こんにちは。お待たせいたしました。
子供の頃から家では相撲をテレビ観戦する習慣があり、11月場所は横綱が不在でしたが、楽しく見ていました。普段なかなか表情の変えない貴景勝の笑顔が見れてよかったです。初場所は両国に行けたらいいなと思います。熱のこもった応援で大声を出さないように練習しなくっちゃ。
兼題:来
来訪のチャイムくぐもる冬夕焼け 宙虫
冬来る患者の増えた整骨院 泉
来ましたわ包まり丸く綿しまき 吾郎
〇(藤三彩)綿種を蒔くも今年は失敗。綿花栽培の時代があったとさ
○(泉)「しまき」という季語は、初めて知りました。「包まり」(くるまり)ですか。
大根煮の湯気に浮き来る顔尽きず 瞳人
○(泉)大根煮が本当に美味しそうです。
冬来るといよよ眠たき朝の床 幹夫
新聞の湿りし重さ冬が来る ルカ
○(あちゃこ)日常の些細な変化に冬を感じているのですね。繊細。
〇(ちせい)重さと冬の到来。
○(卯平)当た前ではあるが朝刊が雨に濡れている情景に己を託している俳句らしい俳句。
〇 (多実生) 関東では無理でも、雪国などは実感出来そうです。
来る年はコロナの濃霧晴らしたし 多実生
ほの白く朝刊届く冬来ると めたもん
手から鳩飛び出す手品小鳥来る 藤三彩
〇(宙虫)季語は別のもののほうがいい。リズムがここちいい。
(選外)(幹夫)初代引田天功の二番弟子だった私の友人が、結婚披露宴に出し物を披露してくれたことを思い出しました。
紅葉散る峠誰もが風来坊 あちゃこ
○(幹夫)誰も彼もが風来坊とは、リズム佳く詠まれ、共感の景です。
○(卯平)トラさんの世界には男なら誰もが一度憧れる。ましてやバックが紅葉の世界。そう言えばこのような景は映画でもあったような。
○(餡子)木枯し紋次郎が、出てきそうな峠ですね。「あっしにはかかわりございやせん・・・」
◯(道人)このご時世、紅葉狩りに行くのは誰しも風来坊のように見られる。
○(まきえっと)葉室麟の銀漢の賦を思い出しました。「峠」がいいですね。
小鳥来るこの世は仮面舞踏会 仙翁
〇(藤三彩)本性や個人情報を隠していろいろ世の中はやっています
〇(楊子)達観した人生訓のように詠むのはタブーなのかもしれない。でも「小鳥来る」が救っている。
◎(ちせい)仮面舞踏会とは少年隊を思い出すのですが俳諧味が有ると思いました。
◎(卯平)見事に現世を表現。ハレである「小鳥来る」と言う季語との断絶が強いので「ケ」の措辞がより鮮やか。秀句。
○(まきえっと)「仮面舞踏会」が今の世の中っぽいですね。
(選外)(道人)「小鳥来る」で救われた。
夜半の冬来来軒の灯が消える 敏
○(幹夫)コロナ禍飲食店不況ですね。コンパクトに詠まれており共感です。
○(吾郎)一層寒さが堪えるなぁ
〇(宙虫)コロナ禍のなか身にしみる。
◯ (アゼリア) 最近灯が消えると聞くとドキッとします。地方では次々と飲食店が廃業しているので。来来軒は廃業ではありませよね。
○(餡子)私も来来軒の句を作りましたので、同志のような気持ちです。
(選外) (メイ) 賑わっていたお店があちこちで閉店している、今年の冬。
姉の来てあれやこれやと年用意 楊子
○(メイ)あれやこれやと気がつくお姉さんが実家で采配をふるう光景、家族構成はどうなのかな、想像するのが楽しい年用意です。。
にぎやかに餌台に朝のひよどり来 アネモネ
〇(藤三彩)鳥にも順番待ち、雀が来ると騒々しい
〇 (多実生) 特に雪国では餌付けは簡単、因みに孫達は山雀の餌付け成功です。
金具には二種類耐震冬来たる ちせい
○(メイ)思わず背筋を伸ばして、家の中を見回してしました。
時来ればみな一人ゆく冬青空 メイ
○(敏)見上げていると心まで吸い込まれそうな冬の青空。誰しもいつかはそこに一人で消えていくだろうとの感慨か。「みな一人ゆく」の措辞が深いです。
来々軒の暖簾はずされ冬夕焼 餡子
鶴来る背中丸める人の上 まきえっと
〇(仙翁)鶴と背中丸めた人、対比が面白いですね。
◯(アネモネ)取合せがちょっと切ない。
菩提寺の小さき如来山眠る 道人
○(泉)何となく、魅力的な俳句だと思います。
◯ (アゼリア) 私の菩提寺のことを詠んでくださったかのようです。静かで倹しいお寺が気に入っています。
○(敏)小さな仏様を祠る小さなお寺に相応しく、眠りについた山もこぶりなのでしょう。菩提寺の設定で、物語がありそうですね。
