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おいしい酒を紹介できたら良いな!

お酒のお供Y・・・165

2015-06-03 11:47:55 | 日記


うまや火事



勝気でおしゃべりだが、純情なところもある髪結いのお崎が、

亭主のことで仲人に相談にきている。仕事で遅くなったのが原因で

夫婦ゲンカになり、もう別れたいと言うのだ。毎度のことなので

仲人も慣れたもの。今回は二人にお灸をすえるつもりで、女房を

働かせて昼間から酒を飲むような男は、ろくなものじゃないと

亭主をけなし、「お前さんの思うとおり別れておしまい」とたきつけた。

止めるはずの仲人にそう言われると、お崎はおだやかじゃない。

本当はとてもやさしい男なのと年下の亭主をほめ、でも人情があるのか

どうか本心がつかめなくて不安なのだと打ち明ける。

そこで仲人は、人の心についての譬え話を始めた。

初めは唐土、つまり中国の孔子の話。おしゃべりのお崎が唐土を団子と

間違えたり、孔子を役者の幸四郎だと思ったりするが、めげずに仲人は

話し続ける。

孔子が一頭の白馬をとても大切にしていた。あるとき、孔子の留守中に

白馬のいる厩が火事になった。家来は白馬を救おうと努力したが、失敗。

しかし帰ってきた孔子は家来の無事を喜び、馬のことは何も言わなかった。

仲人は本当の人の偉さというのは、こういうときにわかるのだとさとした。

仲人はもう一つ、話を続ける。

とても瀬戸物にこっているある屋敷の主人が、客に高価な瀬戸物を

見せたあとで妻にかたづけるよう言いつけた。妻はだいじにそれを

運ぼうとしたが、うっかり階段で足を滑らせ瀬戸物もろとも転げ落ちてしまった。

そのあとが問題。主人は瀬戸物が割れなかったかどうかだけを気にかけ、

妻の体を心配しなかった。それが原因で妻は実家へ戻ってしまった。

人づてに話が広まったので、その主人はいまだに独り者だ。

不人情とはこういうことだ、と仲人が言うと、

お崎は「うちのも瀬戸物にこってるんですよ」と言いだした。

そこで仲人は、そいつを壊して瀬戸物と女房の体のどちらを気づかうか

試してみろともちかけた。

お崎が家に帰ると、亭主が食事の支度をして待っていた。チャンスとばかりに

亭主が大切にしている茶碗を手に持ち、仲人に言われたとおりに足を滑らせた

ふりをして大げさにひっくり返ってみせた。

驚いた亭主はあわててかけより、割れた茶碗には見向きもせずにお崎を抱え起こした。

「あぶねえ。どっか体にケガはねえか」

「そんなにあたしの体がだいじかい」

「当たりめえじゃねえか。お前がケガしてみねえ、明日から遊んでて酒が飲めねえ」

                     立川志の輔   古典落語100席引用

誰もが自分勝手に生きていたいものだが、他人がいるから体裁を気にして生活しないと

いけない。文化人だからしょうがないですね。わたしは食べ物を造る人が一番偉いと

思うけどな。住宅も着るものも大事だな。社会貢献とは人に良い暮らしを与えるものだな。

人に頼るとはそういうものかなぁ。




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