小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第525回小麦句会結果発表

2024年05月23日 21時58分18秒 | 15日句会

休場の力士が多い五月場所。ちょっと残念。
応援している力士は頑張ってくれています。あと3日。

兼題:走
置き傘を一寸拝借走り梅雨  幹夫
○(アネモネ)「一寸拝借」がいかにも置き傘感。
○(餡子)駅によくありますね。たすかりますよね。臨場感ありありの句。
◎(吾郎)一寸(ちょいと)と読ませるリズム感がグッジョブ──と読みました
〇(まきえっと)学生時代を思い出しました。
△(卯平)季語の説明では。

偽造されたマイナカードや走り梅雨  カンナ

爆竹が後押し先ずは徒競走  楊子

汗ひかる最後の走者に湧く拍手  泉
◎(幹夫)ロサンゼルス五輪女子マラソンのアンデルセン(スイス)のことを思い出した。
○(藤三彩)風ひかるではない汗ひかる。そういうシーンがありました。
◯ (アゼリア) 最後まで諦めず頑張る姿勢に感動します。

欅青葉ざわと回送バス通過  宙虫
〇(楊子)回送バスのひんやり感が「ざわと」であらわれています。
○(仙翁)バスで揺れる青葉が、ざわと、によく出ています。

まいまいの走る心算や鬼ごつこ  瞳人   
〇(春生)かたつむりの気持ちになって詠った句ですね。走る心算です  

走り根を除け発電機置く夜店  餡子
○(幹夫)コロナも取りあえず落ち着きそうでテキ屋も安心。夜店が盛んな夏の縁日が近づく。
〇(めたもん)夜店の後ろには「発電機」などと共に「走り根」をよく見ます。観察が確かだと思います。

堰を切る音立て走る水は田へ  仙翁
○(卯平)この句に至るまでかなりその現場に立ち尽くしたのであろう。そこで得た一句。だから水の勢いが詠み手を通して鑑賞者に伝わってくる。下五まで詠みきった後のキレ。伝統的な俳句技法を身につけている句。
○(吾郎)これも下五のスピードが快感
〇(まきえっと)勢いを感じます。秋にはたくさんのお米が出来ていますように。

敗走の少年の秘す蛇苺  道人
○(卯平)秘すまでは言い過ぎであろう。しかし敗走と蛇苺の関係は許容範囲。少年の微妙な心理状態を言い得て妙。
〇(瞳人)その、心のうち、はて、いかなるや
○(仙翁)ポケットに苺があるのでしょうかね。
◎(餡子)敗走・・・。人生からの敗走でしょうか?蛇苺がそんな少年の心の内を物語っていそうです。 
○(あちゃこ)負けてもめげぬ少年の強かさ。蛇苺に胸躍らせた子供の頃を思い出します。

走馬灯旅にしあればうんたらら  藤三彩

石楠花の天城連山縦走す  春生
○(藤三彩)富士山が見える稜線をゆくのだろうか。気持ちの良い句。温泉もまた。
〇(あき子)言葉のリズムが内容とよく合って、縦走の爽快感が伝わってきます。
◯ (アゼリア) ネットで見ました。石楠花、綺麗ですね。残念ながら私の脚力では、無理そうです。

酔うと舞うその娘はこの走馬灯よ  吾郎
○(泉)見事な回文俳句だと思います。
○(宙虫)酔っぱらっちまった!昭和ロマンもぐるぐる見え隠れ。
○(餡子)面白い回文です。その娘さんに会って見たいけど走馬灯ですからね・・・。 
◯(道人)「その娘」には複雑な過去がありそうだ。酒と踊りと思いでだけにしか生きれないとは。
△(卯平)走馬灯への詠み手の傾斜。「走」と「酔」さらに「舞」が走馬灯へ導く事を意図しているのだろう。技巧が目立ちすぎないか。

伴走のロープのリズム山滴る  あき子
◎(楊子)繋がれたロープから走りのリズムが伝わるのですね。敏感な身体感覚で緑滴る夏を感じているのでしょう。
○(藤三彩)盲目の方の伴走は速い。山滴るが登山のように見えるが平地の公園でもよい
○(餡子)目の不自由な方のマラソンを見ました。難しいだろうな思いましたが、伴走者と息ピッタリで驚きました。季語が気持ちよいです。 

