風を読む-Newsモーニングサテライト-

モーニングサテライト・ウォッチ

2017.3.24 Newsモーニングサテライト

2017年03月24日 21時02分01秒 | MS
【本日のコメンテーター】三菱東京UFJ銀行/内田稔氏

■マーケット
 
NYダウ6日続落 1ヵ月ぶり安値
23日のNY株式市場はオバマケアの代替法案が果たして議会を通過するのかが最大のテーマでした。取引終了30分前に採決が延期になったと伝わり、株価は下げ幅を拡大しました。法案成立へ向けたニュースに23日も株価は敏感に反応。共和党保守強硬派への説得が難航していると報じられたタイミングで一段安。その後、採決延期のニュースを受けてダウはマイナスに転じました。トランプ政権の政策の実現性を左右するだけに不透明感が続くことへの警戒感が広がる一方、採決の延期は交渉が続いている証拠でもあり希望がなくなった訳ではないとの前向きな見方も一部にはあるようです。株価の終値はダウが6日続落し4ドル安の2万656ドル。1ヵ月ぶりの安値です。ナスダックは反落。3ポイント下落し5,817。SP500も反落し2ポイントマイナスの2,345でした。セクター別騰落率は医療保険制度改革の行方が、混沌(こんとん)としていることを受けて、ヘルスケアは影響を受け軟調な動きでした。一方、売りが続いていた金融には買戻しが入り上昇率上位に顔を出しました。
 
【NY証券取引所中継】米住宅市場“頭打ち”?
解説は東海東京証券アメリカの笠原善彦氏
 
--大引け前に動きましたね。

はい、安く寄り付いた後、午後にかけては金融株の反発やアパレル株の上昇から、堅調に推移しましたが、オバマケア代替法案の採決が見送られたことを嫌気して、主要3指数とも下落して引けました。
 

--さて住宅市場では、価格が大きな焦点になってきていますね。

(フリップ1:新築住宅販売件数は“頭打ち”)
はい、新築住宅販売件数は、過去1年近くを振り返ると、年率55万戸~60万戸のレンジで、全般には頭打ち感が強くなっています。その大きな要因の1つが価格です。


(フリップ2:住宅バブル時を約20%上回る)
今日発表の2月分では、価格の中央値が下がったものの、これまでのトレンドは住宅バブルのピーク時を20%程度上回る水準に達し、中間層以下の所得層に分類される家計の新築住宅購入が徐々に困難になりつつあります。
 

--なるほど、ただ、恩恵を受ける部分もあるわけですよね。

(フリップ3:住宅建設株は好パフォーマンス)
はい、住宅建設株指数も、大統領選以降S&P500を上回るパフォーマンスです。個別でも住宅販売大手のレナーなどは安定した受注と、住宅価格の上昇による利ザヤの改善を背景に、業績も・・・株価も上昇しています。このように大手を中心とする住宅建設株は堅調ですが、新築住宅市場は全体としてはやや行き詰まり感も見られ、トランプ政権による景気刺激策の成否が今後のカギを握るとみています。
 
 
【NY証券取引所中継】“情報漏えい対策”に市場注目
解説は東海東京証券アメリカの笠原善彦氏
 
--政策の実行への期待が低下気味の中、細かく見ると期待できる分野ももちろんあるわけですよね。

はい、それはサイバーセキュリティー対応の分野です。大統領選挙でのロシアによるサイバー攻撃の関与なども指摘される中、トランプ政権も軍事力強化の一環として、サイバーセキュリティ対応強化を掲げています。

--その警戒感というのは、もちろん個人や企業の中でも高まっているわけですよね。

(フリップ1:個人情報管理への信頼)
はい、1月に発表されたアメリカ国民を対象としたある調査では、ソーシャルメディアや政府機関に対する個人情報管理の信頼感は50%前後にすぎません。また49%の人が個人情報の管理の安全性が、5年前よりも低下したと感じているようです。

