貧者の一灯 ブログ

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妄想劇場・森羅万象

2021年02月26日 | 流れ雲のブログ





















大学を出てしばらくして群馬に戻った私は、住職である父の
手伝いをするとともに、たまたま空きがあった県立女子校の
書道講師を務めることになりました。

書道講師は三十年以上続けてきましたが、そこでも愛語の
大切さを知る貴重な経験をしました。

私が奉職間もない頃、小林文瑞という先輩の先生がいました。
小林先生は私のように僧籍を持ち、西田哲学や仏教思想に
精通していました。

百九十センチ近い大柄な方でしたが、一緒に食事をしていた
時にこうおっしゃるのです。

「酒井先生、『般若心経』というお経があるでしょう。きょうは
一つ私にそれを説いてください」

「それは無理ですよ。読めと言われればすぐに読めますが、
とても説くことなんか」

すると一瞬先生の表情が変わり、「馬鹿者!」と頭ごなしに
私を怒鳴られるではないですか。

「あなたはきょう、私の隣の教室で授業をやっていたね。
一人休んでいた子がいたでしょう。名前はなんと言った?」

「山田悦子(仮名)です。窓際の前から三番目の子です」
「あなたは彼女がなんで休んでいるか知っていますか」

「いいえ、別に担任に聞いてみたこともないし、風邪でも
ひいたんだろうかと……」

その言葉が終わらないうちに、再び雷が落ちました。
「馬鹿者! 生徒が一人休んでいたら担任であろうが
副担任であろうがそういうものは関係ない。

ひょっとしたら事故かもしれない。大病かもしれない。
担任のところに行って なぜ休んでいるかを聞くのが
教師の役目ではないか」

さらに先生は「あなたに『般若心経』が説けなかったら、
私が見せてやる。着いてきなさい」。

そうおっしゃったかと思うや、もう歩き出されていました。
店の裏の道をどんどん歩きながら、しばらく経ったところで、

「あのな、山田悦子は腎臓を悪くしてこの先の病院に入院
しているんだ。これから見舞いだ」。

彼女の部屋は二階の奥まったところにありました。
小林先生は病室に入ると、笑顔で挨拶を交わし静かに
話し始められました。

「えっちゃんな。
きょう酒井先生が君の教室で授業中に歌を歌っていた。
俺は隣の教室で聞いていたんだけど、酒井先生は
えっちゃんがどんな病気で入院しているか知らなかった
そうだ。

俺が酒井先生に頼んでその歌を歌ってもらうからな。
よーく聞いていろや」

私が歌ったのは、その頃農家を励ますために流れていた
田園ソングでした。

二番くらいから えっちゃんは布団を引っ被って泣いて
いました。声は出さなくても肩が震えているからそれと
分かるのです。

三番まで歌い終わると「ありがとうございました」と小さな
声がしました。

「よかったな、えっちゃん。これであと一週間もすると
治って退院できるよ。 じゃあな」
そう言って先生は部屋を出られました。

病院を出て別れ際に小林先生が「酒井先生」と声を
掛けられました。

また雷かと思って「はい」と答えると、先生は大きな両手
で私の手をしっかり握り、大きく揺さぶられました。
そして満面の笑顔でおっしゃったのです。

「これが『般若心経』だよ。覚えておきなさい。じゃあな」
私は最初小林先生がおっしゃった意味が分かりま
せんでした。

しかし、ふと「仏教で大切なのは理屈ではなく実践なの
ではないか」「いまできることを精いっぱいやることが
人生で大切ではないのか」と思ったのです。

それから私は『般若心経』に関する本を取り寄せ、
三百冊以上貪るように読みました。

驚くことに、小林先生の教えにすべて帰着していました。
理屈ではなく歩み続けることこそがその神髄だったのです。

ちなみに、山田悦子は奇跡的な回復を遂げ、先生の言葉
どおり一週間後に無事退院しました。

私には愛語の力を知る忘れられない思い出の一つです。
・・・






私が校長をしていた小学校の遠足がありました。 五年生の
春の遠足です。 私も一緒についていきました。  

お昼になりました。さ、待ちに待ったお弁当です。  
子供たちはいっせいに弁当箱を開きます。それを見て、
私は悲しくなりました。  

ほとんどの子供の弁当が、市販の巻き寿しです。  
毎日給食をいただいているのですから、せめて遠足の
お弁当ぐらい、母親が心をこめて手づくりの弁当を もたせる
ことができないものか、と残念でなりませんでした。  

それから一年たちました。あの子供たちも六年生。  
小学校時代最後の思い出となる遠足、この時は遠出です。   
修学旅行と、名も変わりました。  

このとき、私は、お母さんがたに集まっていただき、こうお願い
したのです。 「今度の修学旅行の弁当は、もう市販の 巻き寿し
をやめていただきたいのです。  

お母さんがたの忙しさは十分承知しています。しかし、子供たち
にとっては大切な修学旅行です。いつもより早く起き、ご飯
を炊いて、しっかり  精根を入れてぎゅっと握ったおむすびを  
もたせてやってください。  

