昔は美大もテレビもSNSもなかったから絵を勉強しようと思えば写生か模写しか方法がなかった。独学が基本だ。絵で身を立てたいと思えば有能な親方に弟子入りしてその下仕事を引き受けながら目で親方の技を盗むしかなかった。親方が手取り足取りして親切に教えてくれるわけではなかった。やはり独学が基本になる。だから芸は盗むものだと古くから言われている。この過程は小生の実家が大工の棟梁の家だったからよく知っている。中学を卒業してすぐに親に付き添われて田舎から自分の家にやってくる同い年くらいの若者をたくさん見た。彼らは毎月1日と15日しか休みがなかった。盆と暮れに少しのまとまった休みがあったかもしれない。けれども初めの3年間は小遣いとも呼べない低賃金で働かされるわけだ。3年の修業期間が終わると次の一年を御礼奉公と言ってまた親方の下で働く。もうこの時には一人前の賃金を取っていたのかどうか僕はそこまでは知らないが、その御礼奉公が済んでやっと一人前の大工として認められるわけである。それでやっと自由が許され、通いの大工になるもよし、ほかの親方につくもよしというわけである。僕が感心するのは誰でも3年辛抱すれば一人前の大工に成長することだった。しかし基本は芸は盗むものであって親方が懇切丁寧に教えてくれるものではないということだ。僕はそのことを幼いころから自然と観察していたので、後年外国で油絵の勉強を始めたとき独学で始めなければならないことにいささかも恐れをかんじなかった。日本人の友人に話すとみんな口をそろえて、「今から勉強して画家になるなんて無理ですよ。年齢を考えてくださいよ。そんなことを他の人に話したら笑われますよ」と言うのだった。しかし外国の友人はみな口をそろえて、「nothing is too late 」何事も遅すぎることはない、と言ってくれるのであった。ここに僕は日本人特有のネガティブなものの見方、ものの考え方を見たというわけだ。僕は今想い返してもこの重要な時期に外国で暮らせたことを幸運に思う次第である。続く。
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