走りたる男と女麦の秋  卯平
○(あちゃこ)想像は読み手に委ね?逃避行かな。

夏兆す歩道の走り根に力  めたもん
◎(アネモネ)「走り根に力」が上手い!
〇(あき子)夏兆す歩道に浮き出た走り根の、歩道を押し上げるような力を感じます。
◎(春生)うまく夏の力強さを捉えました。
〇(まきえっと)歩道でよく見かける光景です。「走り根に力」の表現がいいですね。。
△(卯平)選を迷った句。下五「力」で選に至らない。

唐突に走り来る恋缶ビール  あちゃこ
○(アネモネ)CM感横溢です(笑)
〇(珠子)恋は交通事故のようなものと言います。のんびりとやってくるものではありません。この場合の缶ビールはどんな味だったのか気になります。

走梅雨男ばかりの署名記事  珠子 
○(餡子)女ばかりだったら色々とありそうですが、男ばかり?一体何の署名でしょうか?

カーネーション大きな文字の走り書き  まきえっと
◎(卯平)詠み手が書いた「走り書き」ではないだろう。母の日に添えたメッセージ。無骨な吾子からのメッセージ。受け取った母の抑制した嬉しさが伺える。迷わず特選。
〇(あき子)嬉しいですね、何と書いてあったのでしょう。
◎(瞳人)はて、如何な詫び状なりや、読ませてください、わたくしなら無沙汰を詫びるばかりです。
○(あちゃこ)無骨な温かさを感じます。
〇(めたもん)「大きな文字の走り書き」は誰が書いたのでしょうか。いろいろシチュエーションが想像できるところが魅力です。
◯(道人)中七下五の措辞に子供の気持ちがこもっていて味わい深い。

走るのは汗をかくため停止線  のそう

立ち食い蕎麦の長き行列走り梅雨  アゼリア
○(泉)評判の蕎麦屋さんですね。
〇(楊子)何気ない描写ですが、うっとうしさも感じる走り梅雨です。
△(卯平)出来た句。しかし類似類句の一つ。

本棚に沿うて走れりごきかむり  アネモネ

テーマ:色
カメムシ季虹色意地に軋む目か  吾郎
○(仙翁)虹色のカメムシ、玉虫になりたいような。
○(あちゃこ)意地に軋む目がいいですね。

指切りの透明な風桐の花  まきえっと
○(卯平)理で言えば上五中七は不明。しかし「透明な風」が指切りの情景が浮かび上がる。まだ初々しい初恋の句。その情景を支える桐の花。手だれた句ではあるが洗練された句。
〇(めたもん)一読後は上五、中七が情緒的に思えましたが、何回か読むうち桐の花のあの匂いを巧みに表現しているのでは、と気付きました。
○(吾郎)恋ですね
◯(道人)「透明な風」によってドラマが生まれた。
◯ (アゼリア) 桐の花の季語が効いていると思います。

飴色の思ひ詰めけり夏帽子  卯平
〇(珠子)「飴色」に感心・納得。半世紀ほども密かにあたためていた思いでしょうか。多分この先も…夏帽子もさりげなくて好き。
〇(瞳人)はて、この色は、如何な思いなりや

一輪挿しに白花紫蘭薄明り  仙翁

黄金の大波小波し麦の秋  春生
○(幹夫)五穀豊穣。麦畑一面が黄金色になる麦の秋到来だ。
〇(瞳人)雄大ですねえ、マッサンの世界?
○(吾郎)この「し」はけっこう曲者的に良い

夏の月ホームラン打つドジャース・ブルー  泉

お喋りな雨や若葉の備前富士  幹夫
〇(珠子)底抜けの明るさに惹かれました。富士のつく山はいったいいくつあるのでしょう。私にとっては津軽富士と南部片富士。

騎馬像の馬は鳩胸緑さす  アネモネ
○(宙虫)季節感が伝わる。

恐竜展出てサイダーの銀の粒  珠子
○(アネモネ)「サイダーの粒」のはじける様子が爽やかに見えてきます。
◎(あき子)恐竜展を観終わって現実世界に戻ってきた気分と、サイダーの銀の粒が響き合っていると感じました。
◎(宙虫)いままで気づかなかった世界が見える。太古からの時間がつなぐ今なのだろう。
〇(めたもん)「恐竜展」後の「サイダーの銀の粒」。恐竜展を五感で振り返るような詠みが素晴らしいと思います。
◯(道人)恐竜展を見た感動がサイダーの粒に凝縮されているような句。「恐竜」と「銀の粒」の取合せの離れ具合がとても佳い。
◎(まきえっと)取り合せが新鮮です。「サイダーの銀の粒」がいいですね。。

