おはようございます。
恩田陸『愚かな薔薇』を読み終えました。
本日は、その感想文に、どうぞ、おつきあいくださいませ。
『愚かな薔薇』(徳間書店)は、
直木賞受賞作で、映画化もされた「蜜蜂と遠雷」で知られる、
恩田陸さんの最新刊です。
おもしろくて一気読みしたかったのですが・・・
目の負担を考え、休み休み読みました。
もっとも、母が滞在中なので、そうそう読んでもいられませんでしたがw
1/4くらいを読んだときに感想文を書いており、
下書きに入れていました。
以下に、その一部アップしますす。↓
ーーざくりいうと、14歳の少女が、キャンプに参加し、
「バケモノ」(吸血鬼)になっていくようです。
地球は、いずれ滅びる・・・
外海に出て、新しい未来を探らねばならない。
長い航海に耐えられる人材は、寿命のない吸血鬼・・・
その人材発掘のためのキャンプだったのでした。
ヒロイン奈津は、身体の「変質」を迎え、
同時に亡くなったとされる、両親の秘密を知り・・・
と、こんなところでしょうか。
陸さまの筆力は、さすがで・・・
身体の「変質」が生々しくて、わたしまで気分が悪くなっています。
さらに、「キャンプ」の行われる、磐座の土地が、
祭の静かな雰囲気だけではなく、なんとも不気味で・・・
おかげで、嫌な夢も見てしまいました。
磐座を、身体の「変質」と共に、さまよっていたようです。
アラカンながら、14才の少女の如く・・・wーー
以上が下書き、最初の感想でした。
では、読了後の感想は?
以下、これから、まとめてまいりましょう♫
途中から、作中で「宇宙」が大きく取り上げられるようになります。
そうすると・・・変わってくるのです。
14歳の少女の「変質」は、相変わらず、ちょっと嫌なのですが・・・
(少女時代の身体の変化・成長を思いだし、生々しいからだと思う)
それまで、ちょっと気持ち悪いファンタジーだったのが、
どんどんSF色が強まっていきます。
そうして・・・読了。
静かな余韻に浸ることができました。
どんなに時をかさね、その人が変わってしまったように見えても・・・
人と人とのつながり、想う心は変わらない・・・
そんな想いが、じんわりと湧いてくる結末でした。
実は・・・
陸さまの小説には、いつも一抹の不安を抱いています。
おもしろければ、面白いほど、その不安は強くなるのです・・・
陸さまは、いつも、その圧倒的な筆力と着想で、
グイグイ物語を創り上げていかれます。
ところが、結末は・・・
なんだか、肩すかし。
オープンエンディングというのとも、ちょっと違う・・・
失礼な言い方を承知で言えば、
風呂敷を広げすぎて、放り投げてしまった・・・というような。
(申し訳ございません、わたしの印象です)
そんな経験が多々あるのです。
それが、本作では、見事に結末を迎えられました。
成長小説の如く・・・ww
当初、なんだか不気味だった磐座という土地の見方まで変わります。
ああ、旅したい・・・と、思ってしまうほど。
磐座は、徹夜踊りで街を練り歩くことから、
「おわら風の盆」をイメージして読んでいました。
「おわら風の盆」は、
高橋治の小説「風の盆恋歌」以来、憧れていただけに、
なおさら、小説の街を受け入れられなかったのでしょう。
後で調べたところ、
舞台のモデルは、「郡上踊り」で知られる、岐阜県郡上八幡とのこと。
なるほど!と、納得しています♫
舞台についても、当初の不気味な祭の街ではなく、
矜恃と共に、伝統を受け継いできた、
静かな土地として読み終えられたからです。
昨秋に、書店で平積みになっていたときに、身体が震えました。
表紙カバーが、モー様こと、萩尾望都さんのイラストだったからです。
(期間限定版とのこと)
モー様と言えば、「ポーの一族」、
ヴァンパネラ、すなわち吸血鬼の物語・・・
なるほど、吸血鬼つながりか・・・w
(わたしが小学生の頃から、現在もモー様がお描き下さる「ポーの一族」。
ありがたや・・・)
あらら、いつのまにか、こんなに長くなっていました。
昨日まで、母が滞在していたので
今日は片付けなければいけないことが山積み。
母がいてくれると、楽しいし、
元気で居てくれて、本当に幸せ、ありがたいです。
でも・・・最近は、母の老いを見せつけられ、
頭ではわかっていることなのに、
心が受け入れられずにいます。
永遠の命を持った吸血鬼も、心は変わらないのだから、
母なんて、母のままなのにね・・・
わたしは、なんて幼稚で狭量な娘なんでしょう・・・
らちもないおしゃべりに、おつきあいいただいた皆さま、
どうもありがとうございました。感謝です。
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薔薇の画像は、母と出かけた横浜ローズウィークで撮影しました。