・・・赤く香る薔薇は棘の記憶。
踊るタンゴは夢幻の熱・・・
「月と日」発表後、半年経った2006年春にトーダル&WZ-オルキエストラが発表したアルバム。
略して「ばらタン」!
しかし、こんなふうに呼んでいるのは私だけなので、
「トーダルのさあ、ソロ活動始めてから、初めて自分の写真、表ジャケに印刷した、あのCD・・・」
「ああ、ばらタンね。」
「そうそう。でもって、ジャケットのばら持ってる写真。あれ、よーく見たら、上半身裸で、脱いだ赤シャツ肩にかけてるだけなんだよ。」
「ええ、ほんと? 知らなかったあ。道理で変な服だな、と思ってたんだよね。」
「それにしても、どうして自分の写真を表ジャケにめったに使わないんだろう。自分の顔に自信がないのか、トーダル。」
「この間、本人にそれをきいたら『さあ、どうしてだろうねえ。』とはぐらかされたよ。」
「はぐらかすの、うまいよあの人。『質問され慣れ』してるね、あれは。」
「ばらタンの中身の音楽はいいよねえ。」
「うん、相変わらず。トーダルって感じ。」
「本人は今回は『大人のセクシー路線』を狙ってみた、と言っていたよ。」
「うーん、そうかなあ。それほどセクシーじゃないよね。『飛行機』とか『オオカミ』とか、ユーモア系のような気もするけど。」
「『オオカミ』はユーモア系じゃなくて、変系(変形?)だよ。ま、彼もいろいろやってみたいんだろうね。」
「そうだろうね。私が好きなのは『一人』。」
「『さらば、ヤブロンスカヤよ、さらば』もいいよね。情熱的。」
「セクシーっていうより、情熱路線だよね。」
「アルバムタイトルも、タンゴっていうぐらいだから、情熱的だよね。」
「でも、実際にはタンゴの曲、ほとんど収録されてない。(笑)」
「ベラルーシ国内では『9番目の哀歌』がヒットしたけどね。」
「あれは反戦歌だから、ベラルーシ人の心に響くんでしょう。発表したのは2005年でちょうど終戦60周年に当たっていたから。」
「トーダル、それを狙ってた感があるよね。」
「うん、この曲はアルバム収録前に『2005年度ベラルーシ語音楽最優秀曲」1位になったからね。」
・・・というような会話を私は一人二役でしているのだった。(少しむなしい。)
しかし、このブログで「ばらタン」のことを紹介したので、きっと略して「ばらタン!」と言ってくれる人が増えるはず。(少し期待。)
バラ切りした牛タンの略ではないので、注意。
せっかくなので、むなしいが会話形式でこのまま、「ばらタン」の紹介を続ける。・・・
「曲もそうだけど、歌詞が情熱的なんだよね。」
「言えてる。詩人のニャクリャーエウさんがまたすごい。」
「トーダルのコンサートによく来てるけど、ステージに上がって、自分の詩を朗読するんだよね。」
「トーダルより目立ってるかも。」
「詩人だけど、俳優みたいなんだよね。」
「確かに。ニャクリャーエウさんの情熱的な性格が作品に出てるよ。」
「訴える言葉の中に力強さがある。『8.黄金の喪失』なんか、どちらかと言うと癒し系の作品なのに、詩人の強さを感じる。」
「それでもって、トーダルが曲の最後にあかんべーをしている。(笑)」
「癒し系の歌がお笑い系で終わっているよね。」
「最近、トーダルとかクセニヤちゃんとか、効果音のように、よく作品の中で笑っているね。」
「ま、トーダルはいろいろやってみたいんだよ。(笑)」
「ニャクリャーエウさんは大真面目なのにね。ところで、この歌詞の世界は意外に夢か幻か・・・という部分が多いよ。」
「そう、『5.ワジェンキ公園』は具体的な地名が出てくるのに、詩の内容は白昼夢みたい。」
「そういうと、作品のほとんどが多かれ少なかれ、白昼夢的世界を描いているね。幻想、この世のものならぬ、と言った感じかな。」
「ヒット曲『道』も、こんなに力強いのに、見方によっては、白昼夢。」
