小説・鉄槌のスナイパー3章・NOー(88)&CG
「こりゃ失礼しました。物分かりのいい奥さんで。アッハハハ・・・」。
「もうお父さんたら。ねえ貴方、私少し横になってもいい?・・」。
「いいよ、少し急いで廻ったから疲れたろ。休んでいいよ」。
と美保を連れて二階に上がった。
そして横にさせるとリビングに戻り、義父明雄と話が盛り上がり、時の過ぎるのも忘れていた。
そして夕方、五時を過ぎると出掛けていた母美代子が買い物袋を下げて帰って来た。すると、リビングから京平と夫の笑い声が聞こえ笑みを浮かべていた。
「ただいま、随分楽しそうね。美保はどうしたの?・・・」
「ここに居るよ。お帰りなさい、お父さんがなんか話しがあるってさ。ねえ、お父さん。そうだよね」。
すると父は戸惑いながら見る気もないテレビのスイッチを入れた。すると母美代子は夫の前に座った。「なあにお父さん」。
「う、うん。それはだな、美保。美保が高橋さんの奥さんが作った茶巾寿司が美味しいから、母さんの店で出したら良いんじゃないかって。それに、なんだ、ほら・・・」。と話がメチャクチャだった
「アッハハハハ、なあにそれ、お父さん。お母さん、今日幸子のお墓にお参りに行ったの。そしたら小母さんも来てね、お宅へお邪魔してお昼をご馳走になったの。帰りに手作りの茶巾寿司と天むすをお土産に頂いて来たの。
そしたらお父さんまだお昼食べて無くてそれ食べて貰ったの。
職人さんが作った味と違って家庭的な味で美味しいから、お母さんの店で出したらどうかって。ねえ京平さん」。
「うん、それにじっと家にいるより表に出て働いていた方が気が紛れるだろうって。そう言っていましたよ」。
「まあ、お父さんったら。だったらそう言ってくれたら良いのに。私もその事は気になっていたの、いいわ、後で電話してみますから」。
こうして母と美保は夕飯の支度を始めた。
そして京平は義父の明雄の晩酌に付き合って食事を済ませた。そして七時半になると美保が口を開いた。
「京平さん支度して出掛けないと、知恩寺で待ち合わせでしょ」。
「うん、もうそんな時間。じゃあ義父さん義母さん失礼して行って来ます」。義父母の二人は頷いていた。そして部屋に行くと着替えて金の入ったバックにブリーフケースを入れると玄関を出た。
「京平さん、気を付けてね」。と京平に抱き着いて耳元でそっと告げる美保だった。そんな二人を見ていた両親は笑みを浮かべていた。
そして五分も歩くと知恩寺に着いた。
すると、真っ黒なワンボックスカーが正門に止まっていた。歩み寄るとドアが開いて真田が降りて来た。
「紺野さん、どうぞ」。真田の恰好は黒ずくめだった。
「うん、まるで泥棒にでも行くようだな。じゃあ行こうか」。後部座席に乗り込むと三河昇の待つ京都駅に向かった。
そして二十分、約束通り八時二十分に着くと三河が待っていた。
三河も後部座席に乗り込むと、シャワーを浴びて来たのか石鹸の匂いが車内に漂った。
「今日ははしゃいで廻り過ぎました。でも京都は良いですな。戦争でアメリカさんが空襲しなかった訳が分かりましたよ」。
三河はまだ肌寒い京都に満喫していた。
「三河さん、戦争でアメリカは東京をあんなに空襲したのに京都は何故空襲しなかったんですか?・・・」
真田はまるで子供のような事を聞いて三河は呆れていた。
「それはだな、京都には世界中どこを探してもない日本古来の文化があるんだ。アメリカさんはそんな文化が色濃く残っている京都は残しておきたかったのさ。
寺院仏閣、孰れを取っても世界遺産だからね。日本人にもそう言う心があれば戦争なんかしなかったろうがね」。真田は黙って頷いていた。
車は駅前から七城に出ると西大路通りに出て北へ上った。
間もなく金閣寺に着くと脇の道を火葬場に向けて入った。火葬場には水銀灯の怪しいげな光がただ広々とした駐車場を照らしていた。
真田は京平の指示で一番奥へ車を走らせ、管理棟の裏に車を止めた。
「紺野さん、言われた事を調べてきました。警備会社の巡回が九時に終わっていますから、後は午前一時です」。
NO-88-16
