こんばんは。
お待たせいたしました。
兼題:星
渦潮の空に静寂の星月夜 幹夫
〇 (多実生) 渦潮と星月夜、動と静の対比が面白い。
星月夜若き看護師片えくぼ 瑠璃
父母に遇ひたき齢冬の星 瞳人
◯(瑠璃)妙に父母に会いたくなる冬の日がある。顔を見て安心したいという離れて親を思う切なさが伝わります。
星月夜眺め野宿の逃走犯 泉
○(餡子)奇妙な人でしたね。逃げ延びれると思ったのでしょうか。
○(幹夫)先だっては、自転車で日本一周を目指した逃走犯が居ました。
惑う星句なら螻蛄鳴く四方土間 吾郎
灯火親し卓に広げる星座表 アネモネ
〇(道人)家族団欒或いは恋人同士のそれぞれの星座物語でしょう。都会はもちろん田舎でも珍しくなりました。
◯(あちゃこ)ギリシャ神話を重ねながら見ているのでしょうか?
〇(まきえっと)秋の夜長。幸せそうですね。
星月夜去りゆくひとの背見つめ 豊秋
流れ星消ゆる 黙って手を離す 敏
○(餡子)分かち書きに意味があるのでしょう。
◯ (ルカ)ドラマがあります。
(選外)(道人)一文字の空白がドラマを生んでいる。
月明かり輝き渡り星飛雄馬 藤三彩
十月の街に背を向け星を追う 宙虫
○(ちせい)季語は「十月」。背を向けて星を追うのは相当な決断だったはずです。
新月や星の生まるる音のして ルカ
◯(アネモネ)「星の生まるる音」いいですね。
〇(珠子)こういう感性は私にはありません。すてき。
◯(道人)星の生まれる音を聞いてみたい!ロマンあふれる句です。
〇(仙翁)音がしますか。面白い。
○(餡子)そういえば、先日目には見えない星座というのが発表されていましたね。「ゴジラ座」があるのにはびっくり。
○(敏)うっすらとした月、くっきりとした星の散らばる夜、耳を澄ませていると、あたかも新しい星の産声を聞いたような気になったのでしょう。
◯(瑠璃)ロマンチックな句です。新月は何か新しい事が起こりそうで何だか納得します。
〇(まきえっと)「星の生まるる音」っていいですね。
稲刈るや星屑集めコップ酒 仙翁
◎(道人)日が暮れてようやく終わった稲刈りのあと、畦道で独り呑むコップに星が降って来るようです。
○(泉)「星屑集め」。ロマンチックな俳句だと思います。
〇(宙虫)労働のあとの一杯。星屑なんてロマンチックなものとの取り合わせがちょっと高級。
◯ (ルカ)稲刈りの後の一杯!さぞ美味しい星屑酒。
◎(瑠璃)稲刈りが終わってコップ酒を飲む。星空が綺麗でホッとしている様子が伝わります。星屑集めがお洒落。
◯ (アゼリア) 稲刈りの重労働の代償が星屑入りのコップ酒ー素敵ですね。
◯(あちゃこ)一仕事終えた安堵感。
◎(まきえっと)美味しいお米をありがとうございます。
山小屋は星との出会いまず夜空 多実生
星よりひそかに雨よりやさしくサユリスト 餡子
◎(アネモネ)ビバ!サユリスト。これにはもう脱帽です。
(選外)(幹夫)一方橋幸夫と言えば「潮来笠」ですね。
秋の星母郷の島の一軒宿 アゼリア
〇 (多実生) こんな島の一軒家で満天の星空を仰ぎ見たいものです。
追いかけて行くだけ獅子座流星群 あちゃこ
◯(吾郎)流れる星を追うのは人の習性か
○(敏)私も、有名な流星群が出現すると聞くと、大抵一人家を抜け出して、観望に良さそうなところに行くのですが、言われるような「一時間に数十個」といった「群」に出合ったことはありません。まさに「追いかけて行くだけ」でした。
