――いつの日か。きっとまた会える。
そう思えて仕方がなかった。ただそう思いたいだけなのかもしれない。しかし、現実から目を背けているという気は、なぜかしなかった。
ジェームズはいまも、かがやく千億の星のあいだを旅しているのだから。いつの日かかならず会える、飛び続けている限り――。
星の海がかなでる波音を聞きながら、フォックスは眠りへと落ちていった。
翌朝。
身支度をととのえたフォックスを、ペッピーとビビアンのふたりが戸口に立って見送った。
「フォックス。お前さんにはずいぶん世話をかけてしまったな。準備を整えたら、ワシもすぐにコーネリアへ向かう。グレートフォックスのことは、くれぐれもよろしく頼む」
「この人ったら、自分たちの船が今になって心配になったらしいわ。全くもう」
ビビアンがフォックスに歩み寄り、右手を差し出す。
「フォックス・マクラウド。うちの夫をお願いするわ」
「おいおい…握手なら、ワシが先だろう?」
慌てた様子で、ペッピーもその手を伸ばす。
差し出されたふたつの右手を見、フォックスは苦笑した。どうしたものかと思ったが、結局、二人の手を自分の両の掌でまとめて掴むと、力を込めて握りしめた。
「こちらこそ、宜しく頼む。どうか、オレに力を貸してくれ」
「「もちろん!!」」
夫婦の返事が重なって、三人は顔を見合わせると、声をあげて笑った。