雨の勤労感謝の日です。
サッカーが好きでなくても観てしまいそうなくらいにどのチャンネルもサッカーの話。波乱もあり、人権や環境問題も投げかけられています。
今夜は日本対ドイツ戦ですね。頑張れニッポン。
兼題:月
縦長の猫の欠伸や小六月 幹夫
〇(アネモネ)猫の所在なさが出ていると思いました。
◎(吾郎)よく見てるなぁ、結構開くね、あれ
〇(カンナ)縦長の欠伸とはユニークで面白い表現ですね。
◯(ルカ)猫の欠伸の表現が秀逸
○(宙虫)こういうゆとりのある時間を大切にしたい。
◎(楊子)「縦長」とは言われて納得の表現です。何気ない日常を詠むのも俳句の役目のような気がします。
〇(めたもん)大きな欠伸をする猫の顔。確かに「縦長」ですね。小六月の雰囲気も縦長かもしれません。
○(ちせい)欠伸に小六月が波長の合った組み合わせだと思いました。
◯ (アゼリア) 猫の欠伸に小六月の季語がよく合っていると思いました。
〇(まきえっと)心のゆとりを感じます。
飲み仲間今日の理由は月見酒 泉
○(幹夫)名目なんて何でもいい。酒が酌み合えれば!気持ちが伝わってきました。
○(吾郎)飲んべえは何にでも口実をつけて呑む
〇(瞳人)理由はすべて、後づけです
○(餡子)よくわかります。何だかんだと理由を見つけては飲んでいます。「♪1月は正月で酒が飲めるぞ酒が飲める飲めるぞ酒が飲めるぞ♪」で始まり12月までの歌がありました。月見酒は10月だったかな。
トイレ告げ餅の命も月齢と 吾郎
信長も観たか月食+天体ショー カンナ
○(敏)今回の天体ショーは11月8日の夜でしたね。442年前には織田信長も観たのではないかということでした。今年はともかく、数年後の読者に「+」の意味がわかるかどうか。
惑星食皆既月食夜鍋喰う 藤三彩
○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。
スマホ忘れたり月下の独り言 楊子
○(餡子)月下などとちょっと 気取っていますね。せっかくの月食を撮ろうと思っていたのに・・・。私は暗い空しか撮れませんでしたが、孫はばっちり暗紅色の月が撮れていました。
○(敏)この句の「月下」は今月初旬の皆既月食の「下」でのことでしょうね。常時身に付けるようになったスマホの画面でこの天体現象を見るにはあまりに小さかったと思われます。
冬銀河に続く月極パーキング 宙虫
〇(楊子)発想にまいりました。月を極めるという字面が効いています。
〇(めたもん)「月極」の月が効いて、銀河という宇宙的なものとパーキングという日常的なものが繋がります。
老友の頻り訪ひ来る神無月 瞳人
月食の後のため息夜の長し アネモネ
◯(道人)実感として共感。
冬を歩く老猿月の松林 仙翁
(選外)(卯平)等伯の絵を彷彿させる。「老猿」の位置をどう観賞するか。面白い句。気になった句。
寒月やsin・cos・tan 卯平
◎(ルカ)チャレンジ句
◎(泉)この様な形の俳句もあるのか、と驚きました。
月食はまだかまだかと芒波 敏
寒い月隣の犬の鳴きやまず あき子
○(仙翁)寒い月、犬は何に鳴いているのでしょうね。
煮物の火弱め月蝕の窓に佇つ 餡子
〇(瞳人)おかみさんは忙しいのです
○(宙虫)まどろっこしい時間がここにある。「佇つ」と言わず、リズムを整えるといいのかも。
皆既月食思わぬ人と遭いにけり 道人
○(餡子) この「遭う」は遭難の意味ですから、余り会いたくない人との再会だったのでしょう。でも月食ですから此処からまたドラマが始まるかもしてませんね。
凩や繰り返し来る月曜日 まきえっと
◯(ルカ)月曜日だけに感じる感覚
○(泉)本当に一週間が過ぎるのは早いです。
○(卯平)確かにそうである。月曜日は勤め人にとってまさに「凩」。実感する。
〇(珠子)他の曜日も繰り返し来ますが、確かに月曜は「もう来たか」感の強い曜日です。土曜日もしっかりと働いてきた時代は尚更でした。
〇 (めたもん)ブルーマンデー症候群ともいうらしいですね。その上に凩ですか。まあ、(古いですが)花金も繰り返し来ますから。
奈落へのプラットホーム冬の月 あちゃこ
◯(ルカ)私にも既視感のある光景
◎(あき子)奈落へ向かってもう取返しがつかないのか。まだ希望はあると思いたい。
◎(卯平)奈落とは詠み手にとり挫折のどん底の景だろう。その奈落に通じるプラットフォームに佇む詠み手。冬の月でその景が更に深まる。自死決断の一歩手前で現実に戻った心象景。
◯(道人)冬の月が見つめるプラットホーム。奈落とは?読み手にとってはちょっと怖いような場面。でも冷静な句。
待たせてもまたせられてもおでんかな ルカ
〇(珠子)気の置けない友人なのでしょう。先に呑んでいられる二人の関係が見えてきます。
○(ちせい)居酒屋か家庭か、ぐつぐつ煮えるおでん種が思い浮かびました。
バッハ弾く男の猫背冬の月 めたもん
◯(ルカ)グールドの音が聴こえてきます
◎(宙虫)バッハがずしりとして厳しさを際立たせている。
〇(楊子)抑揚の少ない毎日の仕事や暮らしを想像しました。
○(卯平)「バッハ」「猫背」「冬の月」と全て「ケ」の世界。それらのハレーションで詩に止まった。
◎(珠子)街ピアノを弾いているのかもしれません。猫背だからこそそのギャップがかっこいい。
◯ (アゼリア) ショパンでなくバッハが冬の月には合っていると思いました。
◎(まきえっと)「バッハ」が効果的です。取り合せがきっちりとしています。
寄る辺なき人寄る飯屋冬の月 アゼリア
〇(藤三彩)独り暮らしの侘しさ、殊に年を取ってからの孤独は身に染みるのだろう
◎(アネモネ)駅前の午後遅くの景。
〇(瞳人)さみしいな
○(あちゃこ)様々な人生。それを静かに照らす冷たい月。
(選外)(道人)最近は「めし」と書かれただけの看板の飯屋を見かけない。冬の月は飯屋とそこ集い人間の変遷を見つめ続けて来たに違いない。「寄る」のリフレイン効果はやや疑問。
三分遅延詫びる放送冬の月 珠子
〇(藤三彩)電車の放送は律儀だな
〇(アネモネ)日本人の時間の正確さを再認識します。
○(幹夫)夜行列車の到着時間なのでしょう。分刻み、秒刻みの運行は、日本ならではですね。
〇(あき子)三分でもお詫びはマニュアル通り。疑問を持たなくなっている自分に気づきます。
○(卯平)様々な鉄道のプラットフォームの景。しかし、JRの景が一番実感がある。地下鉄ではない。残業から疲れて帰る詠み手の姿。
冬の月酒を分け合ふ心かな ちせい
テーマ:待つ
ジョーカーを引く人を待つ冬の月 まきえっと
〇(アネモネ)食虫植物を想像させて面白い。
◎(瞳人)大罠が仕掛けられているような…、それを知ってなお行かん
○(あちゃこ)なるほどこう来ましたか。ジョーカーは不幸とはいいきれませんが、自分に回らぬよう願う気持ちは、分かります。
◎(めたもん)西洋の古い挿絵のような顔のある月でしょうか。フフッと微笑む月に窓から覗かれてのトランプゲームです。
(選外)(卯平)「ジョーカー」と「冬の月」の取り合わせ。その事は詩になる。但しこのままでは待っているのが「冬の月」となる。それはそれで面白いがやはり緩い。だとすれば古風ではあるが「引く人待つや」とキレを意識すると別の趣となろう。
ハチ公の時雨れて回る時計針 めたもん
◎(幹夫)土曜日は半ドン、携帯電話もなき時代、渋谷忠犬ハチ公銅像前は定番、妻との待ち合わせ箇所でした。
〇(カンナ)時雨のなか、来ない相手を待っているのか?物悲しさが伝わります。
○(敏)ハチ公ほど有名になったワンちゃんはいないでしょうね。銅像はもとより外国の映画のモデルとなったり。時計針はハチ公が刻んだ時間を象徴しているのでしょう。
○(あちゃこ)冷たさが痛いほど、伝わります。時計針がレトロ。昔の苦い思い出でしょうか。
待ち人を見返る娘黄葉降る 仙翁
○(泉)映画のワン・シーンのようです。
ページ繰るベンチ焼き芋まぁだだよ あちゃこ
〇(カンナ)ベンチで本を読みながら誰かが焼き芋を買って来るのを待っているのか?楽しい句。
○(宙虫)待ち遠しい時間。本になかなか集中できない。
みな値上げレジは冷まじ女ご待つ 瞳人
臥待へ東の窓は開けておく 楊子
○(吾郎)いったいいくつの窓が開けっ放しになったことやら
〇(めたもん)ちょと風流でちょっと孤独。いいですね。きっと静謐な夜の雰囲気を楽しんでいるのでしょう。
○(ちせい)観月へかける意気込みが窓を開ける事に現れていると思いました。
(選外)(卯平)「臥待や東の窓は開けておき」であれば十分に選候補。
寒月や今日が最後の鍵の音 ルカ
○(幹夫)「待つ」というテーマ故なおさら、想像の幅が広がります。
○(吾郎)最後の音はなんでも寂しく響く
〇(カンナ)部屋で待っていると、カチャリ、ドアの鍵を回す音がした。合鍵を持っている相手は別れ話に来た恋人?想像が広がります。