記念日の星形ケーキ夕月夜 道人
○(泉)「星形ケーキ」はユニークだと思います。
星月夜耳の底より寮歌かな 春生
〇(瞳人)数学の田島一郎先生が一高寮歌を歌ってくれましたよね。
◯(アネモネ)「耳の底より寮歌かな」上手い。
〇(珠子)「耳の底より」に、じんわりと伝わってくるものがあります。
〇(道人)旧制七高寮歌の「北辰斜めに」も良いですが、三高の「紅もゆる」の三番「~銀漢空に冴ゆる時 かよへる夢は崑崙の 高嶺の彼方ゴビ砂の原」が良いですね。「耳の底より」に実感がこもっている。
○(豊秋)中七が発見か。来し方を振り返れば懐かしき青春時代。季語の位置が的確。
◯(吾郎)ふとした時に甦る、無意識の沈澱層
〇(まきえっと)寮歌から青春時代の熱き思いも溢れそうですね。
芒原星座と交信するのかも ちせい
◯ (アゼリア) ありそうですね。綺麗な景が見えます。
◯(あちゃこ)遠い宇宙との交信も可能にする未来がすぐそこに。
星月夜家業継がぬと酔う男 珠子
〇(瞳人)酔わないと言えないか、なあ
〇(藤三彩)飲んでる場合じゃないが、好きにさせれば
◎(豊秋)今でもこの様な事はあるのであろうか。団塊世代の同年代であればこの事は誰もが経験した。結局は継がざるを得ない立場と言う嫡男。季語が切ない。
鈍色の光る錠前星流る まきえっと
◎(瞳人)池波に 鬼平の十手に光る冬の月 という唯一の句がありますね。
◎(仙翁)どこの、何の錠前か、いろいろ想像します。
○(幹夫)景がよく浮かびます。
秋雨や校門で待つお母さん 幹夫
◎(餡子)今時のお母さんではないようです。昔は、私もよく校門の前で傘を持つ母を探しました。自分が母になってからは、勤めもあり、こういう事は出来ませんでした。置き傘をさせましたが、こういう句のようなお母さんを見ていたとしたら、子どもたちは寂しかったかも。郷愁を感じました。
テーマ:雨
「傘がない」小声で唄ふ花野かな 豊秋
◯(アネモネ)なにも小声でなくとも。
◎(藤三彩)井上陽水の「傘がない」。借りなくちゃ
◯(瑠璃)井上陽水懐かしいですね。その昔コンサートにも行きました。(笑)花野で小声で唄うにしみじみ感があります。
透明な置き傘遠く秋の雨 まきえっと
秋時雨老い犬肋骨(あばら)浮き出でて 瞳人
〇 (多実生) 私がモデルの様で、身につまされます。
○(豊秋)予定調和とは思うが、それなりに詩感を受け取る事ができる。
むくつけば目先秋雨バケツ汲む 吾郎
秋雨の長きを愁う草の原 道人
やわらかき石畳なり秋の雨 ルカ
〇(宙虫)類句は多そうだけど、石畳がやわらかいのがいい。
○(ちせい)季語は「秋の雨」。石畳にやわらかさを感じる。経年劣化や、自身の内部的な事情があるのだろうと思いました。
雨上がり虹の噴水となる夕 瑠璃
秋雨や黒毛和牛のハンバーグ ちせい
花野をきらうあなたがひらく赤い傘 宙虫
◎(敏)どんな理由で彼女が花野を嫌うのかは分かりませんが、雨にさっとひらいた赤い傘を持つ姿は彼女そのものが花野の一輪にでもなったようにみえる、といったところかも知れません。
銀杏飯香ばしく炊け俄雨 アゼリア
◯(吾郎)寒くなりましたね…という実感
紅葉山雨のひと日となりにけり 春生
秋時雨骨董の中に猫眠る あちゃこ
◎ (多実生) まさに猫に小判で面白い。
○(豊秋)猫と骨董の組み合わせ。あるようであるような。その発見に共鳴。季語如何によってこの句の鑑賞は異なるか。