原の色ひつくり返し阿部の初夏  瞳人 
〇(あき子)「色」の使い方が新鮮。阿部の夏を応援したくなります。

雑草に紛れぬ光すみれ草  楊子
○(宙虫)植物たちの生きる術。雑草と区別される草もかわいそうだけど・・・。
○(仙翁)野原には、いろいろな色の花が咲いていますね。

線引かれ土は色変へ緑さす  のそう

全方位に燃えて尽きたり山躑躅  あき子
〇(瞳人)これも、雄大まことに、目に浮かびます

鳥達の声もさみどり上高地  アゼリア
○(アネモネ)「声もさみどり」なかなかです。いかにも上高地。
○(藤三彩)7月の山の日に日本山岳会の陛下ご夫妻が上高地にお泊りになられた。警備が大変だったろう。山では猿が雷鳥をねらはないか調査していました。
〇(カンナ)鳥の声に色があるのが新鮮な感じがします。

麦秋のブラックホール胸の穴  あちゃこ
〇(カンナ)取り合わせが新鮮な感じがします。
○(宙虫)どうしようもないものが見える麦秋のなか。ブラックホールが広がる感覚が。

百均の恋色褪せた鯉幟  カンナ
○(卯平)百均の恋は消耗的な恋。だから色褪せるのは当たり前。しかし鯉幟との斡旋が面白い。最後の選

夕焼けの遺伝子にいるカメレオン  宙虫
○(泉)解釈は出来ませんが、気になる俳句です。
〇(カンナ)発想が面白いと思います。
◎(あちゃこ)発想が凄い。地球の遺伝子とは。カメレオンへの展開がお見事です。
◯(道人)夕焼けとカメレオンが紅色に一体となった写生句。

葉桜や郵便局にカラーボール  餡子

藍染めの衣ほすてふ風の色  藤三彩
〇(春生)万葉時代を彷彿するような句です。            

緑陰に肘掛け椅子と菜根譚  道人
○(幹夫)ちょっと気取ってお洒落な感じ。
◯ (アゼリア)菜根譚私も読みたい気分です。
(選外)(藤三彩)自然と閑居の楽しみを説いた書物とある『菜根譚』。ご隠居さんの愉しみか。

冷酒や白い星ある古コップ  めたもん
〇(楊子)昔の引き出物でもらった5つそろいのコップにはたいてい模様がありました。星座が描いてあったのかもしれませんね。おいしい独り酒のような気もします。
○(卯平)コップにある白い星は何だろうと思わず立ち止まる。それも古いコップとは益々謎が深まる。新しいコップと古いコップは何処で解るのか。全体として色が褪せていれば古いコップだろうと判断するだろう。その色が褪せた中に白い星があると言う景。だとするとこの古コップの色は白以外であろう。白いコップは汚れが目立つので古いコップなどは判断が容易。それ以外の色のコップが古いと判断するのは果たしてどんな根拠か。中七下五は単なる報告と言えばそれ以上、それ以下でもないだろう。しかし「冷酒や」と言われると、この道具立てから得る場末の一杯呑み屋に佇む詠み手の抒情に共感出来る。その共感を強くしているのは「ある」。この対峙で詠み手のこの句の現場に立っている瞬間が伝わる。おそらくその場でで降りてきた句であろう。準特選。

雑詠
お田植えの苗への期待見守りて  藤三彩

ガスタンク鎮座する町燕来る  めたもん
○(泉)何となくユーモラスな俳句だと思います。
〇(珠子)「鎮座する町」がいいですね。人も燕も安心できそうな町。
○(仙翁)ガスタンクと燕、対比が面白いですね。
○(吾郎)戦後の高度成長期のアイコン的なガスタンク。シルエットは永遠にそのまま
◎(道人)ガスタンクと燕の対比がとても良い。燕の帰巣本能の凄さも。
〇(まきえっと)「すいか」「笑顔」などのガスタンクもありますね。どっしりしています。