そして、そのおむすびの一つひとつに、どんな願いをこめて
つくったかを 手紙に書いてつけておいてください」  

その修学旅行のお昼の時間がきまし  子供たちが、いっせい
に弁当箱を開けます。  みんな手作りの大きなおむすびです。  
見ると、わきに手紙がついています。  

みんな、 「何やろう?」といいながら手紙を読み始めます。  
おおきなおむすびをおおばりながら、一心不乱に読んでいます。  

そのうち、いつもは暴れん坊の男の子が、手紙を読んで感激し、  
それをもちながら踊り始めました。  

別の子は、目に涙をいっぱい浮かべて その手紙を何度も何度も
読み返しています。  

私の隣にいた森木君も、目にいっぱい涙をためて手紙を読んで
いました。じっくりと時間をかけ読み終えたのち、森木君は、  
その手紙を宝物のように大切に扱って  自分のポケットに
しまいました。  

それを見て、私はいいました。 「森木くん、いまポケットに入れた
手紙、ちょっと見せてくれへんか」
「ええよ。しゃあけど、この手紙校長先生に あげるのとちゃうでェ。  
すぐ返してや」  

修学旅行を終えてその感想記を子供たちに書いてもらいました。  
森木君も書きました。それには、こう書いてありました。  

その晩、奈良の旅館について  寝床のなかに入ってからも、  
もういっぺん、お母さんの手紙を読み返し、 「お母ちゃん、無事
に奈良についたで安心しておくれ。  

いま旅館のなかでお母ちゃんの手紙を出して  読み返して
いるところや。明日も気いつけてがんばるから、安心しておくれ。  
おやすみ」・・・

もう一人、守本めぐみちゃんという 女の子の旅行記です。  
弁当の包みを開けたら、おむすびが出てきた。お母さんの
手紙がついていた。  

気がついたら、120余名のなかで、私の服だけが、お母さん
の手づくりの服でした。あらためてながめてみました。  
飾りについたししゅうの1針1針に お母さんの心がこもっている
かと思うと、私は120余名のなかで、一番すばらしい服を着て
いるんだなと感じました。  

私もお母さんになるときは、お母さんのような お母さんになり
たいと思いました。  

情操教育という言葉があります。  
何十万円もするオーディオを購入して、 そこから出る音楽を
子供たちに聴かせる。  

確かに、その音は、本物の音であり、子供の音感もよくなる
かもしれません。しかし、そのオーディオだけを買って、
それだけで情操教育をやっていると思ったら 大まちがいです。  

そんなことよりも、  自分のひざの上に子供の頭をのせ、  
耳アカをとってやることのほうが、 どれほど子供の情操を
豊かにするでしょう。  

子供のために面倒くさいことを 汗流してやってやることです。  
子供は、じっと母親の姿を見ています。  




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「体温は健康のバロメーター」
あなたの平熱と健康との間に、密接な関係があるのは
ご存じでしょうか?

この半世紀、日本人の平均体温は下がり続けているといいます。
低体温がもたらす健康上の問題とは・・・。

大事なことは「平熱三十七度」です。
人間が生命活動を維持するために重要な酵素は、三十七度で
最も活性化するといわれています。

また、ほとんどの病原菌が三十七度の体温では死滅することも
分かっています。

ところが、最近では平熱が三十六度を下回る低体温の人が
非常に多くなりました。

これは数字を見れば一目瞭然で、1957年の統計で三六・八九
度だった日本人の平均体温は、いま三六・二〇度。

半世紀で約〇・七度も下がっているんですね。
体温が一度下がると体の免疫力は三割低下するといわれ
ていますから、〇・七度という数字は決して小さくはありません。

病気と体温が密接な関係にある

がん細胞は低温を好む性質があって、特に活発に増えるの
が三十五度前後、逆に四十二度以上の熱で死滅することが
明らかになってきています。

熱を利用して、がんを退治するのが温熱療法であり、
マイクロウェーブがん治療もその一つです。

また、体温が下がるっていうのは簡単に言えば、血液が
ドロドロの状態になる、血流が悪くなるということです。

心臓の血流が悪くなると心筋梗塞になるでしょう。
それが頭の場合だと脳梗塞になる。

あるいは、肩こりだって血液が鬱血して起こりますから、
がんだけに限らず、すべての疾病に関係しているんです。  

体温を上げるための方法。

※ たんぱく質を摂る パンやカップラーメンではなく、筋肉のもと
となるたんぱく質(肉・魚・大豆・卵など)をしっかり摂りましょう。

※ 適度な運動をする 15分程度の軽いウォーキングなどで、
体を動かしましょう。 もし難しければ、駅ではエスカレーター
でなく階段を使うなど、運動することを意識しましょう。

※ 朝日を浴びる 十分な睡眠を取り、朝日を浴びましょう。
体温を高めるだけでなく、自律神経への良い影響も期待
できます。健康をキープできる体を手に入れましょう!