祥一郎…………
「おっちゃん、御飯炊いてるし、大根おろしすってあるで。それとも納豆たべる?」
料理の下手だったお前が、疲れて帰ってくる私のおかずが作れない故の精一杯の気遣いだったね。
「おっちゃん、風呂冷めてしまうからはよ入りや。」
我が家は追い炊き機能の無い風呂だったから、私が仕事から帰った時刻に合わせて風呂にお湯を張ってくれていたね。
「おっちゃん、それ洗濯するで。はよ脱ぎや。」
ぶつぶつ言う私のパジャマや、普段着を脱がせて毎日洗濯してくれていたね。
「おっちゃん、昨日クーラーつけっぱなしやったで。」
いつも早目に寝るお前が、私が昨夜酔って消し忘れたクーラーのことで怒られたね。
「おっちゃん、きょう買い物行かんの?」
自分の用事で外出している私によく来たメールだったね。結局おそくなっても買い物に行くんだけど、お前は不機嫌だった。「まったくうちにはうちの都合があるのよね。」なんて言いながら。
「ぐーーーー、ぐぉーーーがぉーーー」
お前はけっこうイビキが凄かったね。それで眠れない私がお前の背中を叩くと、ふと起きて束の間静かになる。でも暫くたつとまたイビキ。
「どすん、ばたん、ずりずり………」
お前はちゃんと予定を決めて昼間の寝室で体操をしていたね。
「まあ、やらしい、ああ怖い怖いわあ。気を付けないと。」
ちょっと用事があって風呂に入っているお前にドアを開けて話しかけると、おかしな事を言ってたね。
「もうちょっとさあ、私の口に合う味付けにしてほしいのよね。」
私の作った料理にそう言いながら、けっきょく沢山食べたのもお前だったね。
「おっちゃん、公園に大きな鯉のぼりが泳いでるよ。」
私が鬱で惨い状態にいるときに励まそうとして教えてくれたね。
「なんとかなる、仕事はみつかるって。」
私が失業したときに、何度かこの言葉で励ましてくれたね。
「どちらさん?困るんですけど。おっちゃんが帰ってきたら怒られるし。」
一人で遊びに行って帰りが遅くなった私によく言ってたね。寂しかったのかな。
「おっちゃん、こんなにええの?生活苦しいのに。。
お前の誕生日にちょっと奮発してお金を渡すとそう言ってたね。
「どうせもうええねん。すぐ死ぬし、生きててもええことあらんし。」
何かあるとすぐこんなネガティブなこと言ってたね。おっちゃん困ったよ。
「おっちゃん、歳とったらうちの実家でくらしたらええやん。うちの親父もそう言ってたで。」
ちょっとびっくりしたけど、印象に残る言葉だった。
「クロがな、おっちゃんがでかけると探し回って鳴くねん。うるそうてしゃあない。」
今はクロは、お前が居ないことで鳴いているよ。二度と帰ってこないお前を探して………
「おっちゃん………手、握って………」
亡くなる二日前にお前が最期に呟いた、ちょっと泣きながら言った弱気な言葉だった。それに対して私は恥ずかしいやらおかしいやらで、「どした、さすがに弱気になったん?もうすぐ病院に行くから大丈夫やて。」と言って軽くしかお前の手を握ってやらなかった。
祥一郎…………
お前と交わした、生活の中の同じような会話、言葉が、もうおっちゃんは聞けない……
そして最後の方に聞いたお前の助けを求めるような言葉に、おっちゃんは気付くことが出来なかった。
祥一郎………
許してくれなくともいい………怨んでてもいい………
でも、本当に本当にごめんね、ごめんね、ごめんね………
おっちゃんが馬鹿だった、愚かだった。
こんなに長く一緒に暮らしていたのに、お前の死が迫っていたのに、それに気付くことが出来なかった。
祥一郎………謝っても謝ってもおっちゃんはお前に償えないよ。
祥一郎………おっちゃんは今すぐにでもお前のところに行って、強くお前を抱きしめて泣きながら
謝りたい…………
「おっちゃん、御飯炊いてるし、大根おろしすってあるで。それとも納豆たべる?」