〇(めたもん)山の麓の御堂に祀られた如来。下五の季語が清らかで慎ましい時間の流れを静かに受け止めていると思います。
立冬の二重まぶたの如来かな 卯平
〇(楊子)神々しい如来の眼差しと立冬が響き合うと気づきました。
(選外) (メイ) たおやかな如来の姿に、見守られているような気持ちになります。
冬来る大魚を捌く銀の水 珠子
○(あちゃこ)銀の水が冷たさや魚の鱗まで想像させてリアル。
〇(仙翁)大魚は何か、銀の水がいいですね。
白鳥もロケ隊も来て過疎進む アゼリア
〇(楊子)楽しい、そして侘しい俳句です。こんな詠みもいいなあといただきました。
○(吾郎)実に“現代”らしい実感
○(餡子)そして白鳥が帰れば、ロケ隊も帰る。残ったのは、どこか荒らされた感じの村。ああ。
◎(アネモネ)日本各地みなそう!
テーマ:かさかさ
かさこそと埋もれる棲み処蟇穴に 藤三彩
霜月の水を吸い込む植木鉢 まきえっと
◎(吾郎)シンプルさがグッド。植物は本当に強い
〇(ちせい)植木鉢の存在が季語を生かしていると思いました。
◯ (アゼリア) 水を吸い込む勢いに生命力を感じます。
◎(仙翁)冷たくなった霜月の水、何が植えられているのでしょうね。
しらじらと枯れては秋の麒麟草 アネモネ
阿りの自嘲の貌や冬薔薇 卯平
フェルトペン掠れる音に冬が来る 楊子
◯(ルカ)実感します。
〇(宙虫)こういう音、確かに冬っぽい。
◯ (アゼリア) 乾燥してきました。
かさかさの皮膚に血豆が鴨の陣 ちせい
ささくれをひょいと噛む癖雪ばんば 珠子
◎(あちゃこ)綿虫を雪ばんばとした所に作者の個性が見えて好き。何気ない行為の描写が巧みです。
○(敏)ささくれを噛んでいるのは作者のはずですが、あたかも雪女郎がそうしているようで不気味です。
◎(道人)三つ子の魂百まで。季語の放れ具合がいいですね。
◯(アネモネ)わたしも同じです。
妣に似る女に息呑む落葉道 アゼリア
◎ (多実生) 四十数年前母を亡くした私には良く判ります。
○(餡子)あーあ、男の方のマザコンには今更ながら・・の感。
○(メイ)私にも経験があります。息呑むがいいですね。
原稿に走るペン先冬始め 敏
古靴をかさかさ鳴らす落葉道 幹夫
あかぎれや母の使いし洗濯板 泉
〇(瞳人)あかぎれで洗濯、つらいよね、母さん…ありがと
○(幹夫)文明は進歩し今は当たり前の様に全自動洗濯機、センサーの時代。昭和時代を思い出させます。
○(卯平)母はどの歳でも還る宿。
枯れ菊は震えはらりと折られけり あちゃこ
十一月の林や内耳の乾く音 餡子
◎(楊子)詩性俳句は説明は無用です。感覚の共感をいただきました。
◯(ルカ)内耳が面白いです。
〇(ちせい)身ぬちの異変。十一月の到来。林を前にして。
〇(宙虫)中切れが少し残念な。が、内耳の乾く音は実感する。
〇(めたもん)「内耳の乾く音」により、落葉や枯葉の音と共に、静かな林に一人居る人物の存在を強く感じます。
青春は銀杏落葉の並木みち 瞳人
雁瘡や仄かにのこる蒙古斑 道人
◎(敏)雁瘡は雁が来る頃に発症する皮膚の疾患らしいですが、「蒙古斑」とありますので、作者の息子さん(?)の身体を見ての作句と思われます。雁瘡を季語として使った作例は私には初見です。
大根干し逆さかさかさ思慕恋だ 吾郎
○(あちゃこ)ちょっと苦しい?不安定さが面白い。
◯(道人)逆さに干した大根は暗号のように恋人に伝わるのでしょう。「逢いたい」と。軽やかな回文独特の調べが心地よい。
抜け道の奥の奥まで草紅葉 ルカ
〇(楊子)びっしりと生えている草紅葉が怖くもある。その先もまた延々と続くだろう。
○(吾郎)抜け道性に溢れた句
〇 (多実生) この時期何処の行っても草紅葉です。
〇(仙翁)草紅葉、色が見え、音が聞こえます。
(選外)(道人)省略のよく効いた叙景句。
北風に耐えてかさかさ干大根 メイ
かさかさと十一月を葉が逃げる めたもん
◎(幹夫)かさかさと葉が逃げてゆく・・・紛れもなくそれは十一月の景です。
○(吾郎)葉が逃げる──が好き
〇(珠子)共感します。一番天気が安定している気がする十一月が、真冬へと音立てて逃げてゆく感じでもあります。
○(まきえっと)「葉が逃げる」がいいですね。
くちびるに触れるくちびる松ぼくり 宙虫
○(卯平)その瞬間。詠み手にとってはファーストキッス。しかしもしかするとその瞬間二人して笑ってしまったのでは。それでそれも未完に。何故なら「松ぼくり」季語がそれを伝えている。
◯(アネモネ)おやおや!
