花見の季節がやって来た。
毎年、その手始めはここである。
南阿蘇アスペクタの河津桜である。
見頃としては若干過ぎた感はあるが、それでも十分楽しませてくれた。
活発に活動を続ける中岳。
この日も高岳を覆うように、噴煙が棚引いている。
さて、丁度昼時だ。
弁当を広げよう。
桜の下にシートを敷き、雄大な阿蘇と河津桜を見ながら、お握りをパクつく。
「にしても、少し大きく無いか?」(私)
「オッチャンの分はそれでいいと。」(家内)
本当なら「ビール!」と言いたいところだが、家内が運転を代わってくれる筈も無く、
ビールは熱いお茶となり、
「回転焼きでも食え。」(家内)
となる。
「ふー、お腹いっぱいや。」(私)
腹ごなしに、斜面一杯に植栽された河津桜を見て歩こう。
見返りヒヨちゃん。
お散歩ツグミちゃん
外輪山に向かい、巨岩がせり上がるように連なる。
ラクダ山のそれと同じく、これもかつてのカルデラ噴火の痕跡に違いない。
そろそろ場所移そう。
「エモくて映える場所があるげな。」(私)
「エモくて映える?どこ?」(家内)
ここだ。
かつては、参勤交代の行列が通った街道である。
この街道の先に、エモくて映える場所がある。
江戸時代の姿のままと思われる道を5分ほど歩くと、右手に階段が見えてくる。
「ここを登るみたいやな。」
階段を登り詰めた先に、赤い鳥居と稲荷社が見える。
稲荷社に着いても、そこがゴールではない。
アクセス道は九十九折りへと変わり、尚も続いていく。
ゴジュウカラ
つづら折りが終わると、今度は直登の階段だ。
いい加減、息が切れてきた。
ようやく終わりのようだ。
もうすぐ見える筈だけど・・・
あれか。
エモくて映えるってえのは。
そらふねの桟橋
山頂から空に向かって、着き出すように伸びた桟橋だ。
目の前には阿蘇谷と阿蘇五嶽がドーンと横たわる。
因みに、先ほどアスペクタで見ていたのは阿蘇の南斜面、今見ているのは反対側である。
目を転じれば、外輪山の彼方にくじゅう連山の山影が。
山頂から少し降りたところにテラスがある。
横の建物は、売店風だが今は無人のようだ。
「ここで、コーヒーとか飲めたらよかやろな・・・ぬっ」
桟橋を振り返ると、
お揃いの白いコートを着た、若いカップルの姿が見える。
「ケケ、邪魔しに行くか。」(私)
「止めとけ!」(家内)