(フリップ2:米15年情報漏洩件数)
一方、別の調査では企業や法人について、2015年に米国で報告があったデータ侵害・漏洩は781件と史上2番目の多さで、約40%が一般企業、約36%が医療機関関係で発生しています。

--だからこそ、そこにビジネスチャンスがあるというわけですよね。

(フリップ3:サイバーセキュリティー投資)
全世界での企業のサイバーセキュリティ投資は、2016年の前年比で58%の伸びから、2017年には73%の伸びが見込まれるという試算もあります。
 

(フリップ4:チェックポイント・ソフトウェア・テクノロジーの株価)
この分野はその必要性の高さから、季節や景気動向に左右されづらい需要が見込めるものと思われ、実際にITセキュリティ向けのソフトウェアの開発販売などを手掛けるチェックポイント・ソフトウェア・テクノロジーの株価なども足下で堅調に推移しています。
 
 
【為替見通し】注目ポイントは「調整の最終局面」
解説は三菱東京UFJ銀行NYの平井邦行氏
 
--まずNY市場の動きというのはいかがだったでしょうか。

ニューヨーク市場は米下院でのオバマケア代替法案の採決の行方を見守る展開となりました。採決の可否をめぐる報道に一喜一憂する格好となり、ドル円は111円ちょうどを挟んで小動きに終始しました。

--今日の予想レンジは、110.50円~111.50円です。

つい先ほどオバマケア代替法案の採決は、明日ないしは来週月曜日に持ち越しとなったとの報道がありました。よって引き続き同法案の行方を見守りながら、111円ちょうどを挟んだ展開を予想します。

--注目ポイントは「調整の最終局面」です。

(フリップ1:ドル/円上昇の5割を調整)
ドル円は昨年の大統領選の時につけた安値101円前半から、トランプ相場の高値118円後半まで、約17円上昇してきました。ここまでのトランプ相場の調整で、既に約8円下落しており、約5割、半分調整したことになります。一方で、米株の調整は2割強であることから、ドル円の調整は米株に比べ、ずいぶん進んだと見ています。また市場はFRBのいう今年あと2回の利上げを織り込み切れていないことから、日米金利差のさらなる拡大も今後十分に考えられます。結果として今回のトランプ相場の調整によるドル円の下落は、最終局面を迎えていると考えており、トランプ相場の上昇の反面、つまり110円ちょうどを底値に、ドル円は再び上昇に転じると見ています。
 
【日本株見通し】注目ポイントは「中小型株」
解説はSMBC信託銀行プレスティアの山口真弘氏
 
--今日の予想レンジは、1万8900~1万9200円です。

アメリカ下院がヘルスケア法案の採決を延期したことで、トランプ政権の政策遂行能力に対する懐疑的な見方が一段と強まりそうです。本日の日本株は取引序盤に下げる場面もありそうですが、下院採決の結果を待ちたいと、様子見姿勢が強まり、下値を探る動きは限定的となると思われます。

--法案の行方はどうご覧になりますか。やはり日本株の重しになりませんか。

はい、オバマケアの撤回は共和党の目標であるため、ヘルスケア法案の成立のタイミングが後ずれする程度にとどまるというように思います。
(フリップ1:ポジション調整が日本株に影響?)
アメリカ商品先物取引委員会(CFCT)によれば、米10年物国債のショートポジションは、2000年以降で最大の水準まで積み上げられていました。ポジション調整により、米国債利回りが低下し、日米金利さんは縮小、ドル円が下落して、日経平均株価の下げにつながったと思われます。ポジション調整が一巡すれば、日経平均は戻りを試す動きになるというように考えています。

--注目ポイントは「中小型株」です。

(フリップ2:東証マザーズ指数は底堅い)
東証マザーズ指数は重要イベントを前に、先週からは利益確定売りに押されました。ただ新規株式公開を行った銘柄が物色されるなど、一定の底堅さを示しています。投資家心理が大幅に悪化しているとは思われず、個人投資家を中心に、下値を拾う意欲は衰えていないというように感じられます。もしアメリカ下院がヘルスケア法案を可決すれば、物色の対象は大型株に広がり、日経平均株価は19000円台半ばを抜けて上昇する展開になると考えています。
 
