もう1週間前の話になりますが、先週金曜日(1月17日)はハワイ亡国の日。白人勢力により国が倒れたこの日、毎年、王家の霊廟からイオラニ宮殿まで大がかりな行進が行われ、両スポットにて様々な式典が開かれます。
通常はイオラニ宮殿に赴く私ですが、今年は初めて王家の霊廟へ。朝8時半に到着すると、霊廟ではすでに式典の真っ最中。リリウオカラニ女王やカラカウア王の眠る墓所の前で、各団体がフラや詠唱を捧げていました。
王家の霊廟は、50人以上の王族が眠る大変な聖地ですが、亡国の日に霊廟で行われる式典は…広場で、というより、まさにリリウオカラニの亡骸に向かって行われる感覚なのですね(下の写真のヤシに囲まれてリリウオカラニの地下墓所があり、そちらに向かってフラや詠唱が捧げられます)。
イオラニ宮殿の庭での式典は公けな印象ですが、霊廟での集まりはもっとグッとプライベート。なかなか生々しいものを感じました。
さてこの日、あちこちで目についたのは古式ゆかしい装いの人たち。たとえば下の写真の男性は、ティーリーフで作った袈裟、昔の戦士のヘアを模したイエイエの蔓のヘルメットをかぶり、槍と鮫の歯の武器を持ってカメハメハ王族の墓所の前に立っていました。
なんだか写真を撮るのが畏れ多くて…でも「あなたがここでAliiを守っているのは承知なのですが、写真を撮ってもいいですか?」と聞くと、快くOKしてくださいました(Alii=王族)。逆に、もしかして「なに大袈裟なことを言っているんだろ」と思われたかも。この方はその後、ふつうに人々と談笑してましたからね(笑)。
式典後は、いよいよ宮殿までの大行進です。9時45分から宮殿に向かうというスケジュールは発表になっていましたが、その通りに行くかどうか…と思っていたら。時間ピッタリに出発。なぜなら…それは警察からの要請だったからです(式典の責任者風の人がトランシーバーで「警察から出発せよとのお達しなので、もう出るよ」と言っていました)。
まだまだ墓碑前でフラの奉納などは続いていましたが、なにせ行進のルートは警察が出動して車線が封鎖されていましたからねえ。ハワイアンタイムで物事を進めることはできなかったようです。
私は行進とともにダウンタウンの自宅に戻りましたが、数千人の参加者はそのままイオラニ宮殿へ。夕方4時頃に宮殿を通りかかると式典はまだ続いていて、この日がハワイアンにとっていかに大切な日か、改めて思い知らされることになりました。ハワイ王国が倒れてから、今年で132年。亡国の悼みは、まだまだ続いています…。