料理の下手だったお前が、疲れて帰ってくる私のおかずが作れない故の精一杯の気遣いだったね。
「おっちゃん、風呂冷めてしまうからはよ入りや。」
我が家は追い炊き機能の無い風呂だったから、私が仕事から帰った時刻に合わせて風呂にお湯を張ってくれていたね。
「おっちゃん、それ洗濯するで。はよ脱ぎや。」
ぶつぶつ言う私のパジャマや、普段着を脱がせて毎日洗濯してくれていたね。
「おっちゃん、昨日クーラーつけっぱなしやったで。」
いつも早目に寝るお前が、私が昨夜酔って消し忘れたクーラーのことで怒られたね。
「おっちゃん、きょう買い物行かんの?」
自分の用事で外出している私によく来たメールだったね。結局おそくなっても買い物に行くんだけど、お前は不機嫌だった。「まったくうちにはうちの都合があるのよね。」なんて言いながら。
「ぐーーーー、ぐぉーーーがぉーーー」
お前はけっこうイビキが凄かったね。それで眠れない私がお前の背中を叩くと、ふと起きて束の間静かになる。でも暫くたつとまたイビキ。
「どすん、ばたん、ずりずり………」
お前はちゃんと予定を決めて昼間の寝室で体操をしていたね。
「まあ、やらしい、ああ怖い怖いわあ。気を付けないと。」
ちょっと用事があって風呂に入っているお前にドアを開けて話しかけると、おかしな事を言ってたね。
「もうちょっとさあ、私の口に合う味付けにしてほしいのよね。」
私の作った料理にそう言いながら、けっきょく沢山食べたのもお前だったね。
「おっちゃん、公園に大きな鯉のぼりが泳いでるよ。」
私が鬱で惨い状態にいるときに励まそうとして教えてくれたね。
「なんとかなる、仕事はみつかるって。」
私が失業したときに、何度かこの言葉で励ましてくれたね。
「どちらさん?困るんですけど。おっちゃんが帰ってきたら怒られるし。」
一人で遊びに行って帰りが遅くなった私によく言ってたね。寂しかったのかな。
「おっちゃん、こんなにええの?生活苦しいのに。。
お前の誕生日にちょっと奮発してお金を渡すとそう言ってたね。
「どうせもうええねん。すぐ死ぬし、生きててもええことあらんし。」
何かあるとすぐこんなネガティブなこと言ってたね。おっちゃん困ったよ。
「おっちゃん、歳とったらうちの実家でくらしたらええやん。うちの親父もそう言ってたで。」
ちょっとびっくりしたけど、印象に残る言葉だった。
「クロがな、おっちゃんがでかけると探し回って鳴くねん。うるそうてしゃあない。」
今はクロは、お前が居ないことで鳴いているよ。二度と帰ってこないお前を探して………
「おっちゃん………手、握って………」
亡くなる二日前にお前が最期に呟いた、ちょっと泣きながら言った弱気な言葉だった。それに対して私は恥ずかしいやらおかしいやらで、「どした、さすがに弱気になったん?もうすぐ病院に行くから大丈夫やて。」と言って軽くしかお前の手を握ってやらなかった。
祥一郎…………
お前と交わした、生活の中の同じような会話、言葉が、もうおっちゃんは聞けない……
そして最後の方に聞いたお前の助けを求めるような言葉に、おっちゃんは気付くことが出来なかった。
祥一郎………
許してくれなくともいい………怨んでてもいい………
でも、本当に本当にごめんね、ごめんね、ごめんね………
おっちゃんが馬鹿だった、愚かだった。
こんなに長く一緒に暮らしていたのに、お前の死が迫っていたのに、それに気付くことが出来なかった。
祥一郎………謝っても謝ってもおっちゃんはお前に償えないよ。
祥一郎………おっちゃんは今すぐにでもお前のところに行って、強くお前を抱きしめて泣きながら
謝りたい…………
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます