こんにゃく問答
江戸を食いつめた八五郎が、上州のこんにゃく屋・六兵衛の
ところへ転がりこんだが、いつまでも遊んでいられないので、
空き寺のにわか住職になった。だが経も知らず、寺男の権助と酒ばかり飲んでいる。
ある日、寺に有名な永平寺の僧がやってきて、問答を申しでた。
あわてた八五郎は和尚はいないと断るが僧は引き下がらない。和尚は一度出かけると
何年も帰らないことがあるから待ってもむだだと嘘八百。しかし僧はあきらめず、
帰ってくるまで二年でも三年でも毎日来ると言い残して立ち去った。
困った八五郎は権助と相談し、本堂にある金目の物を売っ払って別の空き寺へ
移ろうと二人で家捜しを始めた。バタバタやっているところへこんにゃく屋の
六兵衛がやってきた。二人から事情を聞いた六兵衛は、自分が大和尚になって
問答してやろうと言う。
そのかわり僧がきても黙っているから、大和尚は口がきけず、
耳も聞こえないと言え、と八五郎に策をさずけた。
ずっとにらめっこをしていれば、相手の僧もくたびれて立ちあがる。そこを
ねらって塔婆で足を払い、頭から煮え湯をぶっかけて追い返そうという乱暴な作戦だ。
翌日、僧がやってきた。いろいろと問答をしかけるものの、六兵衛は知らん顔。
僧はなまじ学問があるだけに、黙行という黙っている修行と勘違いし、それならと
「ハッ」と両の人差し指と親指で小さい丸をこしらえ、前へ突きだした。
これを見た六兵衛が両手で空に大きな丸を描くと、僧は平伏。
次は両手の指をパッと開いた。六兵衛は片手をパッ。また平伏。
次に僧は右手の三本指を出す。これには六兵衛があかんべえをすると、おそれいったと
逃げだしてしまった。
八五郎が外で僧を捕まえ、どうなったと尋ねると、いかにも坊さんらしい大まじめな解釈。
最初の小さい丸は、天地の間はという問い。すると六兵衛が両手の輪で大海のごとしと
答えた。十方世界はと問えば五戒で保つ。もう一つ三尊の弥陀はと問うと、目の前を見ろ
と答えたからすっかり感服したと言う。
感心しながら八五郎が寺に戻ると、本堂では六兵衛がプンプン怒っている。
「ありゃ乞食坊主だ。手真似でおれの商売物にケチをつけやがったのよ。おめえとこの
こんにゃくはこれっぱかりかってやりやがる。しゃくにさわるからこんなに大きいやいって
やったんだ。十枚でいくらだときやがるから五百だと言ったら、しみったれが三百に負けろってから
あかんべえ」
立川志の輔 古典落語100席引用
和尚どの、殿が一休さんをお呼びですよ。
こりゃ~珍念、珍念。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/15/2e82f0ea6d5313c7acbef852669c9f8a.jpg)
珍ときても、そら・あかね。 そうだ、そら・あかねを飲もう。
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