小説・鉄槌のスナイパー3章・NOー(84)&CG
「私か、私はこういう者だ。真田、此れからは宜しく頼む」。
三河は警察手帳を出すと第一頁の高級用紙第一面を出して見せた。すると真田は驚きと共に目を丸くして声も出なかった。
「け警視庁!・・・警視庁の警視さんですか!・・・凄いです。自分こそ宜しくお願いします」。
「まあそんなに驚くな、所でその電話の主から連絡はあったのか」。
「はい、今朝ありました。今夜十一時に大文字山にある蓮華谷火葬場に一人で来いと言って来ました」。
「貴方、ここからなら三十分くらいだから行ってみましょう」
「うん、じゃあお参りして下見に行こう。真田」。
「はい、僕は月命日には幸子さんと友世には会いに来ているんです。そんな僕を見て友世のご両親には許して貰いました。
その矢先でした。でも幸子さんのお母さんにはまだ許して貰えていません。僕も辛いです」。
貴明はスーツが汚れるのも気にせず墓を掃除した。そして線香を炊いて四人で供養した。
京平はそんな真田を見て、電話でこの寺を指示したとき、真田の声が心なし動揺しているような何かを感じ取っていた。今までの話でそれが何だったのか分かった。そして寺を出て駐車場に向かった。
「このベンツはボスのだったんですか?・・・」。
「おい、ボスは止めてくれないか。僕は紺野だよ」。
「そうよね、ボスって変よ真田さん。紺野さんでいいじゃない」
「はい、じゃあそう呼ばせて戴きます。なんか夢みたいです。僕はもっと怖い人達だと思っていましたから」。
「そりゃそうさ、警察より怖いからな。ねえ三河さん」。
「ええ、悪い奴等には相当怖い組織でしょう。でも困って泣かされている人にとっては天使ですよ」。
真田は仲間が出来て安心したのか強張っていた表情も次第にほぐれて行った。
寺を出ると美保の案内で蓮華谷火葬場に向かった。
寺から北へ走り、千本鞍間口と書かれたバス停留所から東に左折し、柏野小学校方向に走り、小学校の手前を南に右折した。
そして、天神川の橋を渡って少し走ると右前方に金閣寺の看板が見えて来た。そして前方には大文字山が望めた。
「京平さん、その道を山の方へ上がると蓮華谷火葬場よ。友世もそこで荼毘に伏されたから」。
「奥さん、僕もあの日は行っていたんです。でも葬儀には出て欲しくないってお母さんに言われて」。
「そうだったの、友世は心から真田さんの事を愛していたのよ。真田さんに見てて貰えたんだ。でも酷いお父さんだったわね」。
「はい、何も反論出来ません。でも養父とは言え僕を育ててくれましたから」。
真田はそう言うと口をつぐんでしまった。そして間もなく火葬場に着いた。
すると沢山の車が止まっていた。見上げると煙突から薄い煙が立ち登っていた。
美保は手にしていた数珠をそっと合わせて頭を下げていた。
そして駐車場の隅に車を止めた。
「真田君、それでここへ十一時と言っただけなのか」?・・・三河が訊いた。
「はい、それだけでした。それに仲間もいないようでした」。すると、携帯が鳴った。それは真田の携帯だった。
真田は携帯を持つと耳に充てた、すると携帯に指さしてバックに目を送った。恐喝している犯人からだった。
京平は真田の携帯に耳を近付けた。
「真田さん、もう金は用意出来たのか?・・・」。
「いえ、此れから銀行から届けて貰う所です。場所は同じ所で良いんですね」。
「うん、誰にも話してないだろうな。もし話したら父親殺しにあんたも拘わっていた事を話すからな」。
「そんな事はどうでもいいですから、お金が欲しいんでしょう」。
「ああ、金持ちには分からないだろうな。金が欲しいさ。金さえあればなんだって出来るからな。それも一億だ。あんたも良くやるよな、父親の財産をそっくり貰ってさ。悪い事は出来ないよな。じゃあ頼むよ」。
そう言うと電話が切れた。そして携帯の電話番号を三河は控えた。
「紺野さん、まだ若いですな。それにナンバーディスプレーされる事も警戒していません。このナンバーを本庁に電話して直ぐに調べさせます」。
NO-84-8