 
■【プロの眼】アメリカはドル安を望むのか?
先週開催されたG20を受け、アメリカではドル安政策に傾斜するのではと警戒されていますが、ムニューシン財務長官は強いドルが好ましいと述べています。アメリカの為替政策は積極的なドル高誘導ではないが、一段のドル高を牽制したり、多少のドル安なら容認するという言わば「消極的なドル安政策」になるといいます。解説は三菱東京UFJ銀行の内田稔氏。
 
--さて「アメリカはドル安を望むのか?」ということで、まさに今ドル安になっている中なんですが、先週のG20でもアメリカの保護主義が受け入れられてしまう中、じゃあ為替もドル安の方向に持っていかれるのではないかというふうに言われています。これはどちらなんでしょうか。

「基本的にアメリカはは経常収支が赤字の国なので、その埋め合わせのために、外国人に米国債を買ってもらう必要があるんですね。従ってアメリカにとっては、アメリカのドルと、それから米国債、長期金利の安定というものが極めて重要ですから、積極的にドルを安くしていくということは基本的にはできないというふうに考えられます。」

(フリップ1:一段のドル高には抵抗?)
「ただ、一方で、結構ドルも上がりましたので、ここからさらにドルが上がってはハッピーではありませんから、そういう意味ではムニューチン財務長官もドル高がいいんだということも言っていますけれども、必ず枕詞に『長期的には』というのを付けているんですね。短期的にはドル高がマイナスだということは、インタビューであるとか、議会の所感でも言っていますので、短期的なドル高はやはり嫌なんだと思います。」

--これはドルの実効レートで見ているんですけれども、例えば、アメリカの貿易赤字は、約半分が中国ですから、人民元が標的なんだという認識もある中で、一方で、円もユーロも攻撃されます。これはどうしてでしょうか。

(フリップ2:一段のドル高には抵抗?)
「アメリカのドルがここ数年間、貿易の重要度に応じて計算しなおした場合に、どこに対してドル高が進んだかと言いますと、実際には人民元を含む新興国通貨よりも、対主要通貨に対するドル高のほうが顕著に進んでいるんですね。ですから中国の人民元には柔軟な為替制度の導入を求める一方で、やはり円やユーロの一段安には歯止めをかけたいというのが本音だと思います。」

--なるほど、4月に入ると為替報告書も出てきますから、ここで実際に円が為替操作国というふうに認定される懸念というのは、くすぶってはいますが、どうでしょうか。

(フリップ3:現在の水準は許容できる?)
「そうですね、可能性はゼロではないんですが、まず円相場の水準を、アメリカと言いますか、IMFがどう見ているかなんですが・・・。昨年の10月に出た為替報告書の中では、2016年の半ばの水準をもって、ある程度、適正だと言っていたんですね。」

--これは円の実質実効レートで見ていますけれども、例えばそれをドル円でなおすと、どれぐらいの水準が適正と見ているか。

「2016年の半ばと言えば、ちょうどブレグジットで一時100円を割ったという、あの頃の水準ということになります。」

--それが"適正"と見ているんですね。

「そうですね。ドル円に置き換えるとですね。そして2015年はものすごく円が安いというふうに言っていまして、じゃあ今がどうかというと、ちょうどその間ぐらいなので、許容できないほど円安ということではないと思いますし、あとは日本は過去5年間、為替介入をやってませんから、操作国に認定される可能性というのは極めてゼロに近いと思います。ただアメリカは一段のドル高には牽制してきたりとか、あとは緩やかなドル安であれば、容認するというような、言ってみれば、消極的なドル安政策といったスタンスで臨んでくるのではないかなというふうに見ています。」
 
