「ウエスト・レコード ニュース」 3月21日付 ロシア語
http://www.camarade.biz/page/1/bo/9701/article.html
トーダルが所属するウエスト・レコードによるインタビュー記事。
この記事の内容が一番まともです。。とても詳しくて、どうせ読むなら、この記事をお勧めします。(他のマスコミももっとまじめなことをきいてほしい。)
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記事のタイトル
「トーダルは日本人にベラルーシを見せた」
記者「日本ではどのように出迎えてくれましたか?」
トーダル「とても暖かく迎えてくれました。それは2月の明るい朝のことでした。
今回の旅は非現実的なことのように思っていました。いつか日本へ行くだろう、ということを信じられずにいたんです。日本公演の話は2年前から進められていました。ビザが下りたと知ってから、出発を現実として待つようになったんです。今まで11時間も飛行機に乗ったことはありませんでした。
日本での最も鮮やかな印象、それは観客の皆さんでした。日本では2回ステージに立ったのですが、観客がみんな日本人なんです。会場にはわざわざ東京から来た2人のベラルーシ人とカザフスタン人もいましたが。」
(←厳密には1人のベラルーシ人は大阪から来られていました。)
記者「出発前に何か準備をしましたか?」
トーダル「正直言って、何もしませんでした。僕はこういう性格で、旅に出てから、準備しておけばよかったと思うんです。たとえば会話集を持って行くとか。ときどき自分が恥ずかしくなります。」
(←確かにトーダルは、日本滞在中に
「ロシア語で書いてある日本語会話集を買って持ってくればよかった。」
と言っていました。しかも持ってこなかった理由を
「僕は怠け者なんだ。なぜなら、星座がかに座だから。」
と言っていた。・・・全世界のかに座生まれの人よ、これは本当なのか? トーダルにこんなことを言わせておいていいのか? 本当にいいのか?)
記者「すぐに体が慣れましたか?」
トーダル「何日間か眠くてしかたがありませんでした。飛行機の中で寝られなかったからです。どうしてかと言うと、まずちょっと飛行機が怖いから。それから、おもしろかったから。
富士山のそばを通ったのですが、何とか目を開けて、何枚か写真を撮りました。時差ぼけは何日間か続いたのですが、それ以外には特に問題はなかったです。
日本へはハートをオープンにして行きました。長くグループで演奏活動をしていると、こういうふうに真面目になるんです。だから、異国で何か慣れないことがあっても、日本人がやっていることを真似していればいいんです。日本人はとても丁寧で真面目です。オープンにすることによって、僕は日本人の邪魔はしなかったと思っています。
滞在5日目、ホームシックになりました。家族に会いたくなり、この気持ちを伝えたいと思ったのです。しかし翌日から日本国内の旅行が始まり、そんな気持ちはなくなりました。」
記者「日本について以前はどんなこと知りませんでしたか? 日本に行って最初に心に開がったものは何ですか?」
トーダル「答えるのは難しいですね。日本へは心を開くためではなく、吸収しに行きました。
分かったのはベラルーシ人が日本人について持っている考えというのは、相当間違っている、ということです。ベラルーシ人は日本人のことをプログラミングされている、と思っているでしょ? でも本当は全くそうじゃない。日本の映画や絵画、文学などに関心がある人は分かっていると思うけど、日本人はみんなそれぞれ個性的なんです。
逆に日本人のほうが『ベラルーシ人はプログラミングされてるみたい。』と思っているんじゃないかな? とにかくベラルーシ人はステレオタイプ的な物の考えに慣れすぎているよ。
日本人はベラルーシ人とは全く違うんです。日本人は伝統を大切にしています。それに京都だけではなく、日本中がとても清潔でした。
狭い国土でこれだけの経済的構造基盤を持っていることは尊敬に値します。あちこちにこんな立派な高速道路やトンネルを建設したんですから。
それに自然、そしてそれに対する日本人の態度には、ただただ感動しました。」
記者「日本の伝統については、どんな点に驚きましたか?」
トーダル「僕は偉大な哲学者ではありません。でも、いろいろと理解できるときもあります。
日本で最も驚いたのは、お年寄りと子どもです。日本のお年よりはおしゃれです。子どもは宇宙的で、非現実的です。
日本人の人生は子どもの誕生や定年退職で終わりになることではない、ということは喜ばしいことです。日本人は人生に新しい質を考えつくんです。」
記者「日本滞在中のプログラムで印象に残ったものは?」
トーダル「僕はいくつかの町に行きました。東京はほとんど乗り換えだけしたのですが、残念には思いません。東京はベラルーシにいてもテレビで見られます。
美しい場所がたくさんあるのは京都です。京都は天皇の都なんです。世界的に有名な名所がたくさんあります。金閣寺に石庭、御所。苔に覆われた庭園はそれだけで一つのテーマです。苔に日本人は根気よく向かい合っています。苔が名園において重要な役割を果たしていると考えています。
町についての第一印象は『おもちゃの町みたい。』でした。とにかくすみずみまで、行き届いていて、ちょっといらいらするぐらいです。
名所以外にもいろいろなところへ行きました。本物の日本の森を見ましたよ。」
