小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第358回小麦句会結果発表

2017年05月24日 20時55分30秒 | 15日句会

こんばんは。

お待たせいたしました。

5月はあっという間に過ぎる感じです。

一分一秒を大事に過ごしたいですね。

兼題:来

はなうたは舶来の風すいかずら   宙虫

○(道人)「はなうた」「舶来の風」と来て、締めが「すいかずら」とは見事。取り合せの妙。

 

短夜の闇に来てゐる愛煙家 幹夫

○(藤三彩)「受動喫煙対策を強化する法改正」などと囂しい。愛煙家には悲哀。

○(泉)当節、愛煙家に取っては肩身が狭い時代です。それでも喫煙したい。

○(餡子)います!います!我が家の町内にも。玄関先で、ちょとしょぼくれて紫煙をくゆらせているおじさん。闇に煙草の火がぽっと。

○(ちせい)季語は「短夜」。「闇に来て居る」がいいですね、季語の居所がしっかりと定まりました。

 

陽炎やぬっと出て来る牛の鼻  泉

〇(瞳人)湿った鼻がぬうっと、びっくり

(珠子)大きくて濡れたあの鼻がぬっと出てきた場面がありありとイメージできます。放牧されているでしょうね。牛も気持ちがいいのです。

〇(春生)なんとなくユーモラスな句。

◯(宙虫)確かに牛と顔を合わせると鼻から近づいてくる。陽炎の感じもいい。

◎(ちせい)季語は「陽炎」。「牛の鼻」がインパクトがありますね。季語を生かす語法だと思いました。

  

山路来て焼酎ぐぅい梢から 瞳人    

 

ゴンドラを降り来て夏燕のこと  敏

◯(ルカ)夏ツバメとの思わぬ出会いだったのでしょう。

 

歩み来て出口の見えぬ霞かな    仙翁

 

夏来る高校球児の打球音  多実生

○(泉)夏の甲子園を目指して、猛練習です。頑張れ!

○(幹夫)夏の甲子園目指して、地方大会真只中!早実の怪物スラッガー・清宮幸太郎君はいったい幾つの本塁打を打つのでしょうか。夏到来、元気溌剌の高校球児達ですね。

(アゼリア) 清宮のホームランの音が聞こえてきます。

 

事故以来メダカしかダメ依頼固辞  吾郎

(珠子)もうこりごりです、金魚もだめ、メダカだけで勘弁して下さい・・・って、いったい何があったのでしょう。17文字の回文で作るドラマ・恐るべし。 

○(餡子)何の事故だったのでしょうか?ペットショップのおじさんの顔がうかびます。いろいろと想像できて面白。

○(道人)どんな事故なんでしょうか。依怙地なくらい落ち込んでますね。回文独特のリズムに惹かれました。

○(敏)「メダカしかダメ」となった事故って、いったい何だ? そんな疑問符に小さな脳が回文自体にふり回されています。

◯(宙虫)大変な経験をするとトラウマで触れなくなったりするのがありますね。しかし、メダカしかって、どんな事故だ???

〇(まきえっと)池の中の出来事なのかしら?

 

単線の駅舎故郷へ燕来る    藤三彩

○(泉)のどかな田舎の故郷でしょう。良い雰囲気だと思います。

〇(春生)懐かしい風景です。何十年も続く風景ですね。

〇(仙翁)まるで、我が地のようです。ツバメは、人の居るところに巣を作ります。

(選外)(道人)自作も含め類句は多そうですが、故郷の駅舎に巣くう燕には誰しもじんと来る。きっと無人駅でしょう。 

 

青葉風歌碑に残れる不来方城   道人

○(藤三彩)盛岡城址にある石川啄木の「不来方(こずかた)の お城」と知れば情緒がある句。

(餡子)もちろん、啄木の寝転んだあの原のお城ですね。そういえば15歳って、複雑なころだったなあ。

◯(吾郎)盛岡、いい季節です

 

蔦青む来夢来人という酒場     あちゃこ

○(アネモネ)まだ行ってないけど近所にもありますよ。

○(餡子)らいむらいとていうバーを見たことあります。入らなかったのですが、上手いネーミングだなと思いました。映画も好きでした。

○(道人)蔦の絡まる古民家の酒場の映像がよく見える。ロマンチストで寂しがり屋の主人の顔も彼是と想像出来て楽しい句。

(アゼリア)ライムライトの当て字が素敵です。

○(敏)実際にありそうな店名。青蔦に建物全体が覆われているのでしょう。

◯(宙虫)レトロ感満載。

〇(まきえっと)季語が合っています。見たことありますこの名前の酒場。

(選外)(ちせい)季語は「蔦青む」。ライムライト、チャップリンですね。はっとしました。

 

