「将軍!!」
なおも引き下がろうとしないペッピーとフォックスの声を、ペパーは片手を上げて制した。
「聞いてくれ。法は絶対だ。ゆえに私は、ファルコ・ランバルディに、みずからベノムに赴くよう命令する」
「そして、スターフォックス。君たちには、ファルコがベノムにたどり着くまで、かれの身柄を預けることとする。ベノムへの道程には、知ってのとおりアンドルフ軍の拠点が数多くあるが、そんなことは関係がない。それらの障害は排除しながら進んでもらう。もしもベノムへ到達する前にファルコが逃亡した場合、今度は君たちを拘束し、裁判にかけなくてはならなくなる。どうだ……ペッピー。これで、満足か?」
「満足、しましたとも」
ヒゲをこすりながら、ペッピーは笑った。
「まぁあったく、お人よしだよねぇ~!」
真一文字にむすんでいた口を大きなため息とともに開いて、スリッピーが首をすくめる。
「まだオイラ達、ファルコってのに会ってもいないのにさ~。ソイツがベノムまで行くって言うかどうかも、わからないし。もしも、ベノムまで行くフリして途中で逃げだしたら、オイラ達牢屋行きなんだよ?」
「なァに。逃げ出すような根性のやつなら、しばり上げてでもベノムまで送ってやるわい」
興奮を抑えようと、ヒゲをやたらといじくりまわし、笑いをかみ殺しながらペッピーが言った。
「そういう根性かどうか、どうやって確かめるんだよ~?」
口をとがらせてスリッピーが言う。
「スリッピー。そういうことはな」
ペッピーは、真顔になってスリッピーの目を見つめると、重い声を出す。
「なっ……何?」
「そいつが信頼に足るヤツかどうかはな……目を見れば、わかるもんだ」
「それこそ、当てにならないよ!!」
スリッピーの悲鳴が、会議室に響きわたった。