 
■【特集】韓国・不動産バブル崩壊寸前か?
政治の混乱が続く韓国、これまで右肩上がりを続けてきた不動産が今、岐路に立たされている。不動産神話が崩れ始め、バブル崩壊に向かうのか現場を取材した。

ソウルから南に40キロの住宅街の龍仁に異変が起きている。ここにある3千世帯の団地の20%が売れ残りになっていて、周辺は新しいマンションも建ち、供給過剰になっている。築14年の中古マンション、大幅に値下げしても売れ残り、業者は処分を急いでいるという。

《OK公認仲介士事務所/閔武植(ミン・ムシク)社長》
「約7千万円だったが、4千万円でも売れず、もっと下がりそうなので客は処分を急いでいる。」

韓国の地価は経済成長に伴い、右肩上がりになった。リーマンショック前後も大きく下がらず、経済成長が鈍る中でも政府が税の減免や規制緩和を打ち出して、不動産神話は続いていた。

6年前に建設された高級マンションでも異変が起きている。150戸のうち、新築のまま10戸が売れ残っている。4LDKで123㎡の物件が、元の価格、約1億2千万円からおよそ4割下げ、7500万円で売っている。さらに内覧会で営業担当者は無料のオプションをつけて、売り込み始めた。焦る理由は今年から来年にかけ、80万というマンションの大量供給が始まることに加え、住宅ローンの金利が上昇し始めているからだ。

《平均住宅ローン金利(韓国銀行調べ)》
・ 16年7月 2.66%
・ 17年1月 3.16%

《ヒョンデ産業開発/李官厚本部長》
「どうせ最初の分譲価格では売れない。欲を出さず、完売だけを目指している。」

金利上昇に加え、政府がマンション転売規制に乗り出したほか、個人の実質所得が去年マイナスに転じるなど、不動産市況は厳しくなっている。

《建国大学/劉銑鍾(ユ・センジョン)教授》
「将来、人口が減るのを知りながら、政府は無理に不動産市場を拡大した。需要の減少を考えない場合、不動産市場は崩壊する。」
 
不動産の右肩上がりを前提としていたため、韓国の住宅ローンで問題が起き始めている。金東洙(キム・ドンス)さん(51歳・男性)は返済に困り、国の機関に返済方法を相談している最中だ。子供は就職し、一人暮らしの金さん。一昨年3月、築20年以上のマンションを銀行から300万円を借りて、約1100万円で購入した。韓国では不動産の値上がりが前提のため、毎月の返済は利子のみを返していく計画で、無理のないものだった。しかし去年、銀行は利子だけでなく、元本の支払いも求めるようになった。景気減速で仕事も減ったため、返済が苦しくなった。

韓国では利子だけ返済するローンが大半で、元本の返済となると苦しくなる人が多く、(不動産の)値上がり前提の仕組みは、いま崩壊しつつある。家計の負債でみても、韓国はGDP比で91.6%(国際決裁銀行調べ)。大半が不動産での負債で、不動産バブルの崩壊は深刻な社会問題になると専門家は指摘する。

《劉銑鍾教授》 「住宅価格が急落するか、持続的に下落する傾向になった。庶民が破たんする環境になるのがとても大きな問題。」

政治の混乱が続く韓国だが、これまで成長を続けてきた経済の分野でも、その足元が揺らぎ始めている。

 
・ 「韓国・不動産バブル崩壊寸前か?」について
 
--これは日本もかつて経験した道のりですけれども、バブル崩壊を食い止めるには、いま何をするべきか。

《三菱東京UFJ銀行/内田稔氏》
「まず金融緩和というのは必要だと思いますし、仮にバブル崩壊した場合、だいたい公的資金投入というのが多いパターンなんですが、これは政治が安定してないとできない政策なので、そういう意味では非常に先行きが心配ですね。」
 