○(仙翁)最後の鍵の音、何があったのでしょうね。
○(あちゃこ)中七にドラマを感じる一句。新たな希望の旅立ちである事を願います。
◎ (アゼリア) ドラマがありそうですね。
月光の只中に待つ蝕の刻 珠子
待乳山兎の跳ねる百度石 藤三彩
サーファーの寒の怒濤を待望む 幹夫
〇(あき子)「寒の怒濤」に、サーファーの期待と緊張感が伝わってきました。
月食待つ過去形で書く願いごと カンナ
○(卯平)中七下五の輪廻感。月食も宇宙の輪廻。
狐火の通知待ち鬱延び寝つき 吾郎
今も待つ私のゴドー木の葉髪 餡子
◎(藤三彩)サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』本当に不条理な世の中、不安を感じながら年老いる。
◎(敏)ベケットのゴドーは、いくら待っても来なかった。この句のゴドーさんは大分歳を召したようで、不条理には遠いように見えましたが。
◎(道人)何歳になってもゴドーは永遠の謎。人に生きるための力を与え続けてくれるゴドーは、神とも違う。
選外(吾郎)木の葉髪が沁みる
時雨るるや日に四本のバスを待つ アゼリア
○(仙翁)時雨るるや、こういう所は、たくさんありそうですね。
息つめて月の欠けゆく時を待つ アネモネ
○(餡子)まさに先日の月食のときの気持ちです。私もそうでしたので、共感。
待ちながらメニューを覗く冬ぬくし ちせい
椎茸の焼ける頃合い雨の村 宙虫
○(泉)ホノボノとした感じが良いと思います。
○(ちせい)「雨の村」がいいと思いました。雰囲気が有ると思いました。
〇(まきえっと)焼き椎茸。ジュワジュワという感じと「雨の村」がいいですね。
壁紙の富士入れ替える今朝の冬 道人
北塞ぐなかなか減らぬ減らず口 敏
門扉なきスタンド・バーや冬銀河 卯平
◯ (アゼリア) なんか素敵な出逢いがありそうです。
幼児とうさぎの話月を待つ 泉
凩の中や彼の人待たせをり あき子
雑詠
リハビリの効果楽しや小春の日 泉
癌告知そうだ御歳暮おくらなきゃ めたもん
〇(藤三彩)お医者さんは贈答品は受け取らないですよ。では誰に?
◎(あちゃこ)コメントが難しいのですが、人生を感じる衝撃の一句です。生きるとは、こういう事なのかも知れません。
◯(道人)テンポがいい。この明るさがあれば大丈夫‼︎
選外(吾郎)気になることはやっておこう
魚咥え鳥が飛びたつ冬干潟 宙虫
○(敏)上げ潮に乗って来て、干潟に取り残された魚を狙って飛び立った鳥を見ごとに写生されましたね。
空っぽのティッシュの箱に秋思ふと カンナ
◎(餡子)確かに最後の一枚を取って空っぽになった箱には、寂しさが漂います。作者の感性の豊かさを感じる 句です。
◯ (アゼリア) 秋思って思わぬことに湧いてくるのですよね。
見定める待ち針の点冬ぬくし あちゃこ
○(吾郎)季語がよろしい取り合わせ
○(仙翁)日常の生活でしょうが、静かな日常ですね。
好く老いることの難き也喜頓忌 瞳人
〇(藤三彩)随分と昭和な益田喜頓を持ってきたものだ。三木 のり平らのコメディアンには子供ながらよく笑った。
〇 (めたもん)上五・中七の措辞に共感。「喜頓」について詳しくは知りませんが、納得させられる季語です。
(選外)(卯平)益田喜頓が出演した過去の朝ドラを最近観賞した。益田喜頓の役者姿を直接知っている人はそう多くないだろう。上五中七の景とこの忌日の相互関係は納得。上五中七を定型に納める痕跡が伺えれば選候補。
三島忌や高層階から昼の月 あき子
〇(瞳人)もう50年か、超望遠で撮ったあの獅子吼する写真1枚が、なお世界を駆け巡っています
○(卯平)中七「高層階から」と言ってしまうと理が先行するのでは。素直に「高層階の」でも景は見えてくるのでは。この句で「憂国忌」では中七下五が生きてこない。三島忌と言う「コト」が中七下五を活かせている。中七が整理されていれば特選候補の一番目。
◎(ちせい)ふと観月を思い立ったのかもしれません。
七五三パントマイムの考と妣 卯平
ひつじ雲崩れて街は冬めきぬ 道人
〇(アネモネ)ひつじ雲が万華鏡のようです。
○(仙翁)ひつじ雲崩れて、面白い表現ですね。
○(敏)そうですね、私の見た今年のひつじ雲はすぐに形を変えて行きました。いわし雲やさば雲も同様だったのは冬の気圧配置のなせるせいなのかも知れませんね。
〇(珠子)私も同じことを感じておりました~!
