「花冷え」「菜種梅雨」「芽起こしの雨」・・・
俳句をしていてよかったです。
兼題:連
連翹や雨の慕情の黄の窓辺 幹夫
○(藤三彩)昔の小説のようですね
島を出る連絡船や卒業子 泉
〇(春生)就職か進学か、いずれにしても都会を目指して心躍らせている青年の姿が浮かんでくる。
〇(カンナ)情景が浮かびます。
〇(アネモネ)紙テープが連絡船と岸壁をつなぐ光景がありありと見えます。
◯ (アゼリア) 連絡船もありましたね。思いつきませんでした。多分もう島には戻らないのでしょうね。私たちの街でも大学で上京すると、盆正月ぐらいしか若い人が戻りません。
連翹や一行半のメールくる 楊子
○(吾郎)微妙に簡潔な、ある意味思わせぶりな文字数が良き味わい
白亜館連れと夜遊び四月馬鹿 瞳人
駄句ばかりの十句連作山笑う カンナ
◎(アネモネ)自分のことを言われているようです。
連なるは伊勢路ご時世春なら津 吾郎
○(泉)リズム感の良い回文俳句だと思います。
○(仙翁)面白くまとまっていますね。
〇(めたもん)春のお伊勢参りでしょうか。回文俳句としての完成度が高いと思います
連吟の流るる空や花吹雪 春生
○(泉)平安時代の俳句の様ですね。優雅です。
◯ (アゼリア) 謡曲、格調が高いですね。
藤の影揺れて連ドラ一気見る 宙虫
○(藤三彩)録画しておいたドラマを見る至極な時間が大切
〇(あき子)藤の影が繊細に揺れて、連ドラを一気に見てしまう心の動きに連動しているかのよう。
連れ人の消え果つ先の花や散る 卯平
○(仙翁)人のいなくなるのと散る桜、面白いですね。
連れ添うて老婆老爺は花の下 仙翁
突然のピアノの連弾春の駅 藤三彩
〇(春生)駅の構内にピアノが置かれていて、どなたでも演奏できるのですね。お互い、あったのは今、その二人が連弾をしている、その驚きが「突然に」に表現できた。
連翹の黄の暮れ残る蔵の町 道人
〇(楊子)白と黒の蔵の町と黄色い連翹のとりあわせが視的に鮮やかです。
◎(幹夫)連翹の花の黄色と暮れゆく蔵町の景がマッチしており、その景もよく見えてくる。
〇(アネモネ) 蔵の町がいい味出しています。
○(宙虫)色合いに魅かれる。日本人だなと思う。
◯ (アゼリア) 景がよく見えます。連翹の黄は鮮やかです。
〇(まきえっと)綺麗な景ですね。
ライラック連絡絶えし人の今 あき子
○(藤三彩)通訳の一平さんのことかな
(選外)(道人)「人の今」の限定より「人は今」もありかと。
亀鳴くや死語となりたる「愚連隊」 餡子
〇(瞳人)その通りなのですが、一句になると…
〇(楊子)死語をのこすのも俳句の役目かともおもうこの頃です。いまは「ハングレ」が危険なようです。
○(泉)言われてみれば、最近は「愚連隊」という言葉を聞きませんね。
〇(アネモネ)そういえば「愚連隊」聞かなくなりました。
〇(めたもん)「愚連隊」という言葉に色濃い時代性。季語が共鳴し何とも言えない気持ちが湧いてきます。
○(卯平)愚連隊とは懐かしい。亀鳴くような春風駘蕩がこのコトバを死語とさせるのか。
〇(まきえっと)取り合せが面白いですね。
この国は連鎖する国蛙鳴く めたもん
〇(瞳人)情緒のお国柄? ですから
○(幹夫)各々が連鎖して鳴く蛙が詠まれる。
○(餡子)やや抽象的な句で、具体的な事は言っていません。季語が上手く使えたなあと思います。
日の午後の堰に連なる花筏 アネモネ
潮干狩食物連鎖のどのあたり 珠子
◎(泉)「食物連鎖」という発想は鋭い、と思います。
〇(カンナ)「どのあたり」が面白いです。
○(餡子)浅蜊はどの辺になるのでしょうか?