遠足の子どもらの声どっと来る  春生

 

ペディキュアの色のいろいろ夏来る  ルカ

○(アネモネ)いいですねえ。

 

揚羽蝶来たり去つたり産み付けたり  ちせい

(珠子)このしつこさに「?」と思ったり「!」と思ったり。考えてみたら、何度も何度も「来たり去ったり」の目的は「産み付ける」ことでした。子孫を残すことに必死なのです。

(多実生) 我家の山椒の木も、毎年黄揚羽が来て幼虫が発生し時々退治しないと葉を喰われて翌年の新芽摘みに影響します。

 

花嫁の背に黒子や夏来る  アゼリア

 

ぽっとあく赤子のあくび浮いて来い  珠子

◯(ルカ)季語がいいですね。

(アゼリア)ぽっとあくが可愛いいです。

◎(敏)「浮いて来い」と「赤子のあくび」の取り合わせが、意表を衝いていますね。

 

噴き上がるたけのこご飯五月来る   アネモネ

(多実生) 桜の後は竹の子の季節で、竹の子ご飯は季節の味覚。

(選外)(道人)雨後の筍といいますが、五月の勢いがよく伝わって来る。

 

介護士の大きな掌夏来る   餡子

◯(ルカ)介護する側される側。どちらにしても、大きな手は安心感の象徴。

(珠子)大きな掌に頼もしさを感じ安心したのでしょう。青年介護士でしょうか。

 

帰去来や腹真っ白な燕来る  まきえっと

○(幹夫)帰去来の心境は汚れなき我が故郷。腹真っ白な燕との取合せが面白いと思いました。

(あちゃこ)「帰去来や山裾はるか林檎咲く」という春の句を作ったばかりでした。

様々な感慨が帰去来にあると思います。作者の燕に託す心情が新鮮でした。

◯(吾郎)色の対比鮮やかな感じ、帰去来と相まって、複雑な思いひとしお。 

(選外)(道人)腹黒い人間の渦巻く浮世を捨て、故郷に隠棲しようとする作者を、燕が癒

してくれる。 

(選外)(ちせい)季語は「燕」。陶淵明ですね、帰去来の辞。田園まさに荒れなんとするみたいな。

 

テーマ:鳴く

サクランボ人の目掠め鳥の鳴く   仙翁

 

ひと声で鳴くをおさめて羽抜鶏  敏

○(ちせい)季語は「羽根鶏」。潔い鶏。神鶏であろうか、人間を深閑とさせる。

 

雨低く来ては返して軒つばめ   アネモネ

◎(幹夫)軽快なリズムで、雨の中の軒つばめの様子が佳く詠まれており共感です。

○(道人)雨を避けて巣に戻るつばめの鋭角的な動きが見事に伝わって来る。

◎(仙翁)雨の日や天気の悪いときは、ツバメは低く飛びますね。ツバメの様子がよく分かります。  

 

河鹿鳴く小川は草に覆はれて  春生

◎(アネモネ)四万十川でいくつも部屋に飛び込んできて驚きました。

○(幹夫)美しく鳴く河鹿の声が聞こえてきそうです。

(多実生) 手入れされず川幅を狭くしているが、今頃の清流の川にはこの世の美声河鹿の声が鳴り響いています。

〇(仙翁)カエルの声が聞こえても、どこに居るのかよく分かりませんね。

 

郭公に目覚めし宿や那須は晴れ  多実生

 

奇なる絵か観るたび弛み蛙鳴き 吾郎

○(餡子)蛙が鳴くのでやはり鳥獣戯画をおもいました。飽きないですよね。見るたび弛みが面白い。

○(敏)浮世絵に人を食ったような珍奇な絵柄のものがありますね。蛙の鳴き声がなんとも効果的な回文句。

 

パンダ舎の空をカアカア暑くなる  珠子

○(幹夫)ユニークな景ですね。取合せの季語「暑くなる」が意外で面白いと思いました。

 

