12・12・22
川喜田二郎著「発想法」(中公新書)を
時々読み返しています。
今朝フッと気になったことがあります。
昨日、永井荷風について書きました。
「葛飾土産」をチョッと読み返しただけですが、
荷風は目的があって散策をしていない。
足の向くまま、気の向くままに歩き回っているのでもない、
霊感のようなものがあって、その方に歩く。
歩いている途中で気になるモノに出っくわす。
気になるモノにちゃんと対処し、素通りはしない。
葛羅之井を発見したのもそうした出来事の一つと云えます。
川喜田二郎著「発想法」(中公新書)に
書斎科学と野外科学という分け方をしています。
少し乱暴に云えば
荷風は野外科学に属する作家と云えます。
八幡の前を歩いてゆくと、
やがて道を横切る一條の細流に出会う…。
川の名前を通る人に聞いている。そして
上流にも下流にも足を延ばしている。
目で見る、耳で聞く、風を肌で感じ、手で擦ってみる。
五感を駆使した観察、そうした諸々の感覚で感じ取っている。
真間川はむかしの書物には継川とも記されている。
書物から得た知識には違いないが、
野外科学のおもむきが感じられる。
天風師の「心に成功の炎」282ページ中頃に
「・・・感覚器官をできうるかぎり
正確に使用する習慣を心かけてお付けなさいよ。
……自分でもびっくりするほど、不思議な力がでてくるんです」
荷風がこの言葉を知っていたとは思えませんが、
無意識にこうした行動をしている。