五高の歴史・落穂拾い

旧制第五高等学校の六十年にわたる想い出の歴史のエピソードを集めている。

昭和20年の文部省専門教育局長からの通達

2014-11-27 05:56:04 | 五高の歴史
昭和20年当時本省からの五高への通達を調査しているが戦争も負けが続いている時に重要施設防護のためにする建物疎開実施に関する件として以下のような通知が来ている。その結果五高では金峰山の麓へ疎開させている。何を運んだのか資料がなく詳しい事は以下の図書7千冊しかわからないが、松尾村へとあるところを見れば今の熊本市松尾町であろう。松尾へ疎開させたのは事実である

発専95号   昭和20年6月1日  文部省専門教育局長
第五高等学校長殿
   重要研究施設防護等に関する件
標記の件に関しては予め此の計画並びに実施方法に関する御配意中のことと存ぜらるるも最近に於ける最近に於ける敵機の空襲の激化の情勢に鑑み貴学に於ける重要研究諸施設は現に逐行く中の研究と実情とかねあわせ或るは一層の防護設備の強化し或るは一時適地に疎開する等の方途を講ずる要ありと認めらるるに付いては関係方面とも緊密なる絡の上速に有効適切なる措置を採らるる様致し度此の段及び通牒

昭和20年7月26日   文部省専門教育局長      第五高等学校長殿

重要施設防護の為にする建物疎開実施に関する件   今般重要官公衛、重要工場、重要倉庫、重要交通、運輸通信等の施設を有する都市及び施設疎開受け入都市に於いて耐火性のある重要施設並びに堅牢建物の防御の為に其の規模及び周囲の状況に応じ右周辺の疎開を防空総本部にて実施することに相成りたるに付いては貴学周辺建物にして疎開を必要とする向きあらば略図を添付の上至急申し越し相成り度

略図昭和20年6月29日   学校長 文部省専門教育局長殿
重要研究諸施設防護等に関する件 発専95号を以て御通牒相成り候標記の件了承 右本校に於いては之しか計画を進め居り候処差斉り 重要図書の一部を左記の通り疎開致し条此の段及び
報告候
一、疎開先  熊本県飽託郡松尾村中松尾 本校より西方3里の山間地 一、実施年月日 自昭和20年6月18日至6月27日疎開終了 一疎開図書冊数 約7000冊
一、施設    土蔵坪数 6坪2階建て

松尾の何方かの土蔵に図書約7千冊が疎開してある。誰の土蔵であるか等ははっきりしない。その他の資料は廃棄されていて残っていない。