◎(泉)ユーモラスな俳句だと思います。
〇(宙虫)骨董のぬくもりが見えて面白い句。
〇(まきえっと)秋時雨なのになぜか温かい。
降りみ降らずみ鶏頭の秀が振れる 敏
〇(藤三彩)禿頭ではないのね。頭髪がふさふさと
〇(珠子)今年の秋はこういう天気が多い気がします。「鶏頭」がいい雰囲気をだしています。
◎ (アゼリア) 秀という言葉ー初めて知りました。一幅の日本画のようですね。
◎(あちゃこ)静けさの中に佇む作者が見える。何気無さが美しい。
くり木橋渡り小雨のきのこ山 アネモネ
〇(仙翁)しっとりとした雰囲気でいいですね。
(選外)(道人)音読を繰り返すと何となく秋雨の山里の中をさ迷っている気分になって来ました。
降る度に季節が走る秋の雨 多実生
○(ちせい)季語は「秋の雨」。季節が走るとは表現を工夫したと思いました。
秋雨や仮設住宅出てゆけず 泉
○(幹夫)岡山市隣町は倉敷市真備町の現状です。ゆけずかゆかず?追い打ちをかけるような寂しげな秋の雨です。
週末の秋雨ためらう小外出 藤三彩
秋深し闇に呟く雨の音 仙翁
中耕の畝の弾力霧時雨 珠子
〇(道人)中耕の程よい柔らかさの畝に、霧雨が染み込んでゆく感じ、味わい深い句です。
◯(吾郎)畝の弾力~は魅力的なフレーズ。で、中耕はこの季節?
○(敏)新たに造られた畝の柔らかさを、「霧時雨」の中、足裏に感じとっている繊細さが見て取れます。
◯ (アゼリア) 中耕ー辞書で調べました。大変な努力ですね。
灯のはいるバーの看板秋時雨 餡子
〇(瞳人)こりゃ、トリスですね。
〇(藤三彩)馴染みの名ならよいのだが、怖そうな店に入ると大変
○(泉)何となく寂しい雰囲気ですね。
◯(瑠璃)外は秋時雨。いつもの時間にバーに灯が入る。寂しさが少し薄らぐようです。
○(幹夫)夕暮れのバー・・・「秋時雨」がいいですね。
雑詠
3Kは研修生に赤い羽根 泉
アルプスを仰ぎて芋の煮ころがし 珠子
○(泉)「アルプス」は雄大ですね。
◯(瑠璃)日常の一コマに遠近、寒暖が織り込まれており、芋の煮っころがしに温かさが醸し出ています。
鷹渡る煙たなびく平家谷 まきえっと
◯ (アゼリア) 散り椿のシーンを思い出しました。
◎(ちせい)季語は「鷹渡る」。平家谷の歴史。煙がたなびく。
まとまるとキスする芒取る間と間 吾郎
〇(道人)「キスする芒」が素敵な措辞です。
○(餡子)うーーーん。そういうこともありかあ。
◎(宙虫)ざわざわとした薄原の感覚が回文でリズムよく。
〇(まきえっと)芒の揺れ具合がこのリズムと合っています。
稲架掛けの景も匂いも懐かしき 多実生
◯(アネモネ)ほんとほんと。
銀座秋画廊に箱を積み上げて アネモネ
〇(藤三彩)なんの箱だかわからないが、それが芸術だってというのがオチ
○(豊秋)写生が良く効いている。洒落た句である。
○(餡子)作品の搬入でしょうか。これから始まる個展に向けての意気込みが感じられます。それにしても、銀座は画廊が多い。
〇(宙虫)芸術の秋。画廊も入れ替えに大忙し。
○ (ルカ)搬入搬出、銀座の画廊は忙しい。秋は特に。
愚痴も診る若き町医や小鳥来る アゼリア
〇 (多実生) 過疎の町のお医者さんは何でも屋で、尊敬を集めています。
〇(珠子)PC画面ばかり見ていては町医者失格です。お医者さん二世で若先生と呼ばれているのでしょうか。
○(泉)町医者はいろいろと大変ですね。