木枯らしにはや荒れ初めし足の裏 多実生
落葉踏む山路の果ての雲近く 仙翁
〇(めたもん)「果て」により、よく山登りに例えられる人生晩年の、枯淡の境地が暗示的に伝わってきます。
◎(メイ)落葉を踏んで、この山の果てまでも歩いて行きたくなるような、リズムと透明感がすてき。
雑詠
きつかけはささいなけんか冬怒涛 メイ
○(幹夫)大きな冬怒濤も最初は小さな飛沫から・・・発想を飛ばした取り合わせに共感です。
センサーで測る生命や冬籠 あちゃこ
◯(ルカ)命を測るという表現の面白さ。
〇(めたもん)デジタル体温計に始まり生命維持装置に至るまで、私たちの命がセンサーに測られているという発見。季語「冬籠」も良いと思います。
樅大樹時雨の街へ背を押され まきえっと
ももいろの刻落とす砂小六月 珠子
◎(宙虫)砂時計の刻む時間、究極のゆるやかさかもしれない。ピンクが印象的だ。
◎(めたもん)砂時計の動きを表現する「中七」に詩があります。「ももいろ」が「砂」と「刻」の両方にかかり「小六月」にまで及んでいます。
〇(仙翁)砂時計でしょうか、桃色がひらがななのがいいですね。
◎(まきえっと)ももいろも刻落とす砂もいいですね。
下水道の敷設の工事冬ざるる ちせい
軽トラに遺品積み込む冬欅 宙虫
〇(藤三彩)積み込めない大欅は遺して旧家を離れる。寂しいです
◯(ルカ)目立たないけれど、きっとよくある光景。
○(あちゃこ)遺品回収の景。欅の大きな影が見えて、この句に立ち止まりました。
〇(ちせい)冬欅の屹立が目に浮かぶようです。
◎ (アゼリア) 今断捨離に励んでいます。この位まで減らせるといいのですが、なかなか進みません。
○(卯平)終い人産業はそれなりに今活用されているとか。軽トラには大切な遺品もない。季語でこの行為の淡々とした様子が描き出されている。
選外(吾郎)それなりに多そうですね、遺品
弧を描き空を孤高に鷹渡る 幹夫
○(あちゃこ)やや説明的かな?とも思いましたが、やはり景の大きさと孤高な鷹に惹かれます。
枯蓮水面に日矢の屈折す 敏
◯(アネモネ)上質の写生句。
五センチのブロッコリーの深き森 ルカ
〇(瞳人)そこに森を見たか、天空からのパセリじゃなくて
〇(楊子)いつもブロッコリーを切る時にそう思っていました。切り口はまさに森です。
◎(餡子)1粍にも満たない虫たちから見ると、ブロッコリーは森でしょうね。メルヘンティックです。感性のよろしさ!