「こりゃ失礼しました。物分かりのいい奥さんで。アッハハハ・・・」。
「もうお父さんたら。ねえ貴方、私少し横になってもいい?・・」。
「いいよ、少し急いで廻ったから疲れたろ。休んでいいよ」。
と美保を連れて二階に上がった。
そして横にさせるとリビングに戻り、義父明雄と話が盛り上がり、時の過ぎるのも忘れていた。
そして夕方、五時を過ぎると出掛けていた母美代子が買い物袋を下げて帰って来た。すると、リビングから京平と夫の笑い声が聞こえ笑みを浮かべていた。
「ただいま、随分楽しそうね。美保はどうしたの?・・・」
「ここに居るよ。お帰りなさい、お父さんがなんか話しがあるってさ。ねえ、お父さん。そうだよね」。
すると父は戸惑いながら見る気もないテレビのスイッチを入れた。すると母美代子は夫の前に座った。「なあにお父さん」。
「う、うん。それはだな、美保。美保が高橋さんの奥さんが作った茶巾寿司が美味しいから、母さんの店で出したら良いんじゃないかって。それに、なんだ、ほら・・・」。と話がメチャクチャだった
「アッハハハハ、なあにそれ、お父さん。お母さん、今日幸子のお墓にお参りに行ったの。そしたら小母さんも来てね、お宅へお邪魔してお昼をご馳走になったの。帰りに手作りの茶巾寿司と天むすをお土産に頂いて来たの。
そしたらお父さんまだお昼食べて無くてそれ食べて貰ったの。
職人さんが作った味と違って家庭的な味で美味しいから、お母さんの店で出したらどうかって。ねえ京平さん」。
「うん、それにじっと家にいるより表に出て働いていた方が気が紛れるだろうって。そう言っていましたよ」。
「まあ、お父さんったら。だったらそう言ってくれたら良いのに。私もその事は気になっていたの、いいわ、後で電話してみますから」。
こうして母と美保は夕飯の支度を始めた。
そして京平は義父の明雄の晩酌に付き合って食事を済ませた。そして七時半になると美保が口を開いた。
「京平さん支度して出掛けないと、知恩寺で待ち合わせでしょ」。
「うん、もうそんな時間。じゃあ義父さん義母さん失礼して行って来ます」。義父母の二人は頷いていた。そして部屋に行くと着替えて金の入ったバックにブリーフケースを入れると玄関を出た。
「京平さん、気を付けてね」。と京平に抱き着いて耳元でそっと告げる美保だった。そんな二人を見ていた両親は笑みを浮かべていた。
そして五分も歩くと知恩寺に着いた。
すると、真っ黒なワンボックスカーが正門に止まっていた。歩み寄るとドアが開いて真田が降りて来た。
「紺野さん、どうぞ」。真田の恰好は黒ずくめだった。
「うん、まるで泥棒にでも行くようだな。じゃあ行こうか」。後部座席に乗り込むと三河昇の待つ京都駅に向かった。
そして二十分、約束通り八時二十分に着くと三河が待っていた。
三河も後部座席に乗り込むと、シャワーを浴びて来たのか石鹸の匂いが車内に漂った。
「今日ははしゃいで廻り過ぎました。でも京都は良いですな。戦争でアメリカさんが空襲しなかった訳が分かりましたよ」。
三河はまだ肌寒い京都に満喫していた。
「三河さん、戦争でアメリカは東京をあんなに空襲したのに京都は何故空襲しなかったんですか?・・・」
真田はまるで子供のような事を聞いて三河は呆れていた。
「それはだな、京都には世界中どこを探してもない日本古来の文化があるんだ。アメリカさんはそんな文化が色濃く残っている京都は残しておきたかったのさ。
寺院仏閣、孰れを取っても世界遺産だからね。日本人にもそう言う心があれば戦争なんかしなかったろうがね」。真田は黙って頷いていた。
車は駅前から七城に出ると西大路通りに出て北へ上った。
間もなく金閣寺に着くと脇の道を火葬場に向けて入った。火葬場には水銀灯の怪しいげな光がただ広々とした駐車場を照らしていた。
真田は京平の指示で一番奥へ車を走らせ、管理棟の裏に車を止めた。
「紺野さん、言われた事を調べてきました。警備会社の巡回が九時に終わっていますから、後は午前一時です」。
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