薫風や磨きぬかれた古廊下  泉

○(藤三彩)鳴き床は忍びを防ぐものだったそう。今はキュッキュッと鳴らして歩く観光。

〇(春生)季語「薫風」の爽やかさにぴったりの句です。

(あちゃこ)寺社か歴史的建造物でしょか?木の目や肌感、色艶まで想像されます。

◯(吾郎)きゅっきゅっとね。 

(アゼリア)裸足で歩いたら気持ち良さそうです。

 

山腹に看護学校初郭公  アゼリア

○(アネモネ)いいロケーションですねえ。

(あちゃこ)山道を歩んで来たら、思わぬ発見が?意外な取り合わせが楽しい。

 

四十雀鳴くトタンの壁観察し  ちせい

 

七変化胸高鳴れど悪女かなぁ 瞳人 

 

亀鳴くや引くに引けない意地のあり  まきえっと

〇(瞳人)意地がある間は、若い若いと、という自覚、老いてなくなるものがこれ?

 

松蝉の鳴き疲れたる夜の静寂 幹夫

○(アネモネ)面白い!

(珠子)夜の静寂を「松蝉が鳴き疲れたから」とした感性に惹かれました。

〇(春生)昼間の松蝉の鳴き声が耳に残る句です。もちろん今は「静寂」の夜です。

(多実生) 今頃の山は気温の上昇と春蝉の声が耳に来て、より倦怠感を感じます。

○(敏)蝉の声がはたと止んだときの静けさには、独特の感情が沸きますね。

〇(仙翁)静寂は、しじま、と読むのでしょうね。にぎやかさと静けさの対比がいいですね。

〇(まきえっと)そりゃあ疲れますよね。

○(ちせい)季語は「松蝉」。周囲の松林の静寂。昼間の喧騒。潜在的に松蝉が擬人化されて居る。

 

郭公のときに短調山の小屋     あちゃこ

○(アネモネ)いい耳してますねえ。

(アゼリア)いつも長調では飽きます。

 

象啼くを待つ立夏の動物園  餡子

(あちゃこ)啼くは、次々と続けて鳴く事。敢えてこの字を使われた意図は?きっと何かしら願いを秘めているような。深読みでしょうか?

 

田水入る歓喜の合唱沸き起こる  藤三彩

 

風薫る夫の泣き言独り言   道人

〇(瞳人)何をひとりごちるのでしょう

 

鳴りやまぬ五月の風のオルゴール  ルカ

◎(泉)「五月」と言う美しい季節への賛歌。

(多実生) 風の多い季節です。一度野外の風鈴展で、風鈴の嵐に会いました。

◯(宙虫)風のオルゴールがなんともいい感じ。だんだん音もすりきれてきそう。

 

 

夕焼けを鎮めるほどに米を研ぐ     宙虫

○(藤三彩)鮨飯は米が鳴るほどに研ぐこともあるとか、美味しく炊けますように。

◯(吾郎)しゃかしゃかざくざく。措辞が素敵 

(選外)(道人)「鎮める」が佳い響き。聞こえてくる。鴉も雲雀も燕も...  

 

雑詠

青田風まっすぐに来る息遣い  まきえっと

◎(春生)季語「青田風」と響き合う「まっすぐに来る息遣い」(トレーニングの生徒たちの息づかいかも)。 

(あちゃこ)風を夏の息遣いと感じた事で、温かさや湿り気を表現出来ていると思いました。

〇(仙翁)こちらでは、田植えはまだです。真っすぐな息遣い、いい表現と思います。

(選外)(ちせい)季語は「青田」。「まっすぐに来る」が少し印象的でした。

 

さくらんぼ光を放ち色づける  多実生

 

ながしかな象は土捏ね泥を捏ね   アネモネ

(選外)(道人)象使いの「ながし」なんて吃驚です。「捏ね」のリフレインも不思議な魅力がありますね。 

 

夏蝶の眠りの浅し逢魔時  道人

◯(ルカ)想像が膨らみます。

 

薫風やポニーテイルの右左      あちゃこ

○(藤三彩)アニメに出てくる女の子は何故か風に乗っているんだな。

〇(瞳人)若い気持ちにさせられました

 

犬が曳くひとに西日のオフィスビル     宙虫

○(幹夫)都会であくせく営業マン・・・雑踏に呑み込まれぬように。

○(道人)光と影、犬と人、人とビル、句全体に西日の濃さが満ちている。大きな景と硬質な抒情が素敵。  

○(ちせい)季語は「西日」。犬が人間を引っ張る。引っ張り癖の犬とひとに西日を浴びたオフィスビルが現前化した、美しい。 

 