〇(仙翁)昔は、こんな町医者がいたのでしょうね。今もいますか。
○(敏)老いた町医者ならば判りますが、今時の若先生も仲々隅に置けませんね。季語が大いに雰囲気を和らげており、それほど深刻な「愚痴」でも無さそうです。
〇(宙虫)過疎地の診療所の若い先生。嫁に対する愚痴やら、夫に対する愚痴やら。聞かされているんでしょうね。季語が惜しい気がする。
◎ (ルカ)若い町医者、患者の心の奥まで診てくれます。
○(ちせい)季語は「小鳥来る」。愚痴も診るとはユーモラスですね。
◯(あちゃこ)なんとも優しい。こんな主治医が欲しいものです。
○(幹夫)優しいお医者さんです。
古民家の茸尽くしの昼ご飯 あちゃこ
黒焦げのビジネス街の秋刀魚かな 瑠璃
○(豊秋)上五の位置は中七へか下五へかが不安。上五を「や」ギリでは如何であろうか。しかし、そうすると少々詩感が薄れる様な気がする。何方にしても推敲があればもっと名句に近づくのでは。
夕暮れの金木犀で避ける雨 宙虫
◎(吾郎)香りは水気で立ち上がる。全身キンモクセイの香りに…
◯ (ルカ)きっと匂うような美しい雨だったのでしょう。
残照の紅葉且散る別れかな 幹夫
秋の果不惑けぢめを付けにけり 瞳人
十月や知識のなさを恥じにけり ちせい
〇(瞳人)さて、何を、とおもいつつも、多々あり、まことに。
初紅葉土塀の骨の露なる 春生
〇 (多実生) 昔の家や物置等の壁は竹を編んだ芯に土を塗り付けたものです。古くなると一部壁が落ち骨が見える。昔見慣れた光景で懐かしい。
〇(仙翁)情景がよく分かります。紅葉と土塀の骨、対照的でいいですね。
○(ちせい)季語は「初紅葉」。骨組みが露わで風情が増したのか、減殺されてしまったのか興味深いところです。
人形へ魂入れる菊師の手 餡子
◎(珠子) 「菊人形たましひのなき匂かな 渡辺水巴」もありますが、菊人形は芝居の一場面というものも多く、菊師の技が光ります。菊師は密かに入魂の儀式をしているに違いありません。
○(敏)菊師の「手」に着目した一句。いったい、「魂入れる」手振りって、どんな格好か見てみたいものです。
尽きるまで風の領域芒原 敏
◯(アネモネ)なるほど。納得です。
◯(吾郎)風の領域~は魅力的なフレーズ。尽きるまで…と限定すると景がなぁ…
〇(仙翁)風の領域ですか、面白いですね。
○(ルカ)風の領域、という言葉にロマンを感じました。
秋夕焼わたしの恋の終わりけり 豊秋
〇(藤三彩)もう黄昏症候群なんです
◎(幹夫)季語「秋の夕焼」がとてもいいです。
星月夜今日は土竜の誕生日 ルカ
〇(珠子)確かに土竜にも小鳥にも誕生日はあります。絵本に出てくる土竜のほんわか家族を想像しました。
(選外)(道人)「土竜の誕生日」が面白いですね。
木洩れ日や猫振り仰ぐ空高し 仙翁
夕暮の蓑虫の影おろおろと 道人
◯ (アゼリア) 蓑虫にはおろおろがぴったりですね。半世紀以上前の母の蓑虫のバッグなつかしく思い出しました。
落ち葉掃き禅僧ぶって是好日 藤三彩
◯(あちゃこ)禅僧ぶってが楽しい一句。
(選外)(道人)禅僧になった気持ちはわかるような気がします。
次回をお楽しみに。
広島は、なかなか寒くなりません。秋は来ましたが、日中の日差しは、未だに強い感じです。さて、ソフトバンクと広島カープの日本シリーズになりました。
広島カープが勝たなければ、春から秋までのシーズンの意味がなくなります。それにしても、短期決戦は難しい。