記者「日本の森はベラルーシの森とどう違うんですか?」
トーダル「まず日本には山がたくさんあります。これはもちろんベラルーシ人にとって印象的です。
4人がかりでも抱えきれないような巨木が生えています。伐採する木の数は最小限に抑えているんです。森が持つ意味とその重要性を把握しているからです。日本はこんな技術大国なのにもかかわらず、自然から切り離されていない。」
記者「日本の小学校に行ったそうですね。」
トーダル「マーサのお母さんの母校へ行くことができました。その学校の校長先生はマーサのお母さんの同級生だった人です。
その印象は、学校の先生はどこも同じということです。生徒たちを助けたいと考えているんです。日本とベラルーシの学校は大きな差はないと感じました。」
記者「コンサートはどうでしたか?」
トーダル「マーサが日本語からベラルーシ語に訳してくれました。日本人の観客もベラルーシ人の観客も大きな違いはありません。歌詞の日本語訳が配られましたが、それでもやはり僕を日本人観客のみなさんは理解しづらかったのではないかと思います。
僕のことはCD『月と日』によって、すでに日本に紹介されていました。観客は日本の歌のベラルーシバージョンを聴きにきていました。
僕は1曲は日本語で、1曲は着物(←はっぴ)を着て歌いました。ステージでは心を込めて歌いました。ちょっとずうずうしいぐらいに。」
記者「どうやって日本語の歌詞を覚えましたか?」
トーダル「正直言って歌詞を暗記することはできませんでした。紙を見ながら歌ったんです。観客の反応は普通でした。後で泣いていた人がいた、と言われました。これは本当だとそのときすぐ思いました。」
記者「日本人はベラルーシやベラルーシ人のことを知っているんでしょうか?」
トーダル「少ししか知りません。ミンスクの名を聞いたことがあっても、それがベラルーシにあることを知らない、そんな感じでしょうか。
もちろんチェルノブイリ原発事故のことはよく知っており、そのため放射能被害については他人事のように感じないんです。
ベラルーシへ来たことのある日本人はベラルーシ料理が好きです。それに日本人は月に1回ぐらい西洋料理を食べにレストランへ行くんです。イタリアンとかフレンチとかが好きなんですが、ベラルーシ料理のレストランへ行くのは、まだ定着していません。」
記者「あなたにとって日本料理は独立した一つのテーマだそうですね? どうしてですか?」
トーダル「ベラルーシ人は海産物や新鮮な魚から切り離されています。僕は日本へ胃袋もオープンにして行きました。何でも食べられる用意をしていたんです。滞在中の2週間、箸だけを手にしていました。そして不便だとは全く感じませんでした。
多くの料理は今まで食べたことのないものばかりで、日本にまた行かなければ、もう二度と食べられないものもあるんじゃないかと思っています。何と言っても日本料理は見た目がきれいで、そしておいしいんです。
日本酒はとてもおいしかったです。温めた状態で飲んで、すごく酔っ払うことはないんです。
もう一つ言いたいのは、日本人が痩せている民族だと言うことです。
何の料理か分からなくても、さっきも言ったように、日本に行ったら日本人のまねをして食べてみることです。それに何でも質問していいし、日本人は外国人にいろいろ説明するのが好きです。」
記者「日本人女性の印象について教えてください。」
トーダル「着物を着た日本人女性が気に入りました。着物を着てレストランへ行ったり、散歩したりするんです。着物にはいろんな色や模様があって、それぞれの模様が意味を持っています。
日本人女性はみんなそれぞれ違っています。きれいな人もいれば、個性的な美人もいます。
簡単にコミュニケーションが取れた人もいましたが、英語ができる人は少なく、これは僕にとって問題でした。」
記者「今回の日本公演についてまとめと、今後について。」
トーダル「まとめとしては、ギターを買いました。僕の夢だったギターです。今まで探したけど見つからなかったものです。
公演は成功でした。一番大事なのはもう観客を恐れることはない、ということです。つまり、今後どんなステージに上がるとしても、もう緊張はしません。
世界中探しても、マーサのように日本式で僕を紹介している人はいません。(←よっしゃ、よう言うた。)
今まで発表したアルバムのうち約半分は、収録曲の歌詞が日本語に翻訳されました。(←がんばって訳しましたよ。)
これは将来のために重要な事実です。ベラルーシと日本の関係は違う段階に進歩すると思います。もちろん、『月と日』プロジェクトのことや、ベラルーシ文学の詩の分野についてもです。(←確かにベラルーシ語の詩は、私が翻訳したもの以外はほとんど日本語に翻訳されていないでしょう。今のところ。)
日本の新聞社(←朝日新聞のこと)に2回インタビューを受け、ベラルーシのことやベラルーシ人のことに質問されました。とにかく日本で100万人の日本人がベラルーシの記事を読み、待ってくれているんです。これはベラルーシ人にとってとても喜ばしいことでしょう。」
記者「あなたは今までいろんな外国公演に行ってきましたが、ベラルーシへ帰った来たときの気持ちは?」
トーダル「よい気分でしたよ。家に帰るのはいつでも嬉しいことです。
いろんな国へ行ったことがあるけど、そこに残りたいと思ったことは一度もありません。そんな必要性も感じたこともありません。僕には戻る場所があるんです。帰国の途上、人生について考えたり、旅の思い出を書き留めたりすることができるんですからね。」