○(メイ)ブロッコリーの森に迷い込みそうな感覚が、平易な言葉で表現されています。
○(まきえっと)五センチのブロッコリー。目の付け所がいいですね。
(選外)(道人)小さな実景を描いて、心象句とも読める。
山茶花のお喋りはメゾソプラノか 餡子
〇(珠子)華やかに賑やかに咲く山茶花ですが、そのおしゃべりは確かにソプラノではない気がします。次々に開く声・咲きほこる声・絶え間なく散る声の三部合唱とも思えます。
シャンシャンの帰る日見送る山に雪 藤三彩
〇 (多実生) 日本生まれのパンダ、特にシャンシャンは未練が残りそう。
初柚子の香り欲しさに爪立てる 多実生
〇(瞳人)さぞや、良い香で、爪のすき間に、ちと沁みる
◎(ルカ)私の最近の日常です。
〇(ちせい)爪を立てるという積極的な行為。
硝子窓紋付鳥は腹を見せ 仙翁
〇(珠子)あのオレンジ色の腹は部屋の中からもすぐにわかりますが、最後に出会ったのは何年前でしょう。
○(敏)「紋付鳥」は尉鶲の異称。硝子窓に見せた姿にはその異称のいわれとなった紋付は見えにくかったのでしょうね。
喪の一葉をさめ狭庭の柿取りに 瞳人
誰そ彼や夫が一人で貼る障子 道人
ダーウィンの髭や動かぬ冬の蝿 楊子
〇(瞳人)われ、進化してここにあり、か…考えるハエだ!
○(泉)何となく、ユーモラスな俳句だと思います。
◎(珠子)ダーウィンのあの豊かな白鬚。開いた本の中にあったのでしょうか。そしてじっと動かない冬の蠅。両者には何の関係もないのですが、進化論を唱えた方の肖像画の前で蠅に生まれた自分をどう思っているのかなあと。多分、人間に生まれなくてよかったと思っていますね。
◎(藤三彩)進化論のおじさんの髭に想像がつく、ハエの祖先は恐竜、始祖鳥のようだったとか
◯(道人)俳諧味溢れる取り合わせ。
天空を指さす騎士や神無月 卯平
〇(仙翁)空を指さす銅像でしょうか、何処でしょうね。
(選外)(藤三彩)ドン・キホーテなら風車へ突進するのだろう。
凍てし留守うどん問答する姉弟 吾郎
○(泉)「うどん問答」は傑作ですね。見事な回文だと思います。
〇(宙虫)讃岐がいいの、いや博多!こしが大事だのゆるゆるがいいの・・・・。時間は過ぎていく。
◯ (アゼリア) 当地の名品はうどんです。うどんが打てないと一人前ではないなんて昔は言われていました。何を問答したのでしょうか?興味が湧きます。
〇(めたもん)「うどん問答」が良いですね。寒い日、留守番の姉弟のうどんを食べながらのやり取り。回文でこのような表現ができることにただ驚くばかりです。
○(まきえっと)「うどん問答」少しこしがあるのが好きです。
夢のまま消える夢あり返り花 めたもん
○(幹夫)叶えられない夢と復活する桜という対比の取り合わせと軽快なリズムに共感です。
〇(珠子)人生そんなもの。返り花に期待しているの?それもよかろう。
〇 (多実生) 夢のまま消える夢。夢の殆んどがこの通り。
○(敏)「夢のまま消え」てしまう夢は私にもよくあります。それを思い出したいという気持が眼前の返り花の斡旋にあるのでしょう。夢=希望ととってみたいところですが、そうだと道歌(句?)的ではないでしょうか。
◯(道人)返り花を夢に譬えて巧い。
◯(アネモネ)切なさに一票です。
木枯一号ラジオにTake the A-train アネモネ
◎(瞳人)A列車はブルックリンからハーレムへ行く地下鉄なんだってね。初めて知りました。さ、木枯しなんか気にしないで、ジャズを聴きに行こう、A列車で、という気分です。
◎(泉)木枯一号とジャズの組み合わせですか。驚きました。
〇(珠子)ジャズはやはりラジオからですね。畑仕舞をしながら聞いているのかもしれません。
予報外れ底抜けの空布団干す アゼリア
〇(藤三彩)家に居て珍しく夫婦で協力し合って2階に布団を干しまた。柔らかいふかふかの眠りがありました。
○(吾郎)それはそれはヒジョーに気持ちよい1日
選外(ちせい)予報外れとは天気予報の事であろうかと思いました。
冷やかに一人介護のひと眠り 泉
◯(ルカ)季語が気になりましたが、深く共感。
○(餡子)あまりに、現代的な世相の一コマ。いずれは通る道。お疲れでしょうが、冷やかと言う季語が切ない。明るい季語で、頑張って下さい。
○(メイ)ひややか、ひとり、ひとねむり、一人介護の心境が表れているように思いました。
◯(道人)孤独を楽しむリアル感。
(選外)(藤三彩)「冷やかに」の意が汲み取れない。疲れているのう、愛想をつかす感じか。無季
☆次回をお楽しみに。
照ノ富士は、さすがに二番続けて勝つのは、無理でした。貴景勝は大関の意地を見せましたね。大関、横綱が休場して、盛り上がりが今ひとつでした。貴景勝は初場所で綱取りですが・・・?