「私か、私はこういう者だ。真田、此れからは宜しく頼む」。
三河は警察手帳を出すと第一頁の高級用紙第一面を出して見せた。すると真田は驚きと共に目を丸くして声も出なかった。
「け警視庁!・・・警視庁の警視さんですか!・・・凄いです。自分こそ宜しくお願いします」。
「まあそんなに驚くな、所でその電話の主から連絡はあったのか」。
「はい、今朝ありました。今夜十一時に大文字山にある蓮華谷火葬場に一人で来いと言って来ました」。
「貴方、ここからなら三十分くらいだから行ってみましょう」
「うん、じゃあお参りして下見に行こう。真田」。
「はい、僕は月命日には幸子さんと友世には会いに来ているんです。そんな僕を見て友世のご両親には許して貰いました。
その矢先でした。でも幸子さんのお母さんにはまだ許して貰えていません。僕も辛いです」。
貴明はスーツが汚れるのも気にせず墓を掃除した。そして線香を炊いて四人で供養した。
京平はそんな真田を見て、電話でこの寺を指示したとき、真田の声が心なし動揺しているような何かを感じ取っていた。今までの話でそれが何だったのか分かった。そして寺を出て駐車場に向かった。
「このベンツはボスのだったんですか?・・・」。
「おい、ボスは止めてくれないか。僕は紺野だよ」。
「そうよね、ボスって変よ真田さん。紺野さんでいいじゃない」
「はい、じゃあそう呼ばせて戴きます。なんか夢みたいです。僕はもっと怖い人達だと思っていましたから」。
「そりゃそうさ、警察より怖いからな。ねえ三河さん」。
「ええ、悪い奴等には相当怖い組織でしょう。でも困って泣かされている人にとっては天使ですよ」。
真田は仲間が出来て安心したのか強張っていた表情も次第にほぐれて行った。
寺を出ると美保の案内で蓮華谷火葬場に向かった。
寺から北へ走り、千本鞍間口と書かれたバス停留所から東に左折し、柏野小学校方向に走り、小学校の手前を南に右折した。
そして、天神川の橋を渡って少し走ると右前方に金閣寺の看板が見えて来た。そして前方には大文字山が望めた。
「京平さん、その道を山の方へ上がると蓮華谷火葬場よ。友世もそこで荼毘に伏されたから」。
「奥さん、僕もあの日は行っていたんです。でも葬儀には出て欲しくないってお母さんに言われて」。
「そうだったの、友世は心から真田さんの事を愛していたのよ。真田さんに見てて貰えたんだ。でも酷いお父さんだったわね」。
「はい、何も反論出来ません。でも養父とは言え僕を育ててくれましたから」。
真田はそう言うと口をつぐんでしまった。そして間もなく火葬場に着いた。
すると沢山の車が止まっていた。見上げると煙突から薄い煙が立ち登っていた。
美保は手にしていた数珠をそっと合わせて頭を下げていた。
そして駐車場の隅に車を止めた。
「真田君、それでここへ十一時と言っただけなのか」?・・・三河が訊いた。
「はい、それだけでした。それに仲間もいないようでした」。すると、携帯が鳴った。それは真田の携帯だった。
真田は携帯を持つと耳に充てた、すると携帯に指さしてバックに目を送った。恐喝している犯人からだった。
京平は真田の携帯に耳を近付けた。
「真田さん、もう金は用意出来たのか?・・・」。
「いえ、此れから銀行から届けて貰う所です。場所は同じ所で良いんですね」。
「うん、誰にも話してないだろうな。もし話したら父親殺しにあんたも拘わっていた事を話すからな」。
「そんな事はどうでもいいですから、お金が欲しいんでしょう」。
「ああ、金持ちには分からないだろうな。金が欲しいさ。金さえあればなんだって出来るからな。それも一億だ。あんたも良くやるよな、父親の財産をそっくり貰ってさ。悪い事は出来ないよな。じゃあ頼むよ」。
そう言うと電話が切れた。そして携帯の電話番号を三河は控えた。
「紺野さん、まだ若いですな。それにナンバーディスプレーされる事も警戒していません。このナンバーを本庁に電話して直ぐに調べさせます」。
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