■日経朝特急
 
大企業のM&A急増
大企業が技術や人材の取り込みを狙い、ベンチャー企業に対する買収や出資を急速に増やしている。去年の出資などを含めたM&Aは、2012年に比べ件数で約6倍、金額で約3倍に増えた。異業種を含めた競争激化や、製品サイクルの短縮化が進むなか、自前主義では限界と判断。ベンチャー企業の力を活用する。
《買い手企業》
KDDI、グリー、楽天、トヨタ自動車、三井物産・スカパーJSAT
《売り手ベンチャー企業》
ロコパートナーズ(宿泊予約サイト)、3ミニッツ(動画マーケティング)、ファブリック(個人間売買アプリ)、プリファード・ネットワークス(人工知能)、アクセルスペース(超小型人工衛星)
 
 
人口安定に20万人流入必要
働き手不足や社会保障制度の先行き不安などの問題の根底には、人口減少があるが、歯止めをかけるには出生率を高めるか、外国人の受け入れを増やすしかない。日本経済研修センターは出生率を1.8%に、外国人受け入れケースを年20万人にそれぞれ引き上げれば、2100年以降の人口が9000万人で安定すると試算する。
 
 
スマホ決済、中国8億人に
中国インターネットサービス最大手のテンセントが、スマホを使った決済を猛烈な勢いで拡大させている。今や中国では街の店のいたるところで、スマホで会計を済ませる姿が見られ、去年のスマホ決済額は中国全体で前年比倍増の600兆円以上に達した。財布も現金もいらない生活が中国では現実のものとなっている。
 
 
新興国通貨が高値圏
メキシコペソが今週に入り一時4ヵ月ぶりの高値まで上昇、去年11月のトランプ氏勝利が判明した日以来の高水準だ。またトルコリラも3週間ぶりの高値圏だ。3月のFOMCを受けて、今後は利上げペースが加速するとの観測が後退。新興国からの資金流出の懸念が薄れ、買い戻す動きが広がっている。


・ 「新興国通貨が高値圏」について

--これに関しては本当に利上げが4回かもしれないなんてコメントもあるぐらいですから、いつ環境が変化するかも分からず、リスクへの備えというのはできていないですか。

《三菱東京UFJ銀行/内田稔氏》
「ドル円相場ですと、5年先、10年先のリスクヘッジができるんですが、新興国通貨の場合は市場がまだ極めて流動性も乏しいので、相場環境が良いあいだになるべくリスクヘッジを入れておくということがやはり重要だと思います。」

--リスクヘッジはそれだけやはり短い期間しかできないんですか、新興国は。

「基本的には1年以内であったりとか、通貨によってはヘッジ手段が限られるものもありますので、そういう意味ではいい時に何か手を打っておくという必要はあると思います。」
 

■日刊モーサテジャーナル

ロンドンのテロ事件「平穏の日々が突如終わる」
米新聞各紙は、ロンドンで起きたテロ事件で、被害者の救助に当たる人々の写真を大きく掲載、緊迫した現場の様子を伝えている。
ウォールストリートジャーナルは、「最近続いていた平穏な日々が突如終わった」、と今後の警戒を呼びかけている。記事は、「イギリスの諜報機関でさえ、全てのテロを止められないということだ」、と指摘。「中東の過激派組織"イスラム国"はイラクとシリアの重要拠点を奪還されたことから、さらに過激になる可能性がある一方、アルカイダが復活を画策していることも忘れてはならない。」、とし、諜報機関による監視や取締りの強化を訴えている。その上で、アメリカとイギリスが一部の便でパソコンの機内持ち込みを禁止したことについて、「不便だと文句を言う人がいるが、本を買えば済むことだ。」、と批判を一蹴している。
 

米共和党議員、合法移民の削減も狙う(ウォールストリートジャーナル)
アメリカでは不法移民の入国制限が議論になっているが、ウォールストリートジャーナルは、「共和党の議員は不法移民だけではなく、合法の移民の数も減らそうと画策している」、と報じている。記事によると、「一部の共和党の議員は、移民としての滞在許可を出す理由の約65%が血縁関係であり、雇用や技能といった理由が15%にとどまっていることを問題視。結果としてアメリカ人の低所得者の雇用が奪われていると主張し、将来的には合法移民の数を半分にするよう画策しているという。トランプ大統領も合法移民削減に賛成している模様だが、記事は、「高齢化が進む中、過度な移民の削減は、労働力不足につながる」、と懸念している。
 