繰り返すエチュード連翹花盛り アゼリア
◯(道人)取合せが素敵。中八は気にならなかった。
◎(卯平)エチュードと連翹の微妙な振れ合い。繰り返す行為と花盛りとの振れ合いに共感。
連日の春を抜け出す温度計 まきえっと
〇(楊子)夏夏夏ココナッツ♪という歌がありましたが、春とは思えない気温をうまく詠まれました。
〇(珠子)過ごしやすくやさしい季節「春」は、簡単に逃げていきます。日本は二季になるのでしょうか。
○(宙虫)春、いままでの暖かいという感覚から「暑い」季節の始まりという感じ。
○(吾郎)抜け出す温度計〜の意外性が面白いです
テーマ:写真
「写ルンです」に消えた写真や鳥雲に カンナ
◎(藤三彩)「写ルンです」のCMは樹木希林さん。懐かしいですね。
アングルに桜ふぶきの婚衣装 道人
シャッターチャンス花のトンネル行く一両車 アゼリア
○(幹夫)桜花爛漫!
家族写真がひきがねえごの花降らす 宙虫
〇(めたもん)中七の「ひきがね」が上手いなあと思います。句に深みがあります。
花冷やこっそり用意する遺影 あき子
〇(カンナ)取り合わせが良いと思います。
◎(餡子)だいぶ前から、私も用意していますが、一年たつと、本体が随分老けてしまい、写真は噓だろうみたいになります。
学帽のモノクロ写真山笑う 珠子
〇(あき子)若き日のモノクロ写真、自然の中の大らかな笑顔を想像しました。
汗滲む鉢巻母がシュート一発 瞳人
観桜よ写真連写し酔う恩か 吾郎
◯(道人)花見は大概のことは多めに見てもらえる楽しい行事。酔っ払って写真を連写しても文句を言う人は殆どいない。ありがたし。楽しい回文句です。
写真家に狙はれてゐる鯥五郎 春生
〇(アネモネ)ムツゴロウのキョトンとした貌が見えて来ます。
十字に渡る花冷えの交差点 藤三彩
◎(楊子)日は照っていても寒いという花冷えを、スクランブル交差点に焦点を当てています。速足で渡る人々が見えます。
○(吾郎)渋谷駅前交差点の見事な群像
◎(めたもん)七・五・五の構成により突き放したような感じを受けます。「十字に渡る」はなかなか出来ない詠みだと思います.
〇(まきえっと)高齢者が渡るには少し時間が足りない交差点もあります。
春塵をかぶり戦場カメラマン 幹夫
〇(春生)戦場カメラマンの行動が見えるようです。
〇(珠子)春塵は爆風によるものかもしれません。ご飯を食べながらテレビ画面でそれを見ている私たち。
○(餡子)昔はキャパ?今は、渡部さん?命をかけての取材。
◯ (アゼリア) 負傷しないか心配です。
○(卯平)ウクライナも冬の時代から春に向かっているだろうか。戦場カメラマンを売り物にしている某人ではない本物の戦場カメラマンの存在。
シャッターを切る音さくら舞う力 まきえっと
〇(珠子)谷底からぐんぐん舞い上がる山桜の花びらに感動したことがありますが、車を追いかけてゆく都会の花びらにも力を感じます。
◯(道人)シャッター「音」と花びらの浮「力」ので対比が面白い。
春泥の中より拾ふ遺影かな 卯平
〇(春生)4か月たっても片付けが進まない震災地。大事遺影を探し出した瞬間を捉えた一句。
○(泉)自然災害があって、という状況でしょうか?
◎(カンナ)能登半島地震を連想しました。切ない句。
○(幹夫)地震津波被害のあとの様子が詠まれる。
○(仙翁)ふと遺影が浮かぶのかも知れませんね。
○(餡子)今回は遺影の句が2つ。こちらはきっと大地震のあとのことでしょうか?仏間に飾ってあった先祖、父、母、妻や夫、子かもしれない・・・。辛いですね。でも、さがせてよかったです。
◎(道人)俳句は短か過ぎるがゆえに想像力を喚起する。時節柄能登地震の被災地の春泥であろう。
◯ (アゼリア) ニュースでご家族の遺影を探す様子を見て胸がいっぱいになりました。
数字札現場写真に花の塵 めたもん
〇(あき子)ドラマでよく見る光景です。花の塵から、現場の微妙な心理を推測しました。
○(餡子)実際には見たことありませんが、テレビの映像でこのような事件現場を目にしたことがあります。季語の斡旋が上手いですね。
写真撮る皆既日食春の昼 泉
前列の右端にいつも春愁 餡子
◎(瞳人)いつもあそこに座っているのは、自分? それとも、あいつ
〇(楊子)後列の左端、中列の右から二番目などと読み替えて楽しませていただきました。やはり春愁は真ん中ではなさそうです。
◎(吾郎)集合写真の端にいつもひっそりと佇むその姿、秀逸
◎(まきえっと)列の中にいるにはいるんですね。
富士と花高く近くを写す湖 仙翁
鈴生りの写真高々苗木市 楊子
翡翠の声に連写の音あまた アネモネ
〇(瞳人)なにしろ、逃げ足が速いですから
○(吾郎)自然音と風合いをかき消す野暮なメカニック音、しょーがねえなぁ
(選外)(藤三彩)翡翠(ひすい)の原石は新潟の糸魚川が有名、現在は拾うことも採掘も禁止。
雑詠
お花見に誘われている二行半 楊子
〇(瞳人)いまや、メールの時代? とはいいつつも
○(卯平)三行半では誘われないだろう。
かはたれの灯りおぼろに常夜灯 アネモネ
○(仙翁)夜明けの光と常夜灯、面白いですね。
春愁の「連ドラ予約」ボタンかな あき子
ごちゃまぜの山川草木春や濃し 仙翁
寄り道の多い小説黄砂来る まきえっと
○(藤三彩)本題の流れが気になるが、しょうがないので付き合ってしまう
〇(アネモネ)いいですねえ「寄り道の多い小説」!
