つづき
滴りの鏡面磨く如く降る ちせい
〇(仙翁)あの滴り、きれいでしたね。
裏山の水を引きたり心太 春生
〇(瞳人)そうか、ひと味、違いそうですね
◯(道人)都会のコンクリート生活をしているとこんな生活に憧れるが現実は厳しそう。せめて俳句の世界だけでも。
◎(ちせい)これは美味そうな心太だと思いました。
帯外す素麺恙なき一日 まきえっと
◎(あき子)普通の生活こそ大切な一日。恙なきに願いが込められているように思いました。
〇(珠子)これが平和というものですね。シンプルな措辞が魅力的。
◎(卯平)素麺の帯を解いて湯がく瞬間、今日のひと日に思いを馳せる。詠み手の心情と景が同時に見える。佳吟
○(藤三彩)川床に行って楽しんだ一日ということかな
〇(瞳人)うーん、これもうまいなあ
〇(カンナ)日常を上手く詠んだと思います。
◎(めたもん)素麺を「茹でる」といわずに、「帯外す」といったところが新鮮でリアリティーがあります。
○(宙虫)帯を外すで、ふっとはぐらかされたような気分になる。
下流の河童伝説緑濃し アゼリア
○(アダー女)何となく妖しげな暗き緑の中の流れ。この水が流れていく先の静かなゆっくりとした流れの中には、きっと河童が住んでいますよ。
塩振られ白く焼かれし岩魚の目 仙翁
○(幹夫)写真が上手に詠まれる。
虹鱒の一尾焼かれてをとこまへ 幹夫
〇(あき子)焼かれてから誉められても・・・。
○(餡子) 私には、悪相に見えたのですが、男前ですか。苦み走ったと言うところでしょうか。
水音の焦げる八月魚を焼く 宙虫
◎(幹夫)列島各地観測史上最高気温の猛暑今夏を「水音の焦げる」とが佳い。
〇(カンナ)昭和二十年の八月と現在を重ねた句でしょうか。
◎(まきえっと)水音が焦げるって?と思いましたが、八月だからかなと思いました。
酷暑日の釣果の太刀魚塩焼きに アダー女
白南風や樋に引き込む山の水 アネモネ
○(藤三彩)梅雨明けであり雨あがる晩夏の白南風。たっぷりと雨水を含んだ山水を感じる
○(あちゃこ)何気ない景に爽やかな涼をかんじます。
○(アダー女)山の奥から流れ出てくる水、湧水、清流には、この殺人的酷暑にはたまらない冷たさと美しさと憧れを感じます。
○(ちせい)日本酒が美味くなるのかもしれません。
○(宙虫)白南風が山水を輝かせている。光と音に満ちている句。
大石がりくへ名残りの天神祭り 瞳人
降板の主役のその後冷素麺 あき子
○(卯平)そう言う役者は多い。老兵は消え去るのみ、冷素麺がそう言っている。
◎(道人)禍福は糾える縄の如し。また主役にそ戻るもよし、脇役で新しい味を出すのも、違う道に転換するのもよし。「冷素麺」が効いている。
冷素麺河童の影が後ろより 道人
〇(春生)「河童の影」を捉えたところが手柄。
○(泉)怪談めいて面白い俳句だと思います。
○(アダー女)河童の存在を考えた?感じた?日本人って面白いほどかわゆい。
〇(仙翁)河童の影とは、面白いですね。
○(宙虫)河童は恐怖なのか滑稽なのか。冷たい素麺との取り合わせが奇妙で・・・。
往生の口開く岩魚瀬波立つ 珠子
〇(春生)一瞬の表情を捉えた秀句。
○(餡子) あの魚の口の開き具合は、印象に残ります。
おしゃべりは控えおろうぞ岩魚膳 楊子
○(卯平)は~い、わかりました。しかし美味しそうな岩魚膳ですな。おしゃべりしたくなります。お許しを、と言ったかどうか。
清濁の苦み構わず焦げ岩魚 藤三彩
好物は魚定食冷し酒 泉
○(幹夫)ちょいと晩酌にはいい感じ。
○(藤三彩)さて、何の魚とは言わず、冷やし酒で季語とする。どんなお店なのかな
〇(瞳人)そうです、ビールじゃあないよ、冷やですね
○(あちゃこ)そうですね。冷し酒にはやっぱり魚。上五は別設定でも面白いかと。
〇(まきえっと)お酒の好きな人にはたまらないですね。
せせらぎや箸に絡まる夏の韻 餡子
〇(まきえっと)「夏の韻」がいいですね。
〇(あき子)余裕を感じさせて涼し気。
○(あちゃこ)せせらぎの音と夏の韻と重複感はありますが。感覚はとても分かります。
〇(めたもん)「せせらぎ」の「韻」の中、夏を感じながらの食事。詠み方が巧みだと思います。
○(ちせい)箸に絡まるのが韻とは詩人ですね。
○(宙虫)水音に囲まれる世界観がいい。
高齢者五人に一人冷し麦 カンナ
◎(泉)つまり、高齢者は貴重な労働力ですね。
冷素麺老後に老後ある老後 めたもん
○(幹夫)リズム感あり。
◎(珠子)これぐらいしつこいと笑うしかありません。今すでに老後ですが、この老後の先にはさらにしんどい老後があるのは現実です。今を楽しまなくっちゃネ。
〇(カンナ)老後は長そうですね。
◯(道人)多少くどいような気もするが、何度も読むと老後が楽しくなって来る。
◯ (アゼリア) 若い頃は一括りに考えていましたが,六十代は七十代からが老後、七十代になったら老後は八十代からと考えるようになりました。
山峡の涼滑りゆく喉仏 あちゃこ
◎(春生)「滑りゆく」で「山峡の涼」が全身に流れ込んだ感じ。
○(餡子)3枚の写真は本当に「涼」を感じました。それを涼が滑る喉とは上手く言いましたね。
◎(瞳人)なあるほど、うまいなあと、思えば、つい…
〇(カンナ)上手い句だと思います。
○(アダー女)山からの湧水が喉仏を滑り落ちるという表現に、この暑さ、思わずゴクリと腹ならぬ喉が鳴ります。
〇(まきえっと)こんなところで過ごしたいです。冷房の中は涼しいというよりは寒いです。
〇(アネモネ)「山峡の涼」に得心です。
〇(仙翁)喉仏の動きが見えます。
◯ (アゼリア)涼滑りゆくーこういうものが暑い時には良いですね。
○(宙虫)涼を体内にとりこむ瞬間、ごくんと動くのどぼとけ・・・。
磔刑の鯵に横たふ夫婦箸 卯平
〇(あき子)磔刑から独自の世界が現れました。
○(あちゃこ)少々大げさかとは思いますが、意味深な一句。心情や如何に。
★★今月の写真★★
鹿児島県伊佐市の地鶏炭火焼の店。
湧水を利用して鱒を養殖。メニューには塩焼きなど。
そして、流しそうめん。
鹿児島県はくるくるまわる流しそうめん器の発祥の地。
九州内の流しそうめんは、ほとんどがこの方式。
あくまでも「流しそうめん」。
広島は相変らずの酷暑です。しかし、次第に慣れてきました。毎日、オリンピックの話題ですが、皆さん超人的な努力と才能だろうと、感嘆しています。オリンピックに出るだけで金メダルですね。