五月富士予定の半分白紙なる  藤三彩

◯(宙虫)季語に富士を使ったのがうまくいったかどうか微妙だけれど、埋まらないもどかしさはある。

 

砂浜を走る子の声風五月  幹夫

〇(仙翁)とてもいい景色ですね」。ほっとします。

 

寝網かな包まり丸く中身姉  吾郎

○(泉)中身が「姉」とは、驚いた事でしょうね。見事な回文だと思います。

(選外)(道人)寝網とはハンモックのことで季語なんですね。「姉」さんが羨ましい。

 

大きな目潤ませ出ぇ待つ鯉幟  瞳人 

選外 (多実生) 空で泳いでこその鯉幟です。大きな目に焦点を当てたのが面白い。

 

投票を迷う人たちパリ薄暑  泉 

◎(瞳人)どっちにしようか、わたくしも迷いました。苦悩深きフランスよ、ルペンは顔で損した? とも思えないが、こういう句も、いいと思います

○(ちせい)季語は「薄暑」。マクロン新大統領が誕生した時事ネタですね。異国情緒と季語が合って居る様な気がしました。

(選外)(幹夫)今後EUは如何なる方向に行くのでしょうか。何れにしても流石にルペン氏では極右的過ぎ・・・若きフランス大統領の誕生でした。

 

きっぱりとビールの色だ麦の秋  珠子

◯(ルカ)キャッチコピーのようですが、作者のビール好きが伝わってきました。

(多実生) 麦の作付けは少なく殆んどがビール麦、刈入れ前の麦の色をビールの色の表現。なるほどぴったりです。

◎(吾郎)あははは、そう見えてしまうあなたって

〇(まきえっと)確かに。どこぞのビール会社にこのフレーズを送ってみたい感じのするスキッとさ。

 

薄暑光柑橘類の深き溝  ちせい

 

麦秋の畑一枚の匂ひ立つ 春生

○(泉)品格のある、しっかりとした俳句だと思います。

◎(ルカ)これは実景を体感した方の句。私も同じように感じました。

(あちゃこ)具体的には描かれていない畑。私には、浅葱色の光が目に飛び込んできました。匂いとした事で美しさが際立つのですね。

○(敏)麦秋の畑の匂いって、どんなものでしたか。私方では近頃滅多に見られなくなった麦畑が、なつかしく思われます。

〇(まきえっと)スッとした麦を感じます。

 

ジャスミンの香り廃校が宿に  餡子

(アゼリア)爽やかな香りが漂ってきます。

 

美術館休館立夏の雲が湧く  敏

◎(宙虫)湧く雲にうまく心象風景が見えてきます。休館の立札を目の前にしてけっこうショックだったと理解する。

 

本窯は一子相伝桐の花  アゼリア

◎(藤三彩)伝統陶芸の窯なんでしょう。土、釉薬、焼き方までマル秘の門外不出。だが後継者は祖を越えようと足掻く。

(珠子)「桐の花」がきっちりと締めています。今日、近所の桐の花を見にいきましたらたくさん散っておりました。上品な匂い。持ち帰って何人かに見せたのですがどなたも?でした。桐の木は激減しましたからね。

 

夜歩く熊の孤独や竹の秋  仙翁 

◎(餡子)わあーー。こういう捉え方たまらなく好きです。 

◯(吾郎)熊の孤独を詠んだ句は珍しいかな

◎(道人)最近人里近くにも熊が出没すると聞く。孤独感を熊に託して秀逸。「竹の秋」の季語も佳い。

◎(まきえっと)猫背気味なところに哀愁を感じます。

 

手紙葉桜や忘れし頃に来る手紙  ルカ

〇(瞳人)帰らぬ季節は、もう、忘れてしまえばいい、とはわかっていても、来れば嬉しい

〇(春生)「葉桜」の頃の雰囲気をうまくまとめましたね。 



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2017-05-25 19:32:06
まきえっとさん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

もう五月も終ります。ゴールデンウィークの喧騒も、今や遠い過去になりました。六月は祝日が有りませんね。広島も蒸し暑くなり、毎日、風呂に入るのが面倒な季節になりました。それにしても、最近の広島カープは勢いが今一つで、気掛かりです。
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