〇(珠子)その寄り道が後半の大事なところにつながってゆくので油断がなりません。
〇(あき子)寄り道が多いと思いつつ、小説の世界に付き合っている。その時間の流れと黄砂来るが響き合う。
◎(宙虫)結末まであとわずか・・・なのに、本筋から離れた展開が・・・もやもやとするものだ。
◎ (アゼリア) 何度も読み返しながら、読み進めますが、読み応えがあります。黄砂来ると不思議な取り合せですが、効いていると思いました。
花見酒最初は義理で参加して 泉
○(幹夫)ありそうな景だ。
○(卯平)新社員の景
蒲公英の絮吹く儀式目を閉じて めたもん
〇(楊子)「儀式」におかしみがあります。納得の儀式です。言葉の順序は一考の余地がありそうです。
〇(あき子)子どもは真剣な表情で目を閉じます。儀式と捉えたところに視線の温かさを感じました。
亀鳴けり憲法九条もしかり 餡子
○(泉)日本国憲法は戦後、一文字も変わっておりません。亀は鳴くのに?
◎(珠子)混沌として滑稽な季語「亀鳴けり」に対して「憲法九条もしかり」。ぴしゃりと言い切った凄さ。
◯(道人)危うし憲法九条の句かと思いきや、亀は万年なので、九条は不滅という句かも。
幸せが村にてんてん春時雨 幹夫
◎(春生)「てんてん」がいろんなことを思わせる句。私は家々の灯りと読みました。
○(宙虫)春時雨と幸せの雰囲気がいい。
〇(めたもん)「てんてん」がなにを表しているのか、考えさせられます。そこに表現の膨らみがあり上手いと思います。
〇(まきえっと)春の雨のしっとりした感じがします。
降車ボタン押し忘れたり花吹雪 アゼリア
◎(仙翁)花吹雪に気を取られ、押し忘れたのでしょうか。
◯(道人)あるある感満載。
春愁びんずるさんの胸を撫づ 道人
○(藤三彩)賓頭盧(びんずる)さんの像の頭などを撫でると病気が治るとさせる。春愁もかな
〇(珠子)びんずるさんは撫で仏ともいわれるそうです。びんずるさんの胸を撫でて気持ちを鎮めましょう。
〇(めたもん)びんずるさんですか。頭ではなく胸を撫でるところが季語「春愁」とよく響いています。
初蝶の好みの色香邪気のなし 藤三彩
花吹雪深々はぐれたままでいる 珠子
○(仙翁)花にまみれて迷うような景色ありますね。
◎(あき子)花吹雪「深々」が新鮮。その中で、はぐれたままでいたい気持ちにも共感しました。
人間なんて使い捨てだわ山笑う カンナ
〇(瞳人)ま、そういわずに、そう捨てたもんじゃあありませんよ
○(卯平)ニンゲンはそう言うものだ。
人処分おれは目溢し四月馬鹿 瞳人
〇(カンナ)インパクトのある句。「おれ」が良いですね。
仲間キス暖雨が生んだすき間かな 吾郎
〇(カンナ)見事な回文。面白い句。
○(宙虫)すき間から生まれる亀裂・・・・。あるあるかも。
〇(まきえっと)すき間は要注意ですね。
飛行機雲が似合う性格金瘡小草 宙虫
○(吾郎)あぁそうだなぁ〜としみじみ思っているあなたに一票
母子草そぞろ歩きの足元に 春生
○(幹夫)母子草は春の七草の一つ。黄色の小さな花が可憐だ。
霾るや異国の丘をハミングす 卯平
〇(春生)やはり15年戦争での満州が思い出されるのですね。
☆☆次回をお楽しみ。
広島は最近、雨の日が多くて、梅雨が近いのか?と思っています。それにしても、冬からの変化は早いです。最近は大谷選手のニュースばかりで、日本のプロ野球にも頑張ってほしいものです。