トランプ大統領一家の警護に約67億円の追加費用(ワシントンポスト)
米大統領の警護を担うシークレットサービスが、来年度の予算に6000万ドル(約67億円)の追加を要求、警護を強化する方針だと伝えている。シークレットサービスはホワイトハウスとフロリダの別荘を行き来するトランプ大統領に加え、ニューヨークのトランプタワーに住むめラニア夫人と息子のマロン君も警護の対象としている。また不動産ビジネスのため、海外出張が多いという家族も守らなければならない。記事は、「トランプ一家の派手なライフスタイルが費用増大につながっている」、と批判。「国防費以外で政府支出の削減を目指すトランプ大統領の方針と矛盾しているのでは。」と疑問を呈している。
 
 
・ 「トランプ大統領一家の警護に約67億円の追加費用」について

--そもそも大統領一家なんだという認識のところが薄いのではないかと言われますけれども・・・。

《三菱東京UFJ銀行/内田稔氏》
「そうですね、これだけお金がかかりますと、コアな支持層である中所得者層にどう映るかですよね。これが仮に支持率低下ということになりますと、2年後の中間選挙を見据えて、共和党議員の人がトランプ大統領と距離をとることになりますから、そういう意味では政治が進めにくくなるという、こんなことにも跳ね返りかねないですよね。」
 

■今日の予定

参院予算委集中審議
1月景気動向指数(改定値)
米2月耐久財受注
米3月製造業PMI
 

■ニュース

米 オバマケア代替法案 採決先送り
アメリカのトランプ大統領が最優先課題に位置付ける医療保険制度改革、いわゆるオバマケアを見直す代替法案について共和党は23日に予定していた下院本会議での採決を24日以降に先送りしました。ワシントン支局から内田記者の中継です。

《中継:ワシントン支局/内田広大記者》

与党内の反対派の説得に手間取っているトランプ政権は、ひとまず延長戦に持ち込んだという形ですけれども、法案を可決させる道筋は簡単ではなさそうです。採決先送りの一報が伝えられた時、トランプ大統領は運送業界の代表者と会談中で、予定通り採決して可決できるとの自信を示していました。

この日、トランプ大統領は法案に反対する保守強硬派の議員と会談しましたが、この説得工作は不調に終わりました。保守強硬派を率いるメドウズ議員は、会談後「納得できていない」と述べ、採決で反対票を投じる可能性を示唆していました。ワシントンポストの調査では、37人の共和党議員が現時点では法案に反対票を投じると表明していて、このまま採決に踏み切った場合、法案が否決される公算が高まっていました。

今回の法案はオバマケアの仕組みを部分的に残した、いわば妥協策なんですけれども、保守強硬派はオバマケアの完全廃止を求めていて、双方が歩み寄る気配にはありません。オバマケア見直しのあとに、税制改革やインフラ投資の拡大を実現させるとしているトランプ大統領。法案の採決でつまずいたことで、今後の政策実現に関する不透明感が高まっています。
 


米 新築住宅販売 7ヵ月ぶり高水準
アメリカ商務省が23日発表した2月の新築住宅販売件数は年換算で59万2,000戸と7ヵ月ぶりの高い水準となりました。前の月に比べ6.1%の増加で市場予想を上回りました。また、新築住宅の価格の中央値が前の月に比べ3.9%値下がりし販売を押し上げました。在庫は3.6%減少したものの、5.4ヵ月分と需要と供給のバランスを保つ水準を維持しています。アメリカのエコノミストは新築住宅の建設は今後も緩やかながら着実に伸びていくと予想しています。
 

