では、そろそろ降りるとするか。
今回、諸々ラッキーな山登りだったよ。
来月もまた、この山に登る予定である。