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小説・鉄槌のスナイパー3章・NOー(85)&CG

2008-12-09 18:30:33 | 小説・鉄槌のスナイパー(第三章)
小説・鉄槌のスナイパー3章・NOー(85)&CG

「三河さんそれはまずいよ。目的は逮捕じゃありませんからね」。
「あ痛!・・・そうでした。どうも刑事根性が抜けません。それで此れからどうします?・・・」
「ええ、ともかく一緒にいる所を人に見られるのはまずいから、真田は帰って自由にしていてくれ。それから三河さんは観光でもしていて下さい。僕等はまだ幸子さんのお墓参りが残っています。
真田、車を調達してくれないか。出来たら目立たないのが良いな」
「はい、それだったらワンボックスがありますから使って下さい」。
「うん、それにしよう。今夜八時に知恩寺の正門に迎えに来てくれ。三河さんは八時二十分ころ駅前のタクシー乗り場の近くに出ていて下さい。速めに行って待ちます」。
「分かりました、ではそうします。じゃあ金閣寺で降ろして下さい。ゆっくり京都見物でもしますか」。
「僕は買い物がありますから京都駅の辺りで降ろして下さい。それと此のお金は約束した一部として貰ってくれませんか」。
「いや、それは仕事が済んだ後にしよう。三河さん、少し貰って行って下さい。経費は幾らあっても困りませんよ」。
すると真田はバックを開けると札束を一掴み三河に差し出した。
「いや、そんなには要らない。一つで良いよ、有り難う」。
三河は百万円を受け取ると内ポケットに入れた。そして出した手には帯び封を切って丸めていた。それをポケットにいれた。
火葬場を出て金閣寺で三河を降ろした。
そして西大路通りに出ると南に真っすぐ下り、七条から七条堀川の信号を南に右折すると、真田がここでと車を止めた。
「紺野さん、バック重くて置いて行っても良いですか?・・・」
「うん、預かっておくよ」。
「じゃあ今夜八時に知恩寺の前で。車は黒いワンボックスです」。
「分かった。もし急に用があった時はここへ、携帯のナンバー」。京平は手帳に携帯のナンバーを書き込むと真田に渡した。
真田は何故が嬉しそうに両手で受け取って頭を下げると車を降りた。
そして京平の車が走り出すまで見送っていた。
京平達は真っすぐ南に下り、東海道線と新幹線のガードをくぐり九条に入った。
そして東寺の駐車場に車を入れた。
そして生花店に寄って高橋幸子の墓に備える花を買った。美保は花束を抱えると急に寂しそうな表情になった。すると頬に涙が流れていた。
京平はそっと涙を拭うと肩を抱いて墓地へ歩いた。途中、水桶としゃくを借り、幸子の墓へ行くと供えてある萎れた花を抜き取り、水を変えて花を生けた。
ロウソクに火を灯して線香に火を点けた。二人は一歩二歩下がると膝を着いて数珠を手にそって両手を合わせていた。
「幸子、私京平さんと結婚したの。見て、赤ちゃんも生まれるの」。美保は友世の墓に話したように幸子の墓にも同じように報告しては睫を濡らしていた。
「美保さん?・・・美保さんじゃない、来てくれたんですか」。振り返ると幸子の母親がほうきを手に立っていた。
「小母さん、御無沙汰しています。私彼と結婚したんです。見て、赤ちゃんが出来たんです。その報告をしに幸子に、今から寄ろうと思っていたんです」。
「そうだったの、美保さん紺野さんお目出とうございます」。
「おばさん、話があるんです」。
そう言うと幸子の母親は美保の隣に膝を折ると屈んだ。美保は真田から聞いた本当の気持ちを幸子の母親に伝えた。
すると始めは表情が強張っていた母親も次第に緩んで頷いていた。
「そうだったの、本当の親子じゃなかったの。知らなかったわ、って言うより私は聞く耳を持たなかったし、憎んでいたの。
真田さんも苦しんでいたのね。私、真田さんに謝らなくちゃね、あの人済まないってしょっちゅう来てくれているの。
私ったら、去年の夏に真田さんのお父さんが殺されたって聞いた時は内心喜んでいたの。此れで私達の辛さが分かるだろうって。幸子はお父さんに」。
「小母さん、真田さんはそんな事言い訳になるから言えなかったのよ。小母さんも知っているように、真田さん友世とは結婚も約束してたの。彼は噂とは全然違って心の優しい人よ、許して上げて小母さん」。
「良く話してくれたわね、有り難う美保さん。幸子は良いお友達を持ったわね。有り難う美保さん」。
そして幸子の墓を掃除すると墓地を出た。そして母親を乗せてすぐ近くにある西九条の家に向かった。
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