井伏鱒二の荻窪風土記をやっと読了した。
長い時間かかったなぁ。
でも、味わいのある文章を楽しめたから満足である。
出張のゆれる電車の中、宿の布団の冷たさの中、自宅で風呂に入りながら、またトイレでも読んだ。
この本は井伏の自分史であり、荻窪という土地やそこに生活する人々との関係、特に同じ文学者との交流を織り交ぜながら話は進む。
大正12年9月1日の関東大震災に、今の西早稲田の下宿で被災して、7日後に郷里福山に帰る旅程はなかなか臨場感がある。
中央線の線路伝いで立川まで歩き、塩尻、名古屋経由で福山に至るわけだが、中央線といえば去年見学した廃線トンネルを利用した遊歩道はその当時使われていたと思われる。
トンネルの名前は確か大日影トンネルであったか。
あの地震から88年か、90~100年周期とするとそろそろ覚悟をしなくては。