「東京新聞」2022年11月7日
東京・西新宿の都庁前で毎週土曜日に開かれている生活困窮者のための無料食品配布会の利用者数が、再び増え始めた。コロナ禍で年明けから500人前後で推移していたが先月末、初めての600人台に突入した。収まる気配のない物価高が深刻な影響を及ぼしているようだ。6日、告示された新宿区長選(13日投開票)でも貧困対策は争点の一つになっている。(山下葉月、写真も)
◆想像以上に速いペース
「600人に到達するのは年末だと思っていた。想像以上に速いペースだ」。配布会を開く認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の大西連理事長は驚きを隠せない。
企業などから提供を受けた売れ残りのパンや野菜など8種を配っている。10月29日の利用者は631人。これまでで1日の利用が最も多かった588人から40人以上も増えた。空腹を抱えて訪れた人たちに食品を渡せない日が来るのではないか、と危機感が広がっている。
物価高と歩調を合わせるように利用者が増えている。今年の夏前ごろは500人前後で高止まりしていたが7月に食用油が10〜20%、食パンが10%弱程度値上がりした以降、右肩上がりに転じた。調味料やレトルト食品、ティッシュペーパーなどの価格が数%〜20%上昇した10月は500人台後半が続いた。
◆年末にかけてかなり厳しい…
取材に訪れた5日は、生活保護費が支払われる月初めで、普段なら利用者が比較的少ない日だ。それでも569人の利用があった。若者や、ベビーカーを押す女性の姿もあった。
都内のアパートに住む無職の男性(48)は「ガス代も電気代も払うのがつらい。今年は物価高でとくにそう感じる」。統合失調症と診断され、約10年前から生活保護を受けている。光熱費や携帯代、家賃を差し引くと4万4000円しか残らない。衣類を買う余裕もなく、着ていたジャンパーはこの日の朝、別の支援会場でもらったばかりだ。昨年末から食事の回数も1日2回に減らした。「ここでの配布がないと生きていけない」
大西さんは「給付金などの政策は、実施までにタイムラグがある。物価高の影響はかなり深刻だ。このペースでは、配布会の6回分の備蓄を5回で使い切ってしまう。年末に向けてかなり厳しい状況になるのでは」と話した。
現職と新人の2人が名乗りを上げた新宿区長選でも困窮者対策について論戦が交わされた。現職は低所得者に給付金を配布することをアピールし、新人は区の貯金を給食費無償化や奨学金支援などのために取り崩すことを主張した。
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