フォード 収益見通し下方修正
アメリカの自動車大手、フォード・モーターは23日、今年通期の収益見通しが去年より少ない90億ドルになるとの見通しを明らかにしました。新興のAI=人工知能システム開発会社に今後5年間で10億ドルを投資するほか、自動運転など新たな技術開発に積極的に投資する方針で、これが収益を一時的に押し下げると説明しています。
 

米 新規失業保険 予想上回る増加
労働省が発表した先週18日までの新規失業保険申請者数は、予想を超える増加となりました。申請者の数は前の週に比べ1万5,000人多い25万8,000人で7週間ぶりの高水準でした。一方、トレンドを見る4週移動平均は24万人で、前の週より1,000人増えました。
 

サンフランシスコ連銀総裁 「場合によっては4回利上げすべき」
サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が場合によっては今年、4回利上げすべきだとの見解を示しました。ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューに応じたウィリアムズ総裁は「アメリカ経済の成長はトレンドをやや上回っている」としています。一方、FRB=連邦準備制度理事会のイエレン議長はワシントンで講演しましたが利上げの見通しなど金融政策についての言及はありませんでした。
 

籠池氏 証人喚問 「寄付金」政府側 真っ向否定
学校法人「森友学園」の籠池泰典氏の証人喚問が国会で行われました。籠池氏は「安倍総理大臣から寄付金を受けたと」詳細に証言しましたが、政府側はこれを真っ向から否定しています。籠池氏は安倍総理夫人の昭恵氏が講演に訪れた際、安倍総理からとする寄付金を、受け取ったと証言しました。また、籠池氏は、国有地の取り引きをめぐって昭恵夫人に連絡を取り、昭恵夫人を担当する政府職員からFAXで回答を得たと述べました。これに対し、菅官房長官はFAXを公開した上で問い合わせたのは昭恵夫人ではく政府職員だと説明し「夫人は関与していない」と主張しました。また、昭恵夫人本人も自身のSNSで「100万円の寄付金をお渡ししたことも、講演料を頂いたこともない」などと真っ向から否定しています。きょうは国会に当時の財務省・理財局長である迫田国税庁長官らを参考人として呼び、安倍総理大臣出席のもと参議院で集中審議が行われます。
 

筆頭株主か? 東芝株8%超取得 旧村上ファンド出身者
旧村上ファンドの出身者が設立したとされるシンガポールの投資ファンド「エフィッシモキャピタルマネージメント」が、経営再建中の東芝の株式を8.14%取得し東芝の筆頭株主になったとみられます。ファンドが23日付で関東財務局に提出した大量保有報告書によりますと、取得目的は「純投資」としていますが、今後、リストラなどの経営改善策を求める可能性もあります。
 

月例経済報告 3月の景気判断据え置き
政府はきのう、3月の月例経済報告を発表し、景気の基調判断を「一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」として、前の月までの判断を据え置きました。同じ表現は、4ヵ月連続となります。個別の項目では、新車販売が回復していることなどから、「個人消費」の判断を3ヵ月ぶりに上方修正しました。
 

日本郵政×ホンダ 電動バイクで郵便配達
日本郵便とホンダは、郵便配達に電動バイクを導入するための実証実験を2018年ごろから始めると発表しました。郵便配達用のバイクは、重い荷物を積んでの発進や停止を繰り返すなど、通常よりも強さが求められるため、耐久性や、コストなどを見極めます。日本郵便は、電動バイクを導入し、今後の環境規制の強化に対応したい考えで、一方のホンダは、これをきっかけに、電動バイクの普及を狙います。
 

セブン銀行ATMで… スマホで入出金が可能に
セブン銀行とじぶん銀行は、キャッシュカードの代わりにスマートフォンを使って現金を出し入れできるサービスを27日から始めると発表しました。じぶん銀行に口座を持つ人が対象で、全国のセブン銀行のATMで利用できるようになります。利用者は、じぶん銀行のスマホアプリを起動し、ATMの画面に出るQRコードをスマホで撮影するなどして、現金を出し入れします。
 

