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ロシアの小説と旅の記憶と

2022-02-24 | 2022夏まで ~本~
朝からバタバタで、やっと時間ができました。
本日も、どうぞ、おつきあいくださいませ。

リュドミラ・ウリツカヤ 『緑の天幕』(「新潮クレスト・ブックス」)を
ようやく読み終えています。
1953年から1996年のソヴィエトを描く、大河小説です。

著者の教養があふれんばかりで、
アタクシなんぞ、とてもついていけませんでしたが・・・
すごいものを読んじゃったなという・・・

今は、その感覚が一番の感想です。

また、あらためて、感想文をまとめられたらなと、思っています。



読んでいる間・・・
北京オリンピックの女子フィギュア、ドーピング問題もありましたが・・・
やっぱり、ロシアのウクライナ問題が、ずっと頭を離れませんでした。

・・・というのは、2014年のクリミア危機のとき、
ちょうど、夫と二人で、ロシアを旅していたからです。

このときは、エストニアのタリンからロシアのサンクトペテルブルク、
フィンランドのヘルシンキへと
鉄道でバルト海沿岸を周りました。

タリンとヘルシンキは大好きな街で、何度か出かけていますが、
ロシアは、その昔、トランジットをしたくらいで、
旅をするのは初めてでした。


(タリン駅)



90年代初めだったか・・・
トランジットのとき、モスクワ空港は、まだソ連の名残が強く、
空港内に銃を携えた兵士?憲兵?がいて、メチャクチャ緊張しました。

待たされている間、
食堂の頭上をツバメが飛び回り、食事もひどいもので・・・
もう懲り懲りと思ったものです。

月日は流れ・・・世の中は変わりました。

やっぱり、エルミタージュ美術館は行きたいな・・・
古都サンクトペテルブルクは行ってみたいね・・・と
わたしたちも変わりました。


(タリン~サンクトペテルブルクの車窓。「ポーリュシカ・ポーレ」を
歌いたくなるw)


そして、出かけたサンクトペテルブルク♫

結論から言えば、楽しい旅でした。
エルミタージュ美術館を筆頭に、観るものには事欠かないし、
食事はおいしいし・・・

頼んでおいたことをしてくれないとか、
すぐに「ニェット!(いいえ)」を連発する接客に呆れたこととか、
怖い思いもしたよね・・・など、モロモロあります。

今となっては、かえってロシアらしかったと、面白がれる記憶ですw


(ロシアのクレープ)


そんな楽しいロシア旅でしたが・・・
ザラリと忘れられない記憶が、ガイド女性の発言です。

ペテルブルク滞在中、近郊のプーシキンにある、
エカテリーナ宮殿をめぐる、現地ツアーに参加しています。
案内してくれた、すらりと美しい女性ガイドさんの言葉でした。

彼女は「エストニアのタリンから鉄道で来た」と、
わたしたちが言うと、「エストニアはロシアよ」と、
こともなげに、言いました。

当時、わたしは、バルト3国(エストニア・ラトヴィア・リトアニア)の
「歌う革命」に感動していたので、これは、驚愕の一言でした。
(↑ソ連に併合されていた3国は、独立を目指し歌いながらデモを繰り返した)

ああ、これが、ロシアの人の感覚なんだなぁ・・・と。
歴史の流れに合点がつくような気がしたのでした。



(国民的詩人プーシキンの詩は『緑の天幕』でも愛唱されていた)


今になって、しきりに思い出されるのが、
彼女の、もう一言です。

その現地ツアーに参加したのは、わたしたちだけ。
宮殿内でも日本人を見かけず、
全体的に外国人の姿も少なめでした。

というのは、この数ヶ月前、2014年2月以来、
ウクライナの領土であるクリミア問題が取り沙汰され、
3月にロシアに編入されていたのです。

「クリミアのことなんて、全く、たいした問題じゃない。
それなのに、外国人は、怖がって全然来ない。」と、
ガイド嬢は、お怒りでした。


(「北のベルサイユ」ことエカテリーナ宮殿)


このクリミア問題が、今のウクライナ問題につながるわけで・・・

あのときは、自分の関心がバルト3国にあったこと、
またクリミア問題は帝政時代から続いていることなので、
そんなに重く受け止めませんでした。(バカだよね~~)

それが、尾を引き、まさか、こんなに世界を脅かす問題となるとは・・・
エストニアと同じく、ロシア人にとって、
クリミアも自国の領土の感覚だったのもしれません。

そんなことを全く考えず、彼女の発言に注意を向けなかったのです。
(ホント、大バカだったよね~)




ヘルシンキへ移動する前日。

目抜き通りであるネフスキー大通り↑を歩きながら、
「ここで定点観測したら面白いね。
10年くらいしたら、また来たいね」と、夫が言いました。

10年後・・・といえば、2024年・・・再来年です。

その頃、日本は?ロシアは?世界は・・・?
コロナ禍も含め、一体どうなっているのでしょう?


(エルミタージュ美術館)


旅の記憶をたどりながら、『緑の天幕』を読んでいました。
再び、どっぷり、ロシア(小説ではソ連だけど)に浸っていたわけですねw

著者のリュドミラ・ウリツカヤは、現代ロシアの人気作家で
ノーベル文学賞候補とも言われているのだとか。
他の作品も読んでみたいなと、図書館に予約したところです。

本日も、おつきあいいただき、どうもありがとうございました。


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本日の画像は2014年5月撮影ました。

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