湖に人工の島銀杏散る まきえっと
手帳買う新年会と歯医者の日 藤三彩
○(幹夫)歯科通院という日常に対比して、「新年会」一点への期待が詠まれる。
○(ちせい)偶然かち合っただけにしては運命的なものを感じたのかもしれません。
生国を訊かれる訛りおでん鍋 餡子
○(幹夫)おでん屋台でしょうか。一期一会ですね。
〇(楊子)おでんを囲むとついおしゃべりになりますね。いい雰囲気です。
〇(珠子)湯気の向こうから訊かれたのでしょうか。南部訛を離れて半世紀超。訛にはついつい聞き耳を立ててしまいます。
◯ (アゼリア) 私も訛りはないと思っていましたが、上京して友達に訛り強いですが、お国どちらと訊かれショックを受けたことを思い出しました。
〇(まきえっと)お酒がはいるとつい訛りがでるのでしょうか。ホッとする瞬間ですね。
(選外)(道人)やや類想感はあるが、おでん屋での初顔合わせの呑兵衛の会話が手に取るように分かる。
石蕗の花ピンクに恐れを抱きけり ちせい
赤々と濡れて欠けゆく冬の月 アネモネ
〇(あき子)確かに濡れているような赤い月でした。
◎(仙翁)月食の月ですね。濡れての表現が面白いか。
○(あちゃこ)中七に詩情を感じます。確かにそんな気配の月でした。感性に共感。
〇(まきえっと)濡れてと捉えたところがいいですね。
掻巻よ体よく酔いて良き舞か 吾郎
○(泉)見事な回文だと思います。
○(餡子)搔巻!懐かしい!寝具ですが、父が茶色の格子柄の掻い巻きを着ていたのを思い出しました。酔いにまかせの舞。ユーモラスです。
◯(道人)「掻巻」で芸者遊びでしょうか。参りました。
〇(まきえっと)懐かしい言葉です。不思議な寝具でした。
闇鍋や爺様の鍋をどんと据う 幹夫
大根に悩みはないか問うてみる 楊子
○(吾郎)ないと思う
〇(瞳人)如何にと料理くだされ、なんにでもなる太っ腹です
◎(カンナ)笑ってしまいました。ナンセンス&ユーモア大賞!
○(宙虫)聞いたところで大根の悩みを解決できるわけではないのに。
長き夜のところどころを救急 珠子
〇(アネモネ)杏太郎さんの「ながき夜のところどころを眠りけり」を上手く本歌取りしていて笑いました。
〇(あき子)「夜のところどころ」は、宇宙から見ているよう。
冬田あり真っ直ぐな道あり職を辞す 敏
○(宙虫)冬田を見て、まっすぐな道を見て。新たなステージへ進む。
陶房の小さき丸椅子冬の月 ルカ
〇(藤三彩)器を捻るのも趣味ではなくて職として焼くのでは大変そう。
〇(カンナ)季語との距離が程良い、俳句らしい俳句。
〇(楊子)作業の邪魔にならないように丸椅子がおおい陶房です。月と交信しあっているようです。
〇(珠子)乾いた泥があちこちについていそうな椅子。轆轤にはしっかりと座る椅子は向かないのでしょう。
(選外)(卯平)句としては素直に観賞出来る。が類似類句はあるだろう。
飯椀に深き罅入る開戦日 アゼリア
◯(ルカ)上五に共感
〇(楊子)いつまでたっても後悔の開戦日です。
〇(あき子)深き罅が入ってしまって、取返しのつかない飯椀。開戦日の思いは深い。
◯(道人)中七の措辞が開戦日当時と今を繋ぐキーワード。「開戦日」は日本人にはとって詠い継ぐべき季語。
(選外)(卯平)「開戦日」「敗戦日(忌)」何方でも上五中七は生きてくる。これらの季語にはこの句のような措辞は珍しくない。
老桜の鉄幹包む蔦紅葉 仙翁
☆次回をお楽しみに
広島はいつまでも暖かい日々が続いています。今年は暖冬かな?昨夜のドイツ戦は見ないで、早々に寝てしまいました。今朝になってビックリ!勝負に余裕はない、という事でしょう。