「道と会話してるもんな。でも、こういう曲、ベラルーシ人は好きだよ。『9番目の哀歌』も反戦歌なのに、イリュージョンっぽいところがある。」
「わざとぼかすのがかえっていいのかも。『一人』も不思議な歌だよね。」
「『君は一人。一人よりも多い一人』という歌詞とかね。」
「一人より多い一人って、ニャクリャーエウさん、小学校で算数の成績・・・(笑)これは冗談としても、少々謎めいている世界です。」
「だから、日本語としてはちょっとおかしくても、わざと直訳になる部分を残して翻訳してみたよ。」
「ふつう、翻訳するときは、彫刻で言うところの荒削りのような訳をしてから、細かいところを仕上げるように翻訳していくけど・・・。」
「そう。でも今回はニャクリャーエウさんの作品が持つ、言葉の力強さと幻の世界を表現するために、わざと日本語では少しおかしく聞こえる直訳的表現を、作品のあちこちに残しておきました。日本語の詩として読むと、『きれい』じゃないかもしれないけど、ばらタンの持つ、浮世離れした世界感を表現したかったので。」
「荒削りの部分が、日本人の心にひっかかるようにね!」
「そう。トーダルの曲作りも、情熱と幻感覚が、よく出ていると思うよ。」
「歌い方もね。」
・・・・・
「薔薇と踊るタンゴ」 作詞 ウラジーメル・ニャクリャーエウ
1.夕闇
2.道
3.僕を行かせないで
4.飛行機
5.ワジェンキ公園
6.さらば、ヤブロンスカヤよ、さらば
7.飲み会
8.黄金の喪失
9.僕たちの夢の中に
10.9番目の哀歌
11.オオカミ
12.一人
・・・・・
注釈を加えると・・・
「5.ワジェンキ公園」はポーランド、ワルシャワにある公園のこと。
このアルバムはベラルーシ語の作品だけれど、このように「ポロネーズ」「ショパン」といったポーランドを表現している言葉がちりばめられている。
これ(異国情緒)も、ばらタンの幻感覚を醸し出している理由の一つかも。
ワジェンキ公園についてはこちら。マーサは2回行ったことがあるけど、ほんと、広かったです。
http://sachiko.vip.interia.pl/polska/lazienki.html
「6.さらば、ヤブロンスカヤよ、さらば」に登場するヤブロンスカヤとは、ポーランド人の女優だそうで、詩人ニャクリャーエフと何かロマンスがあったのか? と思ってトーダルにきいたけれど
「知らない。」
という返事。知らないけど、「さらば、ヤブロンスカヤよ、さらば!」っていつも熱唱してるのか・・・
「11.オオカミ」の歌詞は、歌詞カードを見ると、「УУУУУ」つまり「ウー ウー ウー ウー ウー」としか書いてないので、日本語訳もそのようにしてあります。
しかし実際にこの曲を聞いてみると、「ウー ウー ・・・」という歌詞は歌っていません。でもオリジナルの歌詞カードの記載のほうをそのまま訳しました。(訳すというほどのことでもないけど。)
もちろんこの曲に関しては作詞はニャクリャーエフではなく、トーダルである。(作詞にもなってないけど。)
この「オオカミ」という曲はアルバム「オモチャヤサン」に収録されている「腹ぺこオオカミの歌」とは別の作品です。
腹ぺこオオカミが5年後、こんなふうに進化(退化?)しちゃってますね。
それからアルバムタイトルそのものはニャクリャーエフさんではなく、トーダルが考えてつけたそうです。
(CD「薔薇と踊るタンゴ」はVesna!店舗にて、発売中。全曲日本語対訳付き!)
・・・・・・
(「12.一人」より)
高いところには鳥
深いところには魚
地平線の蜃気楼の中に旅人
君は一人。
日々を捨ててしまわないように
法則を知っておくように
君は一人
君は一人。一人よりも多い一人・・・
踊るタンゴは夢幻の熱・・・
「月と日」発表後、半年経った2006年春にトーダル&WZ-オルキエストラが発表したアルバム。
略して「ばらタン」!