鉄錆の匂い移る手遠く雷  まきえっと
◎(カンナ)鉄錆の匂いは血液の臭い? 遠雷に不穏な空気が漂う。手に移った匂い。一体何をしたのでしょう?
◎(めたもん)「鉄錆の匂い」と「遠く雷」の絶妙な響き合い。生々しく思い出が蒸し返されるような不思議な気分になります。
○(吾郎)遠雷との距離感が映画のワンシーンのよう
◯ (アゼリア) 鉄錆の匂いがしてきました。

フラワームーン竹皮を脱ぎ捨てる  珠子
○(あちゃこ)五月の満月フラワームーン。新しい命への賛歌を感じさせる一句です。
〇(めたもん)季語「竹皮を脱ぐ」、「フラワームーン」との取り合わせ。かぐや姫が少女から大人に、というふうにも読めますね。

やわらかい拘束ほどく春きゃべつ  楊子
〇(あき子)つやつやした春きゃべつが、ほどかれるのを待っているよう。
◎(仙翁)キャベツが高いらしいですね。キャベツの育ち方いいですね。
〇(まきえっと)春キャベツの葉を剥く瞬間を「拘束ほどく」と表現したところがいいですね。

花は葉に開聞岳に機は向かふ  幹夫

花楝鴉が川で遊び出す  のそう

初夏やアップデートを準備して  卯平

織り上げる一編の詩風青し  あちゃこ
〇(楊子)美しい表現にひかれました。
◎ (アゼリア) 織り上げる一編の詩ー詩情が感じられると思いました。

新・鬼平ちと揚羽には勝てそない  瞳人

青山に一歩踏み出し立ち止まる  仙翁
○(藤三彩)青山(あおやま)ではなく「人間到る所青山(せいざん)あり」。まだ若い、頑張ろう

鳥達の声もさみどり上高地  アゼリア
○(幹夫)「早緑」は季節的には鮮やかな緑色の草木の様な春先を指すのだろうか。素敵な景だ。
○(珠子)芽吹き曼陀羅・若葉曼陀羅の山々はとても美しいですが、鳥の声もさみどりという感性が素敵。下五は場所を限定しないほうが好きですが。
〇(春生) 信濃の美しい景が詠われました。  

動かずに手を伸ばす樹々五月雨  あき子

楠青葉の街路雨中を走るひと  宙虫

方言の飛び交うホテル黄金週間  泉
○(幹夫)観光地は大盛況。最大10連休のGWも無事終わった。
〇(カンナ)リアリティが感じられます。
△(卯平)こう言う風景が帰って来たようだ。黄金週間は当たり前。

木洩れ日のひそひそ話若葉風  春生
〇(楊子)木漏れ日がゆれているのをひそひそ話とはなるほどと思いました。

立て絵いま頼光鬼を退治の場  アネモネ
◎(珠子)畳みかけるようなリズム感と臨場感に惹かれました。立て絵を見たことはなく歴史にも疎い私でさえ、今・見ている気になります。うまい句。
〇(瞳人)はて、如何な季語なりや

旅の荷にお薬3種風薫る  餡子
◎(泉)何となくユーモラスな俳句だと思います。

隣国は遠くて近い黄砂降る  カンナ
○(泉)正にその通りです。
○(アネモネ)ほんとほんとそうですよね。
〇(春生)政治的には対立関係にある中国ですが、絶対に変えられないのは隣国ということです。「遠くて近い」関係ですね。

臍の緒を探す八十八夜寒  道人
○(宙虫)この世に生まれ、生きていくには理由がいるのだ。

黴菌糸ひそり寄り添ひ辛気美化  吾郎
◎(藤三彩)(かびきんしひそりよりそいしんきびか)風呂場のカビをキッチンハイターでやっつけよう
〇(カンナ)黴の映像にぞくぞくします。
○(餡子)辛気までは分かりそうですが、「美化」でガクンと来ました。
〇(春生)季語「八十八夜寒」が効果的です。

☆☆次回をお楽しみ。



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2024-05-24 16:18:00
まきえっとさん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島は次第に蒸し暑くなって来ました。いよいよ梅雨入りだろうと思います。暑くなると、洗濯が大変です。電気洗濯機の発明は偉大ですね。
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