五高の歴史・落穂拾い

旧制第五高等学校の六十年にわたる想い出の歴史のエピソードを集めている。

週一の五高記念館への出である

2014-11-19 05:59:48 | 五高の歴史
十八日火曜日には週一回の五高記念館への出であった。今朝は五高の校友会雑誌開校三十年記念号として 龍南 第百七十六号が発行されているがその巻頭言を時の雑誌部長 澤潟久孝 先生がしたためておられるので転載し編集部員の編集後記を掲げて見た

巻頭言
時は流れ行く。無限の彼方から悠久の彼方へと小休みもなく流れ行く。絶対の見地に立ってこの永劫の流転を眺める時、何十年記念と云い何百年記念というも、要するに閑人が隙間つぶしの遊戯に過ぎないかも知れない。けれども、絶えず生長の欲望と努力とに生きる人間が、時に振り向いて、自らのはるばるとたどり来たった道程を顧みるという事も
限り或る写し身を持つ人間にとっては、決して意味なきことではあるまいと思う。

 本校が開かれてから茲に三十年、此の十月十日を以って盛大な記念式が挙行されたことについて、本誌もまた記年号を発刊する事になった。個人にとって文芸が自己の表現であるが如く本校にとって本誌の消長がやがて校運隆替の表徴である事を思う時、茲に記年号を編集して本誌生長の跡を偲び、校運発展の喜びを共にし得る事は、予等本誌編集者の心からの欣幸であらねばならぬ。唯予等の韮才よく諸先輩の期待に添い得たか否かを恐れる。されど予等は予等の最善の努力を尽した。学校長の式辞にも湯の盤の銘を引いて、日々に新たに日に又新たにと延べられた予等はこの貴い歴史の基礎に立って、更に力強い足取りを以って、ひたすら精神努力の一路を辿らん事を庶幾う。

編集後記    田代三千稔  瀬口中央
私たちがかなり永い月日を費やして作り上げた「龍南」三十年期年号をただいま諸氏の前に提供することが出来たのは編集同人の等しく喜びとするところです。我が龍南に雑誌が発刊されてから今日に至るまで、此の種の計画が全くなかったことや文献が少なかったことなどのために編集上多大の困難を感じましたがこの点において本誌が龍南会雑誌中未曾有の出版物たることは疑いないことだと思います。

本誌は記念特別号の目的に沿う為に各部の沿革史を主眼としました。元来、沿革史など言うものは無味乾燥な記録の羅列に過ぎない、と云われる人もありましょうが、先ず一回通読して下さい。然すれば、龍南の縮図がいかに精密に、興味深く、しかも懐かしく展開せられているかを首肯せらるる事でしょう。増して、龍南を去られた後の思い出を助けるもの、此の上にいずる記念はないと信じます。表紙絵は細木原青起氏に依頼しました。最後に、本誌編集にあたって、種々御援助下された各部委員諸氏、御寄稿下された先輩諸氏に深く感謝します。(大正十年一月)
  編集部委員 大田弁次郎、草葉香、田代未千稔、瀬口正央、岩崎重雄

五高の校友会雑誌「龍南」の発行は明治三十年であったが最初は職員、学生ともども張り切って編集発行していたようであったが五年、十年経ち編集する学生も少なくなり記事も集まらなくなってと言う事で年に二回とかの発行に生ったりして昭和十九年ついには印刷する用紙も手に入らなくなってしまったと言う事で廃刊に及んでいる。