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お酒のお供Y・・・164

2015-06-02 11:43:29 | 日記


短命



大店・伊勢屋の婿養子に入った旦那が死んだ。これで三人目。

一人娘のお内儀は三十そこそこのいい女、養子に入ってくる旦那も

いい男ばかり、店は番頭がしっかりしているから何の心配もいらない。

なのに、どういうわけか旦那が病気になって死んでしまう。一人目は

半年、二人目も一年半、そして昨日が三人目の旦那。

店に出入りしている職人の八は、どうして旦那が若死にするのか気になるし、

器量よしのお内儀がかわいそうで仕方がない。そこで、物知りの隠居の

ところへ理由を尋ねにやってきた。

「いったいどういうわけですかね。夫婦仲だってよかったのに」

八は伊勢屋夫婦のアツアツぶりを話しだす。店は番頭が取り仕切っているので、

夫婦ともこれといって用はない。だから、いつも二人でくっついて仲よく

していた。食事するときの様子なんかうらやましいぐらい。

「おかみさんが茶碗をこう出してね。旦那が受けとって」

それを聞いた隠居は大きくうなずき、「まあ、無理もないな」

「そりゃ、どういうわけです」

隠居は噛んでふくめるように八に説明する。毎日とくに用事もないし、

いつも二人でくっついている。お内儀はとびっきりの美人。差し向かいで

食事をしていたら、給仕のときに手や指がふれあうこともある。

「だから、そのなんと言うか。旦那は短命なんだよ」

ストレートに表現しないから、にぶい八にはどうもピンとこない。

「いい女だから短命なんですか」

「そうだよ」

「そんなものですかね」

まだわからない。また、隠居が最初から説明。夫婦仲がよくて財産もある。

朝から家に二人きり、退屈もする。食事のときには指がさわったりもする。

お内儀はふるいつきたくなるようないい女。

「ああ、なるほど。さわるのは指だけじゃないんだ」

やっと納得した八。伊勢屋へ悔やみにいく前に一度、家へ戻り、女房に

食事を用意させた。 膳について、ふと隠居の話を思い出す。

「おい、ちょっと給仕してくれ」

ふだんと違う様子に女房はけげんな顔をするが、八があまりしつこいので

茶碗に飯を入れ差しだす。

「そうそう。こう茶碗がくる。受けとるときに指がさわって、ふと女房の

顔を見ると。あーあ、俺は長命だ」

 
                      立川志の輔   古典落語100席引用


いい女にご用心なように書かれている囃しですね。

恐ろしや。恐ろしや。


恐ろしいほどうまいかなぁ?そら・あかね


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