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20XX年・クエスチャン (-3-) 

2010-04-24 21:19:44 | 20XX年・クエスチョン
20XX年・クエスチャン (-3-) 

では、取材班が各地へ行っておりますので、そちらから状況をお伝えします」。
映像が切り替わる。
ハンガイ山脈をアップで映し出した。山並みに当然ある筈の雪が全く無い。更に映像が切り替わった。画面にテロップが出なければ、これがヒマラヤだとは誰も気が付かない。
この数時間で全ての雪と氷を解かしたと言うのか?・・・
と言う事は標高が高い程温度は!・・・山麓の村々はッ!・・・思わず声を発していた。川べり沿いにひっそりとある小さな集落が気掛かりだった。
これ以上観ても被害の実体は分からないだろうとスイッチを切った。    
コタツに戻り、テーブルに両肘を付き、真っ暗なブラウンカンを見つめていた。
当然の事ながら温暖化になる事はデーターが示していたが。しかし、突然こんな形で異変が現れるとは想像も付かなかった。
もしこれが南北極地で起こって居たら・・・佐伯は身震いする思いだった。

20XX年、1月1日。
佐伯は異常気象の事が頭から離れず、悶々と寝付けない儘に朝を迎えた。
真っ先にTVのスイッチを入れた。どの番組も正月番組を取り止め、異常気象のニュースを流していた。やはり佐伯の心配は的中していた。
大量の雪解け水が川を反乱させ、土石流となり、ヒマラヤの中腹下域の川沿いの集落では突然の鉄砲水と土石流が村々を襲い、四つ五つの集落が跡形も無く消えたと言う。
また、山裾の村々も大小様々な岩石を含んだ土石流に押し流され、被害は甚大だと言う。一週間後。異常な気温上昇は更に温度を上げた。

僅か七日でモンゴルの草原を砂漠化させ、川を枯れさせ、モンゴル北部の森林地帯の木々を枯らし、自然発火を誘発させ、大地のいたる所から黒煙が立ち上ぼって居た。
アジア諸国はこの異常事態に対して国連に緊急援助を要望した。
国連は満場一致で異常事態に対し、緊急救助と共に緊急支援を決議した。
ロシア連邦、中国政府は越境を容認。全世界は異常気象被害国民を難民認定し、全ての難民を一時受け入れる事を表明した。                       世界中から避難民移送の航空機がチベット、モンゴル、被害地域へと轟音を轟かせた。
しかし、そこで思わぬ二次災害が生まれていた。

被害地域上空3千メートルから1万メートルには、1千度から千八百度と言う、更に温度の高い層が存在し、救出は許さない、そう言っているかの様に救援機を阻んだのだ。
救出に向かった輸送機はその層に突っ込み、次々と炎上して墜落。
避けようと低空した機は、高温で発生した乱気流に巻き込まれ、山に激突していた。
被害地域は標高の高い山に囲まれた地域ばかり、国連は大型機による救出を断念、小型機に寄る救出に切り替えを余儀なくされた。
その頃、東京のHホテル飛鳥の間では、異常気象対会議が招集されていた。気象学会員、他関係者が緊急招集された。

政府関係者をはじめ、気象庁長官、陸海空の特種部隊の師団長、米軍参謀の顔も揃って居た。そして、神宮寺勝彦が議事進行を努めていた。
今までのデーターが次々とスクリーンに映し出され、各担当教授の説明を受けた。
説明は淡々と行われた。
一時間あまりの説明に誰もが腕を組み、驚愕し、深刻な表情を浮かべて居る。
最後の説明を済ませた研究員が壇上を降りる。
「データーはたったそれだけか」。誰ともなく罵声にも似た声が響く。
重苦しい空気が会場を漂って居た。「ゴホンッ」、と一つ咳をすると顔を上げた。
代わりに神宮寺勝彦が壇上に立った。

「結果から申し上げます。いまお聞きになりました通り、異常現象地域上空3000メートルから上空には磁波を伴った100度から180度の高温の層が6000 メートルもあり、衛星、レーダーなどの探知は全く機能不能だと言う事です。
従いまして、この異常な気温上昇の原因も正体も、今後どのような展開に及ぶのか、 現在の所は全く予想すら出来ません」。              
軍幹部「だったら、旧式だがラジオゾンデ、気球を上げたらどうか」。と、会場から提案がなされた。                
神宮寺「勿論何度も試みて上げたそうです。しかし、熱帯圏の上空には乱気流が渦巻いており、3000メートルどころか500メートルも上昇しなそうです。   その500メートル迄のデーターすら強力な磁波が計器を狂わせ、何一つデーターが取れないと言うのが実態です」。
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