旅立ちの準備で一番厄介な事。
それは猫たちを、福岡に住む娘の所に預けに行く事である。
一般的に、猫は車に乗る事を嫌う。
猫達にとって、普段聴く事のない街の喧騒、恐怖でしかない車の振動や走行音。
気の毒としか言いようは無いが、我慢してもらうしか方法はない。
玄関に置かれた、猫たちの所帯道具。
後は、お気に入りのクッションや、オモチャ等の小物をビニール袋にまとめて・・・
お前が入ってどうする!
まるで、飛んで火に居るなんとやらじゃないか。
ここまではいい。
猫たちは気づいてはいない。
が、荷物を車に詰め込む段になると、さすがに猫たちも警戒しだしたようだ。
私たちから少し距離を置きだした。
フッ
無駄だ。
計算済みだ。
私たちには、 これまでの蓄積がある。
ここからの作業は、一気呵成に事を進めなければならないのだ。
片一方づつゲージに入れるなんて悠長な事をしていると、残った方は瞬時に部屋の中の狭い隙間に逃げ込んでしまう。
出てきて貰うためには、大変なご機嫌取りをせねばならない。
躊躇などしている暇はないのだ。
私はウメ、家内はフクを担当。
不意打ちと言っていいタイミングで、二匹同時に、せえので抱っこ。
確保!!
『フニャーーー』
間髪を入れず、福岡出発!!
ブイーーーン
という事で、場面は娘の部屋に変わる。
なんと、娘は新品の豪華キャットタワーを買っていた。
「こんなもったいないことをして。家のを持ってきてるのに。」(家内)
「老猫用って書いてあったから。」(娘)
そんな問題じゃないやろ。
まったく・・・
手ぐすねを引いて待ってる感丸出しやんか。
ピューーーー
たちどころに、ベッド下に隠れる二匹。
儀式と言っていい。
暫くすると、先ずはウメがパトロール。
続いてフクも。
実は、娘は今年の夏前に、引っ越しをしている。
猫たちお気に入りのロフトや、キャットウオークがあった部屋とは変わっている。
いつもの別荘と思いきや、勝手が違う事に困惑している様子である。
自分の置かれた運命を受け入れ、落ち着けそうな場所を探すフク。
ごめんな、身勝手な飼い主で。
来月、迎えに来るからな。