『君戀しやと、呟けど。。。』

此処は虚構の世界です。
全作品の著作権は管理人である紫草/翆童に属します。
無断引用、無断転載は一切禁止致します。

『穢れ』1

2009-10-22 23:33:16 | 作品b 【掌編】
「別れたって…」
 どうして? もうすぐ結婚式じゃない。
「言ったの、事件のこと。どうせ警察に行かなきゃならないし、バレるくらいならバラしちゃえって思って。そしたら私、穢れてるって」

 嘘でしょ。普通の事件とは違うのよ。レイプって事件だけは、今もお馬鹿な男たちが目くじら立てて騒ぐのよ。
 でも、そんなこと言えなかった。悪いのは、彼女じゃない。
「今更、お式を中止にできないからって、瑞穂と結婚するんだって」

 馬鹿な男。たった一人にレイプされてしまった未知と、学生時代から多くの男たちに足広げてきた瑞穂との善し悪しも見分けられなかったんだ。
「良かったじゃん。そんな男だって結婚前に分かってさ」
 未知の本質をちゃんと分かってくれる人が、きっと何時か見つかるよ。
 それでも静かに涙を流す未知の背を、私はずっと撫でていた。
                  【終わり】

                             著作:紫草
コメント    この記事についてブログを書く
« 月にひとつの物語 『神無月』 | トップ | 『穢れ』2 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

作品b 【掌編】」カテゴリの最新記事