道路交通法では、公共の交通機関である路線バスには、発進保護、専用通行帯、優先通行帯などの他の自動車に比べ一定の優先が認められています。
本日は、その中でも路線バスの発進時の保護(道路交通法第31条の2)について、考えていきたいと思います。
路線バスの発達時は、最も車内事故のリスクが高く、運転士が細心の注意を払うときでもあります。
令和2年のバスの行動類型別車内事故件数割合では、発進時の車内事故が最も多く全体の約4割を占め、次に急停止時、等速時、減速時がそれぞれ約1割5分と多いです。
そのため、この運転士が細心の注意を払う発進時に法令での保護がされることは、非常に路線バス運転士としてありがたいことです。
因に、この道路交通法第31条の2の条文は、「停留所において乗客の乗降のため停車していた乗合自動車(路線バス)が発進するため進路を変更しようとして手又は方向指示器により合図した場合、後方車両は、その減速又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした乗合自動車(路線バス)の進路の変更を妨げてはならない。」と、定められています。
要するに、停留所からか路線バスが出ようとウィンカーを出した場合、後方の車両は進行に無理が発生しない限り、路線バスの進路変更を妨げてはならないと云うことで、違反した場合は、罰金などが科されます。
路線バスの発進妨害、危険です!違反です!
— 警視庁交通総務課 (@MPD_kotu) July 19, 2022
バスの後方にいる車両は、合図を出して発進するバスの進路を妨げてはなりません。違反した場合、反則金(普通車の場合)6,000円・行政点数1点となります。停留所で停車している路線バスが発進合図を出した時は、バスが円滑に発進できるように努めましょう。 pic.twitter.com/ff1VYi7dBI
さて、実際の一般ドライバーは、どうでしょうか?私の感覚では、ほとんどのドライバーが守ってないように感じます。
たまに、路線バスの発進に配慮いただけるドライバーの方がいるときには、ものすごく感謝します。
よく、「警察は、何で取り締まらないのか?」という声を聞きますが、公務員の比例原則から有限な公金を使用して取り締まりをする以上、重要案件から優先順位つけて行うことは当然で、まだ積極的な取り締まりの対象とはなっていないということでしょう。
但し、事故が起こった場合は、発進妨害についても責任追及がされる場合がありますのでご留意ください。
このような状況のなか、事故を防止する方法としては、路線バスの運転士が優先意識を捨てて、大きなものを通行させていただいているという謙虚な態度で運転するしかないのが現状です。
実際のバス会社の新人研修でも、優先意識の排除や譲り合い運転について、厳しく指導されます。
私も、この事に留意し、落ち着いて乗務したいと思いました。
尚、タクシーには発進保護の条文は適用されませんのでご注意ください。たまに、誤解されているタクシードライバーの方もいらっしゃいますが、おそらく、乗合と乗用の違いを混同しているのと思います。