しかし、こんなふうに呼んでいるのは私だけなので、
「トーダルのさあ、ソロ活動始めてから、初めて自分の写真、表ジャケに印刷した、あのCD・・・」
「ああ、ばらタンね。」
「そうそう。でもって、ジャケットのばら持ってる写真。あれ、よーく見たら、上半身裸で、脱いだ赤シャツ肩にかけてるだけなんだよ。」
「ええ、ほんと? 知らなかったあ。道理で変な服だな、と思ってたんだよね。」
「それにしても、どうして自分の写真を表ジャケにめったに使わないんだろう。自分の顔に自信がないのか、トーダル。」
「この間、本人にそれをきいたら『さあ、どうしてだろうねえ。』とはぐらかされたよ。」
「はぐらかすの、うまいよあの人。『質問され慣れ』してるね、あれは。」
「ばらタンの中身の音楽はいいよねえ。」
「うん、相変わらず。トーダルって感じ。」
「本人は今回は『大人のセクシー路線』を狙ってみた、と言っていたよ。」
「うーん、そうかなあ。それほどセクシーじゃないよね。『飛行機』とか『オオカミ』とか、ユーモア系のような気もするけど。」
「『オオカミ』はユーモア系じゃなくて、変系(変形?)だよ。ま、彼もいろいろやってみたいんだろうね。」
「そうだろうね。私が好きなのは『一人』。」
「『さらば、ヤブロンスカヤよ、さらば』もいいよね。情熱的。」
「セクシーっていうより、情熱路線だよね。」
「アルバムタイトルも、タンゴっていうぐらいだから、情熱的だよね。」
「でも、実際にはタンゴの曲、ほとんど収録されてない。(笑)」
「ベラルーシ国内では『9番目の哀歌』がヒットしたけどね。」
「あれは反戦歌だから、ベラルーシ人の心に響くんでしょう。発表したのは2005年でちょうど終戦60周年に当たっていたから。」
「トーダル、それを狙ってた感があるよね。」
「うん、この曲はアルバム収録前に『2005年度ベラルーシ語音楽最優秀曲」1位になったからね。」
・・・というような会話を私は一人二役でしているのだった。(少しむなしい。)
しかし、このブログで「ばらタン」のことを紹介したので、きっと略して「ばらタン!」と言ってくれる人が増えるはず。(少し期待。)
バラ切りした牛タンの略ではないので、注意。
せっかくなので、むなしいが会話形式でこのまま、「ばらタン」の紹介を続ける。・・・
「曲もそうだけど、歌詞が情熱的なんだよね。」
「言えてる。詩人のニャクリャーエウさんがまたすごい。」
「トーダルのコンサートによく来てるけど、ステージに上がって、自分の詩を朗読するんだよね。」
「トーダルより目立ってるかも。」
「詩人だけど、俳優みたいなんだよね。」
「確かに。ニャクリャーエウさんの情熱的な性格が作品に出てるよ。」
「訴える言葉の中に力強さがある。『8.黄金の喪失』なんか、どちらかと言うと癒し系の作品なのに、詩人の強さを感じる。」
「それでもって、トーダルが曲の最後にあかんべーをしている。(笑)」
「癒し系の歌がお笑い系で終わっているよね。」
「最近、トーダルとかクセニヤちゃんとか、効果音のように、よく作品の中で笑っているね。」
「ま、トーダルはいろいろやってみたいんだよ。(笑)」
「ニャクリャーエウさんは大真面目なのにね。ところで、この歌詞の世界は意外に夢か幻か・・・という部分が多いよ。」
「そう、『5.ワジェンキ公園』は具体的な地名が出てくるのに、詩の内容は白昼夢みたい。」
「そういうと、作品のほとんどが多かれ少なかれ、白昼夢的世界を描いているね。幻想、この世のものならぬ、と言った感じかな。」
「ヒット曲『道』も、こんなに力強いのに、見方によっては、白昼夢。」