米 イースター消費 過去最高の見通し
NRF=全米小売業協会は23日、来月16日のキリスト教の祝日=イースターを祝う消費者の支出が調査開始以来過去最高になるとの見通しを発表しました。今年の支出総額は1年前に比べ6%プラスの184億ドル=およそ2兆円に上ると試算しています。一人あたりの平均支出は152ドル=1万7,000円ほどで特に衣料品の購入を予定する人が大幅に増えているということです。
 

フォルクスワーゲン 社債発行再開へ
ヨーロッパ最大の自動車メーカー、フォルクスワーゲンが2015年の排ガス不正問題以降行っていなかった社債の発行を再開する模様です。ブルームバーグによるとフォルクスワーゲンは償還期間が最長10年の社債を80億ユーロ分売り出すということです。これは、飲料大手=アンハイザー・ブッシュ・インベブが去年発行した132億ユーロ分に次ぐ大型の社債発行になります。
 

沈没から3年 韓国 セウォル号 引き揚げ大詰め
2014年4月に韓国南西部の珍島沖で沈没し、高校生など295人が死亡、9人が行方不明となった旅客船セウォル号の船体の本格的な引き揚げ作業が始まりました。昨夜には、船体の上部が海面から10メートルの高さまで到達し目標の13メートルまであと3メートルと作業は大詰めを迎えてます。引き揚げ完了後、船体をドックに載せて港に運ぶ予定です。
 

英ロンドンテロ事件、実行犯は英国出身
ロンドンの国会議事堂近くで車に乗った男が歩行者を次々とはねたあと、警官を襲った事件で、ロンドン警視庁は23日、射殺された実行犯の身元について、英国出身のハリド・マスード容疑者と発表しました。メイ首相は議会演説で、単独犯と見られると述べたうえで、「男がイギリス生まれで、数年前にイスラム過激主義に関連して、情報局保安部の捜査を受けたことがある。」、と説明しています。
 

■【コメンテーター】三菱東京UFJ銀行/内田稔氏

・ 米オバマケア代替法案、採決先送り

--トランプ大統領誕生の時に、実は大事なのは議会なんだと・・・、カギを握るのは議会だという話が出ていたんですが、それがオバマケアで見えた格好ですね。

「そうですね。やはりここでつまずきますと、後ろの税制改革も時間がさらに先送りになりますし、あとは金融政策も影響を受けますよね。ウィリアム総裁m場合によっては4回というふうに言っていますけれども、あまり政策が進まないんだとすると、場合によってはもっと利上げ回数が少なくなるという可能性も出てきますから、金融政策にも影響が出てくると思います。」

--これはさらに、もしも万が一、もっとマーケットが動揺するとなると、その回数はもしかしたら、もっと減るという可能性すら出てくるかも・・・。

「そうですね、アメリカは減る可能性と増える可能性の両睨みの必要があると思うんですが、為替で行けば、減ればドルは上がらなくなりますし、増えた場合、後ろのバランスシート縮小に目が行ってしまうので、ちょっと株が心配ですよね。」
 

・ 今日の経済視点 「米国の連立政権」

「大統領と上下両院とも共和党が過半数、ねじれ解消で政策がすいすい進むというのが、トランプラリーの1つのスタートラインでもあったんですが、やはり共和党と言っても主流派と保守強硬派ってかなり考え方が違いますので、アメリカは実際には連立政権に近いという見方をしておいたほうがいいかなと思いますね。実際にはねじれは結構あるんだということだと思います。」

--それをどう説得するかですけれども、トランプ氏の説得に今回は応じていないということですもんね。

「そうですね。従って政治手腕自体も問われるところではありますけれども、そもそもの前提がどうなのかということで、ちょっと非常に注目ですね。」
 
 
***

--そして、ここで森田さんから報告が・・・。

--(森田キャスター)
「再来週、4月からニューヨークでキャスターを務めることになりまして、東京のスタジオの出演は今日で最後になります。ありがとうございました。」