按摩とマッサージの違いにのひとつに、遠心性か、求心性かというのがあります。これは「擦る」という手技がイメージしやすいでしょう。読んで字の如くでして、遠心性は中枢から末端へ、求心性は末端から中枢へ、という動きを表しています。
遠心性の施術をすることによって、動脈血の循環が促進され、疲労が早く回復します。
また、求心性の施術によって、リンパの還流を促し、代謝を良くします。
・・・ちょっと待った。本当にそうなのか?
学生の時、理論の授業で遠心性・求心性についての授業を受けた時、私は疑問に思いました。じゃあ、按摩はリンパの還流を悪くするのか?マッサージは動脈血の循環を悪くするのか?
リンパ管というのは、動脈よりも体表に近い所にあるので、動脈に影響しない穏やかな圧で施術すれば、血行を悪くせずに済むかもしれません。そもそもリンパ管は相当柔らかいので、強く抑えると、つぶれてしまって「還流を促す」も何もなくなるらしいのです。とすると、「リンパの還流を促す」という原則を守ることに拘った場合、かなり刺激量の少ない施術になってしまいます。これではメリハリの利いた施術にはなりません。
余談ですが、最近流行の「リンパマッサージ」「リンパドレナージュ」って、あんま・マッサージ・指圧師の資格を持った者が聞くと「えっ?」と困惑してしまいます。マッサージには、元からデフォルトで「リンパの還流」が装備されてますから。・・・理論的には。ん~、「マッサージは筋肉を揉んで凝りをほぐすもの」というイメージが先行してるんでしょうか。
遠心性はどうでしょうか。動脈血の循環を促進するほどの圧で施術すれば、確実にリンパ管はつぶれるでしょう。そうか、按摩はリンパの循環を悪くする手技だったんだ!・・・ンなわけないです。
とすると、遠心性、求心性の理論自体が怪しくなってきます。しかし、「遠心性」と「求心性」には、ひとつの共通点があるのです。
それはまた次回に。
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この記事のテーマは、2006年7月20日から23日までの四つの連続した記事で扱っております。ひょっとしたらもう気が付いてお読みになられたかもしれませんが、一応残りの三つの記事のURLを貼りつけておきます。
https://blog.goo.ne.jp/naginoha54/e/4b9c463a66781ac77402f69bccea9d31
https://blog.goo.ne.jp/naginoha54/e/9a1f913e95108575da3353f482ab769a
https://blog.goo.ne.jp/naginoha54/e/dc43e707ce0b6ff7a9cf9f393cb12bc3
いずれも、もう10年以上前に書いた記事ですが、今の私の考えと大差ありません。
ただ、そもそもこの業界の治療理論は疑似科学と紙一重なので、十分な注意が必要です。
もし余裕があれば、サイモン・シンとエツァート・エルンストの共著による「代替医療解剖(新潮社から文庫版が出ています)」のご一読をお勧めします。
色々と迷うことも多いと思いますが、気長に続けてくださいね。