「道と会話してるもんな。でも、こういう曲、ベラルーシ人は好きだよ。『9番目の哀歌』も反戦歌なのに、イリュージョンっぽいところがある。」
「わざとぼかすのがかえっていいのかも。『一人』も不思議な歌だよね。」
「『君は一人。一人よりも多い一人』という歌詞とかね。」
「一人より多い一人って、ニャクリャーエウさん、小学校で算数の成績・・・(笑)これは冗談としても、少々謎めいている世界です。」
「だから、日本語としてはちょっとおかしくても、わざと直訳になる部分を残して翻訳してみたよ。」
「ふつう、翻訳するときは、彫刻で言うところの荒削りのような訳をしてから、細かいところを仕上げるように翻訳していくけど・・・。」
「そう。でも今回はニャクリャーエウさんの作品が持つ、言葉の力強さと幻の世界を表現するために、わざと日本語では少しおかしく聞こえる直訳的表現を、作品のあちこちに残しておきました。日本語の詩として読むと、『きれい』じゃないかもしれないけど、ばらタンの持つ、浮世離れした世界感を表現したかったので。」
「荒削りの部分が、日本人の心にひっかかるようにね!」
「そう。トーダルの曲作りも、情熱と幻感覚が、よく出ていると思うよ。」
「歌い方もね。」
・・・・・
「薔薇と踊るタンゴ」 作詞 ウラジーメル・ニャクリャーエウ
1.夕闇
2.道
3.僕を行かせないで
4.飛行機
5.ワジェンキ公園
6.さらば、ヤブロンスカヤよ、さらば
7.飲み会
8.黄金の喪失
9.僕たちの夢の中に
10.9番目の哀歌
11.オオカミ
12.一人
・・・・・
注釈を加えると・・・
「5.ワジェンキ公園」はポーランド、ワルシャワにある公園のこと。
このアルバムはベラルーシ語の作品だけれど、このように「ポロネーズ」「ショパン」といったポーランドを表現している言葉がちりばめられている。
これ(異国情緒)も、ばらタンの幻感覚を醸し出している理由の一つかも。
ワジェンキ公園についてはこちら。マーサは2回行ったことがあるけど、ほんと、広かったです。
http://sachiko.vip.interia.pl/polska/lazienki.html
「6.さらば、ヤブロンスカヤよ、さらば」に登場するヤブロンスカヤとは、ポーランド人の女優だそうで、詩人ニャクリャーエフと何かロマンスがあったのか? と思ってトーダルにきいたけれど
「知らない。」
という返事。知らないけど、「さらば、ヤブロンスカヤよ、さらば!」っていつも熱唱してるのか・・・
「11.オオカミ」の歌詞は、歌詞カードを見ると、「УУУУУ」つまり「ウー ウー ウー ウー ウー」としか書いてないので、日本語訳もそのようにしてあります。
しかし実際にこの曲を聞いてみると、「ウー ウー ・・・」という歌詞は歌っていません。でもオリジナルの歌詞カードの記載のほうをそのまま訳しました。(訳すというほどのことでもないけど。)
もちろんこの曲に関しては作詞はニャクリャーエフではなく、トーダルである。(作詞にもなってないけど。)
この「オオカミ」という曲はアルバム「オモチャヤサン」に収録されている「腹ぺこオオカミの歌」とは別の作品です。
腹ぺこオオカミが5年後、こんなふうに進化(退化?)しちゃってますね。
それからアルバムタイトルそのものはニャクリャーエフさんではなく、トーダルが考えてつけたそうです。
(CD「薔薇と踊るタンゴ」はVesna!店舗にて、発売中。全曲日本語対訳付き!)
・・・・・・
(「12.一人」より)
高いところには鳥
深いところには魚
地平線の蜃気楼の中に旅人
君は一人。
日々を捨ててしまわないように
法則を知っておくように
君は一人